記念日~告白の日&キスの日&プロポーズの日~…<総優> 4.
【『記念日~告白の日&キスの日&プロポーズの日~…<総優> 2.』のエピローグ
<総二郎の母親で在る 西門流 家元夫人 と 優紀の話しの其の後>】
“何方にしても断れないかも知れない。”と、考えて居た筈の優紀は、【お断りするべきか? or 否か?】…其の後も同じ事ばかりを繰り返すかの如く、優紀の頭の中では迷走を繰り返して居た程…だったのだ。
そんな優紀の下に桜子から連絡が入り、桜子と会う事に成った迄は良かったのだが、桜子に自分自身の心情がバレた事に寄り、此の時の優紀は、自身の悩み事を桜子に言わなければ成らない状況と成って居たのだ。
勿論、此の時点に於いての桜子は、そーっと、優紀の背中を後押しするかの様にエールを送って居たつもりでは在ったのだが、優紀は優紀で、未だ、迷走を繰り返すばかり…だったのだ。
何故なら…。
此の時の優紀の心の中では、“西門さんに迷惑を掛けたく無い。”と、言う気持ちが先行してから…だったのだ。
だからだったのだろう。
此の時の優紀は、未だ、あの日から一人悩んだ末に…家元夫人には断りを入れ様とするのだった。
“例え、此のお話しを家元夫人に断れそうに無くても、其れでも、やっぱり、私が家元夫人
の内弟子に成るだ何て…可笑しいと思う。
其れこそ、西門流の周りの皆さんから変に思われると思う。
だからこそ、家元夫人にはお断りし様!”と…。
更に、“其れが一番良いのだ‼”と、自分自身に言い聞かせるかの様に…。
また、優紀自身、“家元夫人にお断りした事で、例え、お茶が続けられなく成ったとしても其れは其れで仕方が無い。”と、思える位に…。
そんな風に優紀が考えて居る等と、露程も思って居ない西門流 家元夫人は、あれから幾許か(いくばくか)経った或る日の事、優紀のお稽古の後に声を掛けるのだった。
「優紀さん…そろそろ、宜しいかしら?
良いお返事を聞かせて下さるかしら?」と…。
其れはまるで、“優紀さんからの返答の言葉は良い返事だろう。”と、信じて疑わない此の時の西門流 家元夫人が居た事は確かな事で、じーっと、優紀の顔を見詰めたまま…だったのだ。
其処で、優紀は、自身の思いを西門流 家元夫人に伝え様とするのだった。
「家元夫人にお話しが御座います。」と…。
ところが、此の時の西門流 家元夫人は、何かを察知したのかも知れない。
優紀の顔を見詰めたまま、優紀からの話しを遮るかの如く、西門流 家元夫人が話しし始めるのだった。
「そうよね、優紀さん…今日の処は、此のお話しは無しにしましょ!
実は…ね。
今から、優紀さんに会わせたい人が居るのよ。
今から、私(わたくし)とご一緒して下さるかしら?」と…。
勿論、此の時の西門流 家元夫人の顔付きは、“断る事を許さない。”とでも言って居るかの様…だったのだ。
だからだったのかも知れない。
断り切れなかった優紀は、“仕方が無い”と、判断した事で、「承知しました。」と、言い乍ら、西門流 家元夫人に就いて行く事にしたのだった。
実の事を言うと、西門流 家元夫人は、優紀からの良い返事を聞いた後で、優紀を或る人物に会わせたかったのだ。
だが、其の西門流 家元夫人の思惑は達成されないまま、或る場所に優紀を連れて行く事に成ってしまったのだ。
其の事自体、西門流 家元夫人にして視れば、当てが外れたと云っても過言じゃ無い程…だったのだ。
そして、其の後、西門流 家元夫人に就いて行った優紀は、西門家のリムジンに乗車して、西門家が贔屓にして居るという或る料亭に着いたのだった。
其の時の優紀は、自身の目を白黒させて居たのだった。
何故なら…。
余りにも【立派な料亭】…過ぎたからだったのだ。
そして、西門流 家元夫人 と 優紀が到着した事で、西門家が贔屓にして居るという其の或る料亭の女将が或る部屋に案内するのだった。
実は、其の部屋の中には西門流 家元夫人が優紀に会わせたいという人物が、既に到着して二人が来る事を待って居たのだった。
だからだったのだろう。
西門家が贔屓にして居るという其の或る料亭の女将が、「お連れ様は、既にお待ちで居らっしゃいます。」と、言い乍ら、西門流 家元夫人に声を掛けるのだった。
そして、其の部屋の前迄案内した西門家が贔屓にして居るという其の或る料亭の女将は、作法通りに『襖障子』に手を添えて開け乍ら、「どうぞ、此方です。」と、西門流 家元夫人 と 優紀を部屋の中に入る様に促すのだった。
勿論、此の時の優紀は、西門流 家元夫人の後に続いて、「失礼します。」と、言い乍ら、部屋の中に入るのだった。
其処で、西門家が贔屓にして居るという其の或る料亭の女将が『お連れ様』と、伝えた其の人物の方に目を向けた西門流 家元夫人は、其の人物に声を掛けるのだった。
「家元…お早かったんですね。
もう既に、此方に居らっしゃるとは思わずに居ましたわ。
お若い女性をお連れすると、こんなに早くお越しに成るのですね。」と…。
勿論、西門流 家元夫人から嫌味を言われている事位、百も承知の西門流 家元も、また、応戦するのだった。
「家元夫人は、早々と、嫌味かい?
私は、家元夫人から言われた様に、時間厳守で来たつもりだが…。
此れ迄、一切、弟子も内弟子も取らないあの家元夫人が気に入って居るというお嬢さんが
如何言うお嬢さんなのか早く見て視たいと思ったからね。
早目に来て視たが、ダメだったのかい?」と…。
だからだったのかも知れない。
此の時の西門流 家元夫人は、「いいえ、駄目では御座いませんわ。」と、言うに留めたのだった。
勿論、此の場に居合わせて居た優紀は、此の場が居た堪れずに居たのだった。
そして、西門流 家元夫人からの目配せに寄り、其の後の総二郎の両親で在る 家元 と 家元夫人は、一切、『内弟子』というキーワードは使わずに、優紀との世間話を楽しんで居たのだった。
そして、其の後、会話 と 食事が進み、幾許か(いくばくか)時間が経った頃、優紀自身が気に成って居た事を口にするのだった。
「あの~、此の後、何方かお越しに成るのですか?
私のお隣にはお食事のご用意が出来て居ますが…。」と…。
其処で、西門流 家元夫人は、優紀に謝りつつも、優紀に話しし始めるのだった。
「優紀さん…御免なさいね。
気を遣わせてしまって…。
実は、もう一人、此処に来る事に成って居るのよ。
“時間厳守で居らっしゃい!”って、言って置いたんだけど…。
ほんと、仕方が無いわね。」と、苦笑いに成り乍ら…。
そして、そんな話しをして居た所に、西門家が贔屓にして居るという其の或る料亭の女将が『襖障子』の外から「お連れ様をお連れ致しました。」と、言い乍ら、作法通りに『襖障子』に手を添えて開け、「どうぞ、此方です。」と、部屋の中に入る様に促すのだった。
勿論、「失礼します。」と、言い乍ら、部屋に入って来た事で、自身の目の前に現れたのは、優紀も良く知って居る総二郎…だったのだ。
だからだったのだろう。
此の時の優紀は、西門家が贔屓にして居るという其の或る料亭の女将の声と共に、開いた『襖障子』の方を見て居た事も有り、言葉を失う程、驚愕するのだった。
実は、部屋の中に入った事で、其処に優紀が居る事を認めた総二郎は、思わず、優紀に声を掛けるのだった。
「優紀ちゃん…?」と…。
だからだったのだ。
そんな総二郎からの声に反応した優紀は、我に返ったかの様に、総二郎に声を掛けるのだった。
「西門さん…?」と…。
其処で、総二郎 と 優紀が知り合いで在ろう事に気が付いた総二郎の父親で在る 西門流 家元は、自身の息子で在る 総二郎に声を掛けるのだった。
「総二郎は、優紀さんを存じ上げて居るのか?」と…。
だからだったのだろう。
未だ、何が何だか?
全く、理解されて居ない総二郎では在ったのだが、自身の父親で在る 西門流 家元からのそんな問いには返答出来ると云わんが如く、話しし始めるのだった。
「ああ、知ってる。
優紀ちゃんは、牧野の幼馴染で親友だ。
で、其の牧野の婚約者は、司…。
で、俺は、其の司の英徳学園 幼稚舎からの幼馴染で親友…。
だから、(英徳)高校の頃に、牧野を通じて優紀ちゃんを知った。」と…。
だからだったのかも知れない。
此の時の総二郎の両親で在る 家元 と 家元夫人は、お互いの顔を見乍らも、同じ様な事を考えて居たのだった。
“だったら、話しが早い(わ)。”と…。
だが、総二郎は総二郎で不思議に思って居たのだ。
だからだったのかも知れない。
此の時の総二郎は、自身の両親で在る 家元 と 家元夫人に訊き始めるのだった。
「で、親父 と お袋は、今、優紀ちゃんと一緒に居て、一体、何を話ししてたんだよ⁉
唯の食事会っつー訳ねぇよな。
何で、親父 と お袋が此の場に優紀ちゃんと一緒に居るのか?
全く、俺には理解出来ねぇ。
説明してくれるか?
まさかだとは思うが、お袋が、“総二郎(俺)に会わせたい(てぇ)お嬢さんが居るの
よ!”って、言ってたのは、もしかして、優紀ちゃんの事かよ⁉」と…。
勿論、此の時の総二郎の目付きは、自身の母親で在る 西門流 家元夫人を凝視したまま…だったのだ。
だからだったのだろう。
此の時の総二郎の母親で在る 西門流 家元夫人は、そんな自身の息子で在る 総二郎を凝視し返すかの様に睨み付け乍らも、言って除けるのだった。
「ええ、確かに、“貴方に会わせたいお嬢さんが居る。”って、伝えて置いたわ。
そうよ。
私(わたくし)が伝えて置いた其のお嬢さんは、もしかし無くても、此処に居る優紀さん
の事よ。
私(わたくし)は、優紀さんを気に入ってるのよ。
だからこそ、前々から、家元に優紀さんの事をお話しして置いたの。
其れで、“何時(いつ)かは、優紀さんと会って下さるかしら⁉”って、お願いして有った
のよ。
其れが、漸く、叶ったのよ。
でも、まさか、総二郎が優紀さんをご存知だったとは思っても視なかったけど…。」と…。
其処で、透かさず、総二郎は、自身の母親で在る 西門流 家元夫人に言い始めるのだった。
「はぁ~、優紀ちゃんの事…既に、お袋も知ってたんじゃねぇのかよ?
俺等が、まだ、(英徳)高校に通って居た頃…。
お袋が、“うち(西門邸)の前で、久し振りに更ちゃんに逢ったから…。”って、更をうち
の(西門)邸の中に迎え入れた時に、更と一緒に居た娘(こ)が優紀ちゃんだよ。
優紀ちゃんは、更と同じ高校の出身で、茶道部の後輩…だ。」と…。
だからだったのかも知れない。
そんな話しを自身の息子で在る 総二郎から聞かされた総二郎の母親で在る 西門流 家元夫人は、驚愕と共に、思い出したかの様に優紀に訊き始めるのだった。
「ねぇ、優紀さん…。
総二郎が言って居る事は本当の事なの⁉
あの時、更ちゃんと一緒に居たお嬢さんは、確か、ショートヘアの可愛いお嬢さんだった
筈でしょ⁉
今の優紀さんからは想像出来無い程、別人に見えるんだけど…。」と…。
実は、此の場が居た堪れない状況だった事から、今の今迄、下を向いたまま、微動だにして居なかった優紀は、総二郎の母親で在る 西門流 家元夫人から問い掛けられた事で、そーっと、顔を上げた後、返答するのだった。
「はい、そうです。
あの頃の私は、ショートヘアでした。
男の子っぽくって、似合って無かったですよね⁉」と、苦笑いを浮かべ乍ら…。
其処で、此の時の総二郎の母親で在る 西門流 家元夫人は、そんな優紀からの言葉に慌てるかの様に言い始めるのだった。
「いいえ、そんな事は無いのよ。
凄く、可愛かったわ。
でも、優紀さんには今の方がお似合いだと思っただけなの。
御免なさいね。」と…。
だが、此の時の総二郎の母親で在る 西門流 家元夫人は、更に、何かを思い出したかの如く、言い始めるのだった。
「じゃあ、私(わたくし)と優紀さんは、今回が【初めまして】じゃ無いって事かしら?
既に、私(わたくし)と優紀さんは、逢って居たって事よね。
優紀さんもお人が悪いわ。
其れじゃあ、私(わたくし)に言ってくれても良かったのに…。」と…。
だからだったのだろう。
此の時の優紀は、申し訳無さそうに、言い訳では無いのだが、総二郎の母親で在る 西門流 家元夫人に伝えるのだった。
「家元夫人にあの頃の私を覚えて頂いて居るとは、とても、思っても居ませんでしたので、
お話しする事自体、烏滸がましい事だと思って居ました。
もっと、早くにお話しして居れば良かったですね。
申し訳御座いませんでした。」と…。
勿論、此の時の優紀は、家元夫人にそう言った後、また、下を向いてしまったのだった。