好きなのに…<総優> 6.
優紀が、お茶を習いに行くようになって、早3ケ月が経った。
その間、総二郎と優紀は、一切、会っていない。
総二郎は、優紀欠乏症になった様で、大学もさぼりがち、仕事も失敗続きになっていた。
総二郎の腑抜けた姿を見たF3は、見てはいけないものを見た気分になっていた。
F3&T2は道明寺邸に居た。
「西門さん、大丈夫なの?」
「あれは、再起不能だな。」
「だから、俺が言ったじゃん‼」
「花沢類‼
そういう問題じゃないから‼」
「西門さん、どうなさるおつもりでしょうか?」
「親父が言うには、“使い者にならない。”って、家元が言ってたらしいよ。」
「家元があきらの親父さんに言うくらいだから、相当、酷いんだろうな。」
「来週、茶会が有るらしいんだけどよ、今のままなら、使い者にならないから、連れて行
かないかもな。」
「相当、ヤバいだろうな。」
「西門家、始まって以来じゃないか?」
「そうだろうな。」
「あっ、優紀から、ラインが来た。」
『つくし、この前は、ごめんね。
騒がせて。』
『急に、どうしたの?』
『ママから…ね、“お祝いを届けて”って、頼まれたの。
今日、空いてる?』
『うん、でも良いの?
おばさんに迷惑掛けたよね?』
『ママ、喜んでたわよ。
大した品じゃないと、思うけど…ね。』
『桜子も居るの。』
『ほんと、お礼が言いたいと、思っていたから、会えるなら、嬉しいな。』
『じゃあ、お邸で待ってるね。』
『うん。』
「先輩、優紀さん、何て?」
「今から、来るって。
桜子もお邸に居るって、言って有るから、宜しくね。」
F3は小声で…
「総二郎、呼ぶか?
元々、居た事にすれば大丈夫だろ?」
「無理あるだろ?
総二郎が居るって分かれば、優紀ちゃん、帰っちまうんじゃないか?」
「そうだよな。⤵」
「直接は会えないけど、総二郎に影から見させるのはどう?」
類の提案にすんなり乗った。
司は総二郎にTELし、道明寺邸に来るよう促した。
「総二郎、うちの邸に松岡がつくしに会いに来るらしい。
どうする? 来るか?」
「俺の顔見たら、帰っちまうだろ?
だから、止めとく。
でも、有難な。⤵」
「直接は会えなくても、陰から見るだけなら、大丈夫だろ?
どうする?」
「行く、今すぐ行く⤴。」
「分かった、待ってる(笑)。」
総二郎の気分は浮上した。
“分かり易い奴だよな。”…皆、口に出しては言わないが、心の声は苦笑していた。
類とあきらは、“総二郎は司並みか?”と、見合わせて、顔は苦笑していた。