記憶を失って…<つかつく> 8.
司には、楓より、古菱家とつくしの件が説明された。
その上で、司とつくしのお見合いを執り行う事に成ったと報告された。
司は、信じられない気持ちで居た。
司は、それが本当なら、つくしにやっと、面と向かって会えるんだと心弾ませていた。
そして、司とつくしのお見合いの日取りが決まり、執り行われる事と成った。
場所は、大阪メープル。
つくしは、父親で有る古菱社長より、この事が告げられた。
「つくし、大阪メープルで、食事会が有る。
つくしも来て欲しいと、先方より打診を受けている。
そのつもりで居なさい‼」
「えっ、絶対、行かなければダメ?」
「ダメだ‼
先方には了承してある。
頼んだぞ‼」
「はぁ~⤵。」
つくしは、溜息しか出なかった。
“多分、お見合いよね?”と、心の中で呟いていたつくしだった。
そして、お見合い当日の日が来た。
司は、昨夜は興奮状態がずーっと続いていた為、眠れず、寝不足気味だったのが、大阪メープルに着いた途端、気持ちがシャッキーンとしていた。
“現金なものね⤴。”と、楓は思っていた。
と、言うより、苦笑いで有る。
和やかに、お見合いは進行していった。
其処に急に、楓がつくしに話し出した。
「つくしさん、大阪メープルのお庭って綺麗なのよ。
見てらしたら…⤴。
司に案内させるわ⤴。」
「ですが…⤵。
………。」
司が被せる様につくしに言って来た。
「つくしさん、是非、案内させて下さい。
行きましょう⤴。」
司はつくしの手を取ると、つくしを立させた。
つくしは父親の顔を見たが、父親が頷いたので、司に就いて行く事にした。
司は庭を歩きながら、つくしに話していた。
「つくしさん、強引でしたか?」
「いいえ、大丈夫です。」
「こんな事をつくしさんに言えば引かれてしまうかもですが…。
俺、つくしさんに一目惚れしたみたいです。
俺と付き合ってもらえませんか?」
「………」
つくしは答えられなかった。
そんな時に、つくしを呼ぶ声が後方からした。
「つくし~‼」
「耕平さん⤵。
如何して、此処に?」
「つくしを追って来た。
つくしに聞きたい事が有って…⤴。」
司は耕平を退治する為、つくしに声を掛けた。
「つくしさん、俺専用の部屋が最上階にあります。
支配人に誘導させますので、そちらで待って居てくれませんか?
俺はこちらの方とお話しを済ましてから、部屋に向かいます。」
つくしは少し考えた後、司に答えた。
「分かりました。
そちらでお待ちしています。」
耕平も食い下がった。
「つくし…?」
「耕平さん、申し訳ありません。」
そう言い残して、つくしは支配人の誘導の下、エレベーターに乗った。