再び…<総優> 3.
<総二郎side>
俺は、優紀に仕掛けた。
「優紀ちゃん、俺、“優紀ちゃんに惚れた‼”って言ったら、如何する?」
「………」
やっぱり…か?
成らば…?
「優紀ちゃんが、魅力的な女性に変身してたから…。
俺、優紀ちゃんに遣られたらしいわ‼」
「………」
ほんと、強情だよな?
「優紀、何か言えよ(怒)?」
「如何して…?
今更、ですよね?」
「今更じゃねぇよ?
今だから、俺は、優紀に向かえる事が出来んだよ‼
高校の頃の俺は、ガキだったんだよ。
上手く言えねぇけど、優紀を守れる根性が無かったんだ。
今の、俺なら、優紀を守る事も出来る‼
だから、もう、中途半端じゃなく、真剣に俺は、優紀と向き合いたい‼」
俺は、真剣に優紀に伝えた。
優紀が、また、俺から逃げねぇ様に…。
もう、俺は、優紀を逃がす事は、出来そうもねぇんだよ‼
俺は、優紀を見付けてしまったのだから…。
<優紀side>
何故、こんな事に成ってしまったのだろう?
私は、西門さんに背後から、抱き締められたままで居た。
いい加減、離れて欲しいけど…。
離れてくれそうにも無かった。
でも、取り敢えず、声だけは、西門さんに掛けてみた。
「西門さん、いい加減、離れてもらえますか?
苦しく成って来ました。」
「優紀、俺は、お前から離れるつもりはねぇ‼
離れて欲しいなら、優紀も宣言しろ‼
俺と、“付き合う‼”と。」
私は、西門さんから、“離れたい‼”と、言う意味で言って居たのではなく、抱き締められている腕を解いて欲しかっただけ…なのに。
「あの~、言って居る意味が違うんですが…⁉」
「意味は如何でも良いんだよ。
俺は、お前を俺から、もう離さねぇ‼」
<総二郎side>
俺は、優紀が言って居る、『いい加減、離れてもらえますか?』と、言って居る意味は、分かって居た。
分かって居るのは、当り前ぇだ。
俺も、馬鹿じゃねぇ。
だが、分かって居ても…、勘違いだと受け取られても…。
俺は、今、俺から優紀を引き剥がす事が出来なかった。
それ程、俺は、優紀に惚れた。
俺は、何故、高校の頃は、優紀を俺から、遠避ける事が出来たのか?
今、思えば、俺に、覚悟が持てなかったんだろう?
『西門』に対する覚悟…。
今なら、持てる筈…。
今なら、俺は、優紀を守って遣れる。
俺は、優紀に声を掛けた。
優紀、良いか?
俺の一世一代の俺の声を聴きやがれ‼
「優紀、俺は、お前に惚れた‼
もう、お前じゃなきゃ、俺は、如何にも成らねぇ処まで来てんだよ‼
如何する?
そんな、『心が寒ぃ~』俺を残して、帰れるのか?
優紀は…よ⁉」
<優紀side>
西門さんは、狡過ぎる。
私が、応える言葉を、待ってる⁉
と、言うより、期待して居る…⁉
私が、あの時…。
そう、高校生の頃に、西門さんに返したあの言葉を、今、期待してる…⁉
眼がそう言ってる…⁉
私は、如何すれば、良い?
あの頃と違って、良い大人の歳に成った今の私にとって、分かり過ぎる位、分かる…⁉
今の此の状況…⁉
西門さんになんて、応えれば、良いのか?
どうせ分かるだろうから…⁉
言えば良いのだろうか?
悩んでいる場合じゃあ、無いんだろうな…⁉
今の私…⁉