慕情そして恋情…<つかつく> 31.
<司side>
俺は、やっと、翼が、心の底から、好きと思える女(ひと)に巡り会えた事に、ほっとしていた。
親父からも言われていた事とは言え、やはり、親から何かするのではなく、自分から、恋愛をして欲しかったと言うのが本音だった。
翼は、父親の愛情を受けずに幼少期から少年期を過ごした。
俺の記憶が無かったとは言え、翼にとって、男と男の話が出来る相手が父親ではなく、叔父だったと言うのが、申し訳無く思う。
親父が言う様に、多分、翼にとって、叔父で在る 進には、遠慮が有ったのではないかと推測する。
つくしに翼が、話ししていたという、『兄妹弟って、良いな‼』って、言った言葉が、全てを物語って居るのだろうと、思って居る。
気を使わなくて良い相手が、兄妹弟に居ると言う事…。
翼が、今まで、本気で恋愛に向き合えなかったと言うのは、現在に至るまでの日々の積み重ねから来るものだろう。
俺は、父親として本当に嬉しかった。
翼が、恋愛をしてくれた事を…。
俺は、翼と麻耶がつくしの執務室を出てから、総二郎に声を掛けた。
「総二郎、こんな事に成って、すまん。」
「何で、司が謝るんだ?」
「否、如何してと、言われると、答え様がねぇが…。」
「良い事じゃねぇの‼
翼と麻耶がもし、結婚とかに成れば、俺等は親戚に成るんだな⤴。」
「だな‼」
「まあ、楽しみしようぜ‼」
其処で、俺は、総二郎に頼み事をした。
「総二郎、祥さん夫婦に挨拶してぇんだが…?
アポ、取ってくれねぇか?」
「了解‼
兄貴に訊いとくわ。」
あきらが、しみじみ、感慨深げに言って来た。
「へぇ~、司が父親みてぇな事、言うとわな。」
「あのな、俺は、翼の親。
父親だ‼」
「司が、大人に成ったって事だろ‼」
「はぁ~??」
そんな事が会った日から、数日後、総二郎から連絡を受けて、翼には内緒で、俺とつくしは、総二郎の兄貴で在る 祥さん夫婦に挨拶に行った。
つくしも、祥さんの奥さんの瑞紀さんとは、面識が在ったらしく…。
話しが捗り…。
祥さん夫婦は、翼と麻耶の付き合いを喜んでくれて居て、『翼と麻耶の二人の将来に関しては、お互い両家は干渉しない』と、約束を交わす事が出来た。
此れで、ホッと出来た。
翼と麻耶の二人の将来が楽しみに成って来た。
また、家族としても、親父とお袋に報告した処、大いに、喜んでくれた。
蘭と翔に関しても、麻耶を気に入ったのか、蘭に至っては、“お姉様が欲しかったの。”と、喜んで居た。
麻耶と買い物に行く事を翼に内緒で勝手に約束まで取り付けるらしく…。
翼から、クレームが出る程だった。
昔、俺と姉ちゃんが、良く、つくしを取り合いしていた事を思い出した。
つくしは、蘭に諦める様に説得しているが…。
其処は、姉ちゃん張りの強引さが在る 蘭なので、いつも、翼が諦める事に成っている様子だった。
其処は、俺でも、翼の気持ちは良~く分かる。
結局、男が折れなくてはいけねぇ様に、世の中、成ってるみてぇだな、翼‼
男は辛ぇな‼
翼と麻耶が付き合い出して、半年後に、親父とお袋が出張で、日本に帰国して帰って来た際、親父とお袋とつくしに、俺から、提案した。
「麻耶を翼の第1秘書にしようと思う?
如何だろうか?
特に、つくしの仕事に支障を来たすかも知れねぇから、じっくり考えて欲しい。」
「実は、私も提案しようと思って居たの。
まさか、司がそう思ってくれているとは思って居なかったから、如何しようか迷ってい
たの?」
「じゃあ、つくしは良いんだな?」
「ええ、初めからそのつもりだったから…。」
「親父とお袋は如何だ?」
親父が答えた。
「つくしさんが、“良い。”って言っているのに、何も言えないだろ。」
「じゃあ、今後は、つくしの新しい秘書の件を話し合わなきゃな。」
つくし自体、そのつもりで、こっそり、動いて居た様子だった。
「今の第2秘書を上げてくれても構わないけど…?」
「つくしが、それで良いならそうしよう‼」
そして、翼の秘書は、第1秘書が麻耶に成った。
其れからも、翼と麻耶の交際は、順調に行って居る様子で、二人の間では、“結婚も視野に入れている。”と、翼から報告を受けた。
俺は、報告を受けて、そろそろ、準備を進める様に、西田に伝えた。
西田から、俺に、言って来た。
「司様、本当に、様ございました。
翼坊っちゃんの件は、賜りました。」
話しの分かる秘書で、本当に感謝だな‼
“俺に今まで、仕えてくれてサンキューな‼
これからも、宜しく頼むわ‼”
声に出しては、まだ、言えねぇけど…。