忘れ欠けていた…<総優> 15.
総二郎は、高校の頃の自分自身(総二郎)の行いを忘れ欠けていた。
否、総二郎が犯した優紀への行いだけを忘れ欠けていたと、言うべきか?
総二郎は、高校の頃の自分自身(総二郎)が、優紀に言ってしまった言葉を思い出していた。
“優紀ちゃんを仲間以上には見れねぇ。”と…言いながらも、総二郎は、優紀とは仲間で居続ける事も強要していた。
其れまでにも…、それ以外にも…。
総二郎は、優紀を遠避ける様な言葉や、態度、仕打ちをしていた事も思い出していた。
総二郎は、その当時、優紀に対しては、気持ちと行動が矛盾していた。
遠避け様としながらも、仲間で居続ける様に強要したり…。
まさか、この事が、過去の自分自身に寄って、現在の自分自身が苦しめられる結果に成ろうとは、総二郎とて、思ってもみなかったのであった。
また、過去の自分自身がした行いで、優紀の心と身体を傷付ける結果に成ろうとは、思ってもみなかったのであった。
だが、如何したら良いと言うのか?
今の自分自身(総二郎)の中で、優紀の存在が膨れ上がって来ていた。
もう、既に、総二郎は、優紀を諦め切れない所まで来ていた。
そう考えて居た時、つくしが、別室から出て来た。
「類っ‼
優紀、泣きながら眠った。
だから、今日は、私が就いてる。
おば様に伝えて‼」
「了解‼
ごめんな、宜しく頼むよ‼」
司は、つくしを置いて、邸に帰れないと判断して、主寝室に自分自身(司)も寝る事にした。
「俺も、居るし、何か有ったら、類に連絡するわ‼」
「うん、分かった‼」
総二郎は、3人の会話を唯、じーっと、聞いて居るだけだった。
だが、総二郎は、司とつくしに懇願した。
「なぁ、俺も居ちゃあ、いけねぇか?」
「西門さんが、如何して優紀の傍に居られるの?」
「牧野、俺は、優紀ちゃんを好きなんだ。
いや、本当は、高校の頃から、好きという気持ちに蓋をしていただけだったんだ…。
再会して、心の蓋が開いたらしい…。」
「だからって…、優紀の気持ちは?」
「俺は、一生、優紀ちゃんに償う。
否、一生、優紀ちゃんだけを見詰めて生きて行く覚悟は出来てる。
俺は、一生、優紀ちゃんを守るよ‼」
あきらと滋を除いたF2&T2は、信じられないで居た。
「「「「………」」」」
司は、総二郎に言って除けていた。
「なぁ、総二郎…。
お前、高校の頃、俺が言った言葉、覚えてるか?」
「否ぁ~、色々有り過ぎて…⁉」
「だろうな⁉
あのな、総二郎が俺に、“お前(司)は、一生、女一人で満足なんか?”って聞いて来た
から、俺が、“俺は、一生、牧野一人で充分だっ‼”って言ったら、総二郎は、“俺には、
その気持ちが分かんねぇ⁉”って言ったんだ‼
思い出したか?」
総二郎は、その後、司に言われた言葉を思い出していた。
「ああ、思い出した。」
「じゃあ、あの後、俺が言った言葉は…?」
「ああ、思い出した。」
「何て、俺は総二郎に言った?」
「“そんな、遊びばっか遣ってると、後悔する時が来るぞ‼”だったか…?」
「ああ、覚えてるじゃねぇか?
俺は、嘘は言ってねぇぞ‼
あの頃の総二郎は、“有り得ねぇ‼”って言ってたけどな。」
総二郎は、優紀に関する全ての事を忘れ欠けていた事に気付いた。
優紀の事、全てを忘れて、心から排除して、心から、記憶から欠けさせていた。
心の中で、そんな自分自身(総二郎)の事を自分自身で、“ふざけんな‼”と、罵っていた総二郎だった。