出会ってしまった…<つかつく> 6.
<類side>
俺は、牧野から、連絡を受け、ディナーを一緒にする事に成った。
牧野と会うのは、久し振りだったし、牧野から誘われる事は、滅多にと言う寄り、殆んど無い事なので、ちょっと、浮かれていた。
牧野から相談を受けた内容と言うのは…。
「あのね、海外事業部に配属されて、喜んで居たんだけどね…⁉
秘書課に、急に明日から、異動って、言われたの。
まだ、入社して、半月過ぎた所でしょ?
こんなに早い時期に異動の打診って、有りな訳?」
「如何だろ?
うち(花沢物産)じゃあ、無い事だけど…ね?
まあ、牧野が優秀って事じゃないの?」
「う~ん、何だか、こんな時期での異動って、何か有る様にしか思えないんだよね?」
「まあ、何が有るにしても、もし、辞めさせられる様な事が有るなら、うち(花沢物産)
で、雇って上げるよ‼
優秀な牧野だから、大歓迎だよ‼」
其処に、接待か何かで、司が現れた。
司は、俺に挑発するような瞳(め)を向けて来た。
司の態度で、俺は何と無~く、分かってしまっていた。
“牧野に、SPでも就けているんじゃないの?”と、司に言いたく成って居た。
「あれ…⁉
司じゃない?」
「ああ、楽しそうだな?」
「うん、楽しいよ‼
ああ、司は初めてだったよね?
英徳大学の俺の1年後輩の牧野。
道明寺HDで働いているんだよ‼」
「ああ、知ってる。」
俺は、司にカマを賭けて見た。
“やっぱり…‼”としか言い様が無い、司の反応だった。
“司って、ほんと分かり易~い‼”と、俺は、心の中で、司に悪態を言って居た。
そんな事を思って居たら、司が、“此処では何だから…。”と、個室を手配させていた。
場所を移動してから直ぐ、司からは、意外な言葉が聞けた。
牧野と言えば、一人蚊帳の外の様に振舞って、食事に集中していたのだが…。
司の言葉を聞いて、一瞬で、顔を司に向けた。
「よう、牧野っ‼
明日から、秘書課な‼
聞いてるよな⁉」
司のその言葉に、俺は確信を持ったのだ。
“司は牧野を好きに成ったのか?”と…。
牧野は、慌てて、確認していた。
「はい、伺っています。
新入社員の私に、何故、この時期の異動でしょうか?
私、何か、不手際を起こしましたでしょうか?」
俺は、しっかり、司の顔の表情を捉えていた。
司は、右の口角を上げて、ニヤッと不敵な笑みを溢した。
そして、司は、飄々と、牧野に返答していた。
「否、何も起こしてねぇよ‼
上司から、理由を聞いてねぇのか?
唯、お前が、優秀だからだ‼
明日からは、俺の下に就いてもらう‼
俺の下に就いた方が、グローバルな仕事は出来るだろ?」
「………」
牧野は、強引過ぎる遣り方の司に、戸惑っている様子だった。
そして、今更ながら、牧野が俺に聞いて来た。
「ねぇ、類っ‼
専務とは、如何言う関係なの?」
牧野が俺に聞いて来た事が不服そうに、不貞腐れて居る司を横目に、俺は、牧野に答えていた。
「前に言ってた事あったでしょ?
ほら、今はNYに居るけど、ほんとは、F3はF4、何だって…。
そのF4の後の一人が司だよ‼」
「えっ??
そうだったんだ‼」
俺の方に向いて居た牧野が、司の方に向き直しして、司に詫びを入れていた。
「専務、存じ上げて無くて、申し訳御座いませんでした。」
「否、構わねぇよ‼」
カッコ付けて牧野に返答している司だけど…。
俺が見た事もない司の姿に、俺は、心の中で、溜息しか出なかった。
“はぁ~⤵。”
全く、『司』過ぎて、笑えて来るよ‼
どうせ、司は、今日の俺と牧野の事を俺に訊き出したくて、ウズウズしてんでしょ?
どうせ、司は、日にちを変えて、俺を呼び出すつもりなんでしょ?
ほんと、分かり易~いよ、司は…‼
<6.も、短めで申し訳御座いません。>