好きなのに…(続編・その後)<総優> 9.
【家族 編】
<総二郎side>
あれから、月日は流れ、あの時、優紀が出産した長男は3歳になった。
長男が3歳になった年に長女が生まれた。
長男の名を、『優一郎』と、名づけ、長女の名を、『光紀(みつき)』と、名付けた。
優一郎はここ最近、喋りが堪能に成って来たせいか、俺は時間が有れば、優一郎を外に連れ出して、遊んで遣っている。
優紀も生まれて間がない光紀の世話と優一郎の世話で疲れが見えていたからだ。
優一郎を公園に連れて行けば、周りに居る奴等から、毎回、同じような言葉を言われる事が増えて来た。
「えっ、可愛い‼
ミニチュアじゃない?」
その度に、優一郎からも聞かれる言葉は決まっている。
「おとうしゃん、“みにゅちゅわ”って、な~に?」
俺も毎回、同じように返している。
「お父さんに似てるって、言われてるんだ。
お父さんと、一緒って、事だ。」
「おとうしゃんと、いっしょ。
ぼく、おとうしゃんといっしょ?
うれちいいなぁ~。」
毎回、舌足らずな喋り方で言う優一郎が、俺は可愛くて仕方ない。
あの、俺がだぞ。
誰が、子煩悩に成るって、想像した??
この俺の姿を…、俺の親としての姿を…、あいつらに、F3には見せられない。
笑い転げられるのがオチだ‼
だが、親に成るって、不思議だよな。
気持ちが落ち着いて来るんだよな。
優一郎も連れ出しても、無理は言わないし、ちゃんとしてる。
他の同じ年くらいの子供とは比べられないくらい、子供にしては、『大人』だ。
多分、優紀の躾の賜物だろう。
俺は意外だったのだが、優紀は躾には厳しい。
優紀自身、一筋縄ではいかない所も有るが、一本芯が入ったみたいに筋を通す所が有り、誰にでも、きちんと対応出来る。
そう言う所が、優一郎は優紀似なんだろう。
いつも、優紀は俺に言う。
「優一郎は将来、西門流を継いでいかなければいけないの、その為には、厳しい事も言わ
なければいけないの。」
俺は優紀に言っている。
「そんなに、気負わなくて良いから。
優一郎が可愛そうだろ。
まだ、小さいのに…。」
優紀も俺に躾について説いて来る。
「『三つ子の魂、百まで』よ。」って。
そりゃあ、そうだけどよぅ~。
一言、余計だって言うんだ。
「総二郎さんにみたいにならない様に…。」
“悪かったなぁ~、碌でもねぇ男と結婚させてよ。”って、言えたら、どんなに良いか⤵。
俺の、昔の素行を何時までも突く妻って…。
やっぱ、女も子供を産んだら強ぇなぁ~⤵。
優紀も例外じゃなかって、事だよな⤵。