結婚出来ない男・しない女…<つかつく> 3.
其の後のつくしは、屋上に向かって居たのだ。
実は、普段から、つくしは疲れて来ると、屋上で、空気(酸素)を求めたく成るのだ。
つくしにとって、『屋上』という場所は、癒しの場だったのだ。
実は、道明寺総合病院の屋上というのは、“患者にとっての癒しの場に成る様に…。”と、いう理由から、木々 や 花々が植えられて居たのだ。
また、噴水も、ベンチも在るのだ。
だからこそ…。
道明寺総合病院の屋上には、癒しを求めて、患者だけじゃ無く、ドクター や ナースも休憩に来るのだった。
という訳で、つくしも例外では無く、癒しを求めて、疲れて来た時だけじゃ無く、休憩中も、良く、屋上に向かって居たのだ。
だからだったのだ。
つくしは、此の日の会議のイライラを解消する為に、屋上に向かって居たのだが…。
此の日のつくしのイライラは、全く、解消される事は無かったのだ。
だからだったのだろう。
此の時のつくしは、中学からの幼馴染で親友で在る 優紀の下にTELを掛けて、“今日の話しを、優紀に聞いて貰いたい。”と、思ったのだ。
だからだったのだ。
此の時のつくしは、迷わず、自身の携帯から、優紀の携帯に、TELを掛けたのだった。
「優紀…今、大丈夫…?」と…。
実は、此の時のつくしの声を聞いた優紀は、思って居たのだ。
“何処か、つくしの声に張りが無いなぁ~。”と…。
だからだったのかも知れない。
此の時の優紀は、努めて、つくしに、明るい声で、訊いて居たのだ。
“うん、大丈夫だよ。
何か、有った?”と…。
だが、つくしの声質は、更に、低く成り、言い辛そうに、優紀に話しし始めたのだった。
「うん、実は…ね。
さっき、会議が有って…ね。」と…。
そして、そう言い乍らも、此の時のつくしは、更に、先程の部長会議での出来事を、優紀に話しして聞かせて居たのだ。
で、其の部長会議での出来事の話を、話しし終えたつくしは、更に、優紀に訊いて居たのだ。
「ねぇ…私の話しを聞いて、優紀は、如何、思う…?」と…。
だからだったのかも知れない。
実は、此の時の優紀は、つくしへの返答の言葉に困って居たのだ。
何故なら…。
在り来たりの言葉しか、つくしに返答出来そうに無い優紀が、其の場に居たのだから…。
だからだったのだろう。
つくしが、自身の話しを聞いた事で、如何思うのか?
此の時の優紀は、心配に成り乍らも、つくしに、返答するのだった。
“其の場に、私が居た訳じゃ無いから…ね。
其の時の状況が、如何言う状況だったのか?
私には、良く、分からないし、如何言えば良いのかも、全く、分からないんだけど…ね。
つくしの話しを聞くだけだったら…。
其の経営者の方って、ちょっと、傲慢経営者かな?”と…。
だからだったのだ。
此の時のつくしは、優紀の言葉に納得して居たのだ。
だからこそ…。
此の時のつくしは、優紀に、返答するのだった。
「やっぱ、そうだよね‼」と…。
其処で、優紀は、つくしからのTELの内容よりも、つくしの身体の方を心配して居たのだ。
ドクターのつくしが、ドクターでも無い優紀から心配されて居る様じゃあ、本末転倒なのだが…。
“ねぇ、つくし…。
余り、イライラし無い方が良いよ。
そうじゃ無くても、つくしの職業は、神経を使う仕事でしょ‼”と…。
なので、此の時のつくしは、其の事に関して、答え様が無かったのだ。
何故なら…。
優紀から言われた其の言葉は、当たって居るから…だったのだ。
だが、此の時のつくしにとって、唯、優紀の優しさが嬉しかったのは、確か…だったのだ。
だから、一瞬、言葉は、出せずに居たつくしだったのだが、お礼の言葉だけは、優紀に伝えるのだった。
「………優紀…。
心配してくれて、有難う‼
気を付け無きゃ…ね。」と…。
其処で、優紀は、“何時(いつ)も、つくしは、疲れて居る様だし、つくしを誘って視ようかな。”と、思って居た事を、此の際だから、つくしに伝える事にしたのだった。
“ううん、つくしと私は、親友でしょ‼
つくしの事を心配するのは、当たり前だよ‼
でね、私ねぇ…。
つくしに連絡して、「つくしを誘って視よう‼」って、思って居た事が有ったんだよね。
ねぇ、つくし…。
時には、気分転換も大切だよ。
仕事がお休みの時に、一緒に出掛けない?”と…。
だが、此の時のつくしは、つくしで、答えられずに居たのだ。
何故なら…。
一応、休みというべき日は、つくしにも有るのだ。
だが、気に成る患者が居れば、様子を観に行きたく成るし…。
其れに、急患が入れば、呼び出される時も有るのだ。
だからだったのだ。
つくしは、休みで在っても、気の休まる時は無いのだ。
其れに、つくしは、総合外科部長という肩書が在る身なのだ。
そう簡単に、自分自身の都合を通せる立場にも無いのだ。
だからだったのだ。
此の時のつくしは、答えられずに居たという訳…だったのだ。
其処に、優紀が、更に、話し掛けて来たのだ。
“実はねぇ。
ほら、私…。
高校生の頃、茶道部だったでしょ‼”と…。
再び、優紀から、唐突に、話しを切り出された此の時のつくしは、実は、高校生だった頃の事を思い出して居たのだ。
だからだったのだろう。
つくしから、何の返答の言葉も無いという事も有り、此の時の優紀は、更に、話しを続けるのだった。
“で…ね。
つくしも知ってると思うんだけど…。
高校を卒業後の私は、茶道から、遠ざかって居たでしょ。
実は、つくしには、話しして居なかったんだけど…さ。
数年前に、高校の茶道部の先輩と、ばったり、再会してね。
其の先輩から、お茶の先生を紹介してもらって、実は、其れから、また、お茶を続けてた
んだよね。
其処で、知り合ったのが、今の旦那様…。
つくしには、詳しく、伝えて居なかったんだけど…。
つくしに言えば、心配されると思って居たから…。
だから…ね。
つくしに、詳しくは言えなかったの。
で、近々、お茶会が有るんだけど…ね。
つくしを、誘おうと思って居たの。
つくしも行かない…?
意外と、茶道って、頭の中が、クリアに成るよ‼
で、お茶の香りを嗅ぐと、意外と、癒されるし…。”と…。
そうなのだ。
実は、優紀の旦那様は、西門流 次期家元で在る 西門総二郎…だったのだ。
そして、此の時のつくしは、迷って居たのだ。
勿論、此の時のつくしにも、優紀からの自分自身への想いは、通じて居たのだ。
優紀に、心配掛けて居る事も含めて…。
だが、此の時のつくしにとって、お茶を嗜む気には成らなかったのだ。
何故なら…。
つくし自身、今の今迄、『お茶』というモノを、経験した事は無かったのだ。
どちらかと云えば…。
つくしは、動く方が好きなのだ。
なので、其の場に、ジーっとするという事に慣れて居ないのだ。
だからだったのかも知れない。
此の時のつくしは、“優紀からの誘いを、如何し様か?”と、悩んで居たという訳…だったのだ。
なので、優紀に、“行く事が出来る。”と、断言出来無い此の時のつくしにとって、優紀に、本音が言えない事が、何よりも、辛かったという訳…だったのだ。
だからこそ…。
在り来たりな言葉を、優紀に返して居たつくしだったのだ。
「時間が合えばって…処かな?」と…。
だからだったのだろう。
此の時の優紀も、其の場(TELで)の雰囲気を読み取った様で、当たり障りの無い言葉で、つくしに返答するのだった。
“うん、分かった。
また、連絡するね。”と…。
此の時のつくしの気持ちを理解して居る優紀だからこそ…。
此の時の優紀のつくしへの返答の言葉だったと言えたのだろう。
だが、此の時のつくしは、優紀と話せた事で、素直な気持ちに戻れて居たのだった。
だからこそ、つくしは、優紀に其の事を伝えて居たのだった。
「優紀と話せて、良かったよ‼
何だか、気持ちが楽に成った。」と…。
だからだったのだろう。
此の時の優紀は、笑い乍ら、つくしに返答して居たのだ。
“そんな事で良いなら、何時(いつ)でも、TELしてくれて、良いよ(笑)‼
でも、つくしも、いい加減、恋愛しなよ‼”と…。
だが、此の時のつくしは、苦笑いだったのだ。
TELの向こう側に居る優紀には、見えて居なかったのだが…。
「恋愛は、今の私には要らないかな(苦笑)?
今の私にとって、仕事が、恋人だよ‼」と…。
だからだったのだろう。
此の時の優紀も、TELの向こう側では、苦笑いだったのだ。
“此れだから、恋愛初心者は…(苦笑)?”と…。
そうなので在った。
つくしは、ほぼほぼ、恋愛初心者だったのだ。
実は、此れ迄のつくしは、勉強、勉強で恋愛して来なかったのだ。
其のツケが、今のつくしを生んだと言っても過言じゃ無かったのだ。
そして、其の後のつくしと優紀は、他愛も無い話しをして笑い合った後、お互いのTELを切ったのだった。
そして、また、つくしは、持ち場に戻るのだった。
『医療』という、戦場の場に…。