慕情そして恋情…<つかつく> 7.
<つくしside>
私は、翼に、楓社長から打診の有ったマンションに住む件を、相談して視た。
「俺は良いよ。
父さんを助ける事に成るんでしょ?」
「本当に、良いの?
翼にとって、辛い事を父親から言われるかもよ?」
「記憶がないから、そう言ってるだけでしょ?
俺が、息子だと分かれば、きっと、酷い事は言わなくなるよ。」
「翼、優しい子に育ってくれて有難う‼」
「母ちゃんの子だからね‼」
「翼、お願いが有ってね…⁉
お祖父ちゃんとお祖母ちゃんには、“ヘッドハンティングされた事務所の社宅に住むか
ら。”って言って、引っ越しをするから、本当の事は言わないでね…。
お祖父ちゃんとお祖母ちゃんが、お仕事をしなく成ったら、進が困る事に成ると思うか
ら…ね⁉」
「了解‼」
私は、進にも翼と同じ内容を話しして、進に了承を得た。
進からは、道明寺家側に行く事は、“大丈夫なのか?”と、頻りに訊かれた。
私は、楓社長の顔付きを見て、“信用しようと思う。”と、進に伝えた。
進は心配してくれて居る様子だった。
楓社長には、翼が了承してくれた事を伝えた。
其処で、楓社長より、更なる、提案をされた。
小出しに、提案する所は、全然変わって居ないと思った。
「つくしさん、翼を英徳学園に編入させたいの?
如何かしら?」
「………」
“如何かしら?”と、訊いて居る様で、既に、道明寺家では決定事項何ですよね?
私には、反論の余地を与えない戦法は…。
私は、ビジネスの相手じゃないっつーの‼
「翼は区立中学に通っています。
英徳学園の勉強に就いて行けるとは思えないんですが…?」
「あら、つくしさん、翼の親なのに、翼の学力はご存知ないのかしら?
調べさせてもらったけど、翼の学力は、相当なものよ。
翼の学力なら、英徳学園でも、十分よ。」
それって、私に対しての嫌味ですよね?
溜息しか出ないわよ。
“はぁ~⤵。”
「嫌味じゃなくてよ。
本心よ。
つくしさん、貴女、心の声がダダ洩れよ。
相変わらずの様ね。
弁護士なら、その辺はお直し為さい。」
「………えっ‼」
私は、口を抑えたけど、遅かったみたい…。
楓社長は此処だとばかり、更に、提案して来る。
「それと、翼には、将来の道明寺HDの後継者として、英才教育は受けさせたいと思って
居るの。」
「………」
まだ、有る様だった。
「それと、リムジンでの通学も許可して頂戴。
翼の安全確保の為よ。」
「………」
まだ、有るんですか?
「それと、英徳学園を編入の際は、『道明寺翼』として、編入されるので、そのおつもり
で。」
楓社長の話しが止まった。
「全て、決定事項ですよね?」
「ええ、道明寺会長の…ね。」
「私の反論する余地はありますか?」
「無いわ。」
じゃあ、何も言えないじゃん。
“はぁ~⤵。”
溜息しか出ないわよ。
「まだ、戸籍上は、『道明寺』じゃないけれど…。
司の記憶が戻る、戻らないに関係なく、つくしさん、貴女が司の傍に居れば、あの息子(こ)は、間違いなく貴女を離さなく成るわ。
それが如何言う意味だか、分からない貴女じゃないわよね?
と、言う事は、戸籍が有る無しに関わらず、つくしさんと翼は、もう、『道明寺』の人
間なの。
その事は、肝に銘じて於いて頂戴。」
そんな風に言われて、嬉しいのか、嬉しく無いのか、分からなく成っていたつくしだった。
そして、つくしは、両親に引っ越しの件を話しし、つくしと翼の引っ越しは完了した。
そして、新たに、つくしと翼は生活環境を変えて生活する事と成ったのだった。