バラバラの果てに…<ALL CP> 10.
皆が滋の事で話ししている間、総二郎は、一人、皆と離れた所で、無言で居た。
無言で居たというより、優紀の名前が桜子から出て、『心此処に在らず』状態の総二郎であった。
総二郎は、今、桜子から、優紀が京都に居て、何をしているのか聞きたい気持ちを抑えていた。
そんな時、あきらが総二郎の様子に気付いた。
流石、『世話焼きのあきら』だけは有ると、言った処か。
総二郎の傍まで近付いたあきらが総二郎に声を掛けた。
「総二郎、如何した?」
「はぁ~??」
「浮かない顔してるぞ⤵。」
総二郎は、思いっ切り、溜息を付いていた。
「はぁ~⤵。
なあ、あきら、俺の前で、連絡先の交換を桜子がしようとしねぇのは、優紀ちゃんがそ
うさせてるんだよな?」
「………」
あきらは、“そうだろうな‼”と、思いながらも答えられずにいた。
「優紀ちゃんは、“パーティーには行かねぇ。”って、桜子に伝えたって事は俺が居るから
だよな?」
「………」
あきらは、更に、“そうだろうな‼”とは思ったが、口に出せないでいた。
あきらは、桜子から、総二郎が優紀にした行為を聞いていた為、総二郎の味方には成り切れていなかった。
あきらの態度から、その事を総二郎も何となく読み取ったのか、あきらに聞いて来た。
「なあ、あきら、桜子から優紀ちゃんの事、聞いてるんじゃねぇのか?」
「………、ああ、まあな…。」
あきらも黙って居る事が出来ないと悟ったのか、桜子から聞いた全てを総二郎に聞かしていた。
総二郎は、優紀が京都の大学を選んだのも、“優紀の都合だろう‼”と、踏んでいたので、余りの衝撃に言葉も出させないでいた。
総二郎は、さっき、つくしが言っていた、“優紀が辛そうにしていた。”という意味がやっと分かったような気がしていた。
“だから、京都の大学を選んだのか。”と…。
“否、選ばせてしまったのは俺か。”とも、総二郎は、考えていた。
総二郎は、席に戻り、皆の居る前で桜子に懇願していた。
総二郎が取り乱す事等、普段、滅多に無い事なので、皆、呆気に取られていた。
「桜子、頼む‼
今、優紀ちゃんに連絡してもらえねぇか?
優紀ちゃんと話しがしてぇ‼
頼むよ、お願いだ‼」
桜子は悩んでいたが、つくしが提案して来た。
「桜子、先ずは、西門さんの気持ちを優紀に伝えてからの方が良いんじゃない?」
「そうですね。
その方が良さそうですよね?」
総二郎もそれで了承した。
桜子はその場で、優紀にLINEを入れた。
『優紀さん、今、パーティーが終わって、皆さんと居るんですが…。
西門さんが優紀さんと話しがしたいそう何です。
話し出来ますか?』
優紀は悩んでいるのか、直ぐには返信が無かった。
「西門さん、優紀さんの返信が無いですね?」
総二郎は苦笑するしかなかった。
そうこうして居る間に、優紀からの返信が来た。
『今って事?』
「西門さん、優紀さんからの返信が来ましたが、『今って事?』って、返信が有りまし
た。
何て、返せば良いですか?」
総二郎は苦笑するしかなかった。
総二郎は、“其処まで、俺は嫌われているのか?”と、悲しく成って来ていた。
「今がダメなら、“アドレスを教えて欲しい‼”って聞いてくれねぇか?」
「分かりました。
確認してみます。」
桜子は優紀にLINEを入れた。
『西門さんが、今がダメなら、アドレスだけでも教えて欲しいそうです。
如何しますか?』
少しして、優紀の返信が入って来た。
『何方かって事?
じゃあ、今、話す方が良いかな?
此れで、最後にしてもらえるでしょ…。』
「西門さん、今、話す方が良いそうです。
私の携帯から、話して下さい。」
総二郎は、
『何故、桜子の携帯なんだ?
優紀ちゃんは、俺の携帯には掛けて来てはくれねぇんだ…⤵。』
って、落ち込んでしまっていた。