for the second time ~2度目に~…<つかつく> 3.
類と総二郎は、あきらの意見に賛同する様な言葉を言って居た。
「そう何だよな。
如何、考えても、俺等 F3は、牧野にとって、邪魔者の様な存在にされてんだよな。
優紀ちゃんは、牧野の様子を窺っている様にも、見えるけど…な。」
「ほんとだよ。
俺でさえも、“一切、会わせない‼”って、言われたし…ね。」
類は、愚痴っぽく言って除けていた。
だが、そんな司は、諦め切れなかった。
“元はと言えば…。
滋が、俺とつくしをあの時、拉致ったから起こった事件だった筈だ‼
其れなのに…。
何故、俺まで、出禁に成らねぇと行けねぇんだ?”と…。
すっかり、司の中では、滋の厚意は無下にされて居た。
あの時、滋が拉致らなければ、あのまま、司は、NYに渡米したまま(NYに戻ったまま)、つくしと別れて居た筈…だった。
所謂、司は、二度と、日本には帰国させてもらえて居ないままだったかも知れなかったのだ。
其れが、あの時…。
滋が拉致った事で、つくしは、滋ん家(ち)(大河原家)のクルーザーの中で、つくしの想いが爆発した。
だから、司も、つくしへの想いを封印する事無く、つくしに向かう決心が着いて居た筈だった。
其れが、帰港してクルーザーを下りた後…。
港で起こった事件により、司は、暴漢に襲われ、つくしの記憶を失う結果と成った。
だから、敢えて言おう‼
滋だけの責任では無い。
寧ろ、道明寺HDの企業経営の仕方に難が在ったという方が、しっくり来るだろう。
其れも、司の責任では無い。
寧ろ、司の両親で在る 道明寺HDの会長・社長の責任に他ならないのだから…。
だが、司は、折角、記憶が戻ったにも関わらず、心の拠り所を失くしてしまったのだ。
つくしという、心の拠り所を…。
(道明寺)邸では、夜な夜な、喚き叫ぶ司が居た事も、また、事実だった。
タマから、其の事を聞き付けた西田は、此の事を取り敢えず、楓に申し伝えて居た。
何時何時(いつなんどき)、司が、キレる共、限らないのだから…。
そして、楓は、西田から、司の事を聞き付けた事で、大河原グループ 社長で、滋の父親で在る 大河原社長にアポを取る事にした。
楓は、嘗て、司に滋を宛がおうとした。
結果、つくしを忘れる事等出来なかった司 と つくしを苦しめた事が辛くなった滋の気持ちが一致して、此の縁談は破談に成っていた。
その事で、道明寺HDと大河原グループには、亀裂が生じていた。
だが、今度は、大河原社長の娘 滋ではない。
滋の友人には変わりないが…。
大河原社長とは、全く関係ない、家柄の人間…。
楓にとっては、滋の秘書という事で、筋を通そうとして居るだけに過ぎなかった。
だが、大河原社長は、つくしの人間性に対して、既に、高評価だった。
だからこそ、つくしを楓に逢わせる事は、些か、心配だったのだ。
何故なら、現在のつくしには、過去(高校2年生以降)の記憶が無いのだから…。
だが、其の事は、既に、楓も承知して居た事だった。
その方が、楓にとっては、好都合だったのだろう。
何故なら、楓とつくしとの間には、(つくしが高校生だった頃の)過去が在るからだった。
楓は、司の母親として、道明寺HD 社長として、真っ新な状態でつくしに向かう事が出来る事を、喜んで居る節が在った。
何故なら、つくしが、司の命を救った事を知った楓が、つくしに、司との1年の猶予を与える程…楓は、つくしの事を高評価だったのだ。
所謂、此の頃の楓は、つくしが司の命を救った事、また、つくしが『司』を一人の男として見ている事を、良い意味で、楓は、つくしの事を高評価だったのだ。
また、楓は、つくしが、滋をコントロールしている事も…。
或る意味、楓は、つくしを良い意味で高評価していた理由の一つだった。
だが、楓は、大河原社長より、滋が、つくしを司に逢わせたがらない事を教えられた。
だとする成らば…。
「打ち合わせと評して、司を牧野さんに逢わせて頂けないでしょうか?」
と、楓は、大河原社長に提案を掛けた。
その事により、司の頑張り度が変わって来る事を、楓は、大河原社長に、付け加える様に、伝えていた。
司とつくしの仲が上手く行けば…という事を前置きした上で。
「大河原グループに於ける全世界の企業シアーも変わって来る。」
と、半ば強引な形で、楓は、大河原社長に伝えていた。
大河原社長は、渋々、楓の提案を呑んで居た。
司は、楓から話しを聞いて、楓に感謝していた。
“もしかしたら、出禁を解いてもらえるチャンスかも知れねぇ。”と…。
司は、密かに、期待していたのだった。
そして、司は、大河原社長との打ち合わせの日が遣って来た。
司は、心弾ませていた。
つくしに逢えるのだから、当然な状態の司だったのだ。
だが、何も知らされて居ない滋は、此の事を知り、怒りに震えていた。
そして、司に文句を言う為…。
滋は、(大河原社長と司との打ち合わせ前の)事前に道明寺HDに向かうので在った。
その時は、つくしを伴わなかった滋だった。
当然と言えば、当然だったのだが…。
だが、滋と再会した司は、反対に、滋に文句を言って居た。
「お前が、あの時、無理矢理、俺とつくしを拉致らなければ…。
こういう事態に成って無かっただろ?」
「だとしても…。
司に記憶が戻っても、今のつくしには、司の記憶は無いの‼
其れが如何いう意味だか、分からない司じゃないでしょ?
司だって、つくしの記憶を失って居た頃は、つくしを必要として居なかったじゃない?
どんなに、私達 F3&T2が、つくしの存在を、司に話ししても、司が必要としたの
は、あんな変な女だったでしょ‼
今のつくしが必要として居るのは、私達 T3なの‼
其の事を肝に銘じて於いて‼」
滋は、思いっ切り、司に叫んでいた。
司も、滋に、舌打ちする事は、忘れて居なかった。
「チェッ‼」
だが、司は、滋に言って除けていた。
何故なら、例え、痛い所を滋に突っ込まれても、司は、つくしの件に関しては、一歩も引く気には成れなかったのだ。
否、寧ろ、引く気等無かった司だった。
「良いか…滋?
人聞き悪ぃ事は言うな‼
俺から、あの女に近付いたんじゃねぇ‼
あの女が、勝手に、俺に近付いて来てんだ。
俺には、記憶が無かったんだ。
だが、あの後…。
俺は、あの女が、俺の記憶の中に在る筈の『キーポイント』じゃねぇ事に気付き、あの
女を俺の前から、排除しただろ‼
其処の処は、滋…覚えてやがれ‼
俺は、つくしの事に関しては、一歩も、引き下がる気はねぇからな‼」
「………」
滋は、司には、何も、言い返す事が出来なかった。
そして、この日から、司と滋のつくしの奪い合いが始まったのだった。