バラバラの果てに…<ALL CP> 21.
桜子はあきらに感謝して言っていた。
「美作さん、有難う御座いました。
此れで、日本に帰国出来ます。」
「ああ、そうだな‼」
あきらは、脱力したかの様に、桜子にしな垂れ掛かる様に倒れ込んだ。
そして、あきらは、桜子を抱き締めて離さなかった。
「美作さん、離して下さい。
苦しいです。」
「ああ、すまん。
ほっとしたらしい。
この俺が…。
情けねぇな…。」
「そんな事無いです。
カッコ良かったですよ‼」
あきらは、今日、一番の笑顔で桜子を見詰めていた。
しかし、桜子には、しっかり、お灸を据える事は忘れなかったあきらだった。
「桜子、今回の件は、俺と再会する前の件だったから、咎める事はしねぇ。
俺も、他人(ひと)には言えねぇ事もしてるしな。
だが、此れからは、ねぇぞ‼
分かってるな、桜子‼」
「………、分かりました。」
早速、あきらは、桜子を束縛にし始めた。
まだ、あきらとは、“付き合う話しに成って無い様な気がするんですが…。”と、桜子は、思うのだった。
あきらの気持ちの中では、もう既に、恋人に成っていたので有った。←気が焦っていますなぁ~、あきら君‼ by 天の声
あきらが焦るのも、仕方ないのだった。
モテる桜子を独り占めにする為には…、桜子の気持ちをあきらの方へ向けさせるより他無いのだから。
そして、あきらと桜子は、一緒に日本に帰国する事に成ったのだった。
そして、あきらは、総二郎に連絡を入れた。
「総二郎、2~3日後には、日本に帰国するわ‼
まあ、“楽しみしとけ‼”って、言っていた事が、現実に成ったから…。
楽しみにして於いてくれ‼」
今の、総二郎の気持ちとしては、他人事は考えられない状況だったのだ。
総二郎は、あきらを迎い入れられるだけの気持ちの余裕は無かったのだった。
総二郎は、あの日以来、優紀に対して、臆病に成って行く自分自身と如何、向き合ったら良いのか分からずに居た。
其れ処か、自分自身に自信が持てないで居た。
あれ程、自信に満ち溢れていて、クールな総二郎は何処に行ったのかと、誰もが危惧する位、総二郎の様相は変わってしまった。
家族、使用人の誰もが、口々に、総二郎を心配する声が聞こえてくる位だった。
使用人頭のかよからも、皆の気持ちを代弁するかの様に、家元夫人に話ししていた。
「家元夫人、総二郎様は如何為されてしまったのでしょう?」
「ねぇ、かよさん、此処だけの話しにして下さらない?」
「ええ、勿論ですよ。」
「有難う‼
実は、総二郎は恋煩いを起こしてしまって居るの。
しかも、相手の女性を高校生の頃に、自分の気持ちを偽って、振っているのよ。」
「はぁ~??」
使用人頭のかよとて、この状況は、想定外だった。
かよは、何も応えようがなかったのだ。
「あの、総二郎が、折角、本気の恋をしたというのに、恋煩いって、上手く行かない
ものよね⤵。
はぁ~⤵。」
家元夫人は母親として、総二郎の恋を応援して遣りたい。
そう思えど、相手方の優紀が、拒絶反応を示しているので有れば、成す術が無いと言うのが本音だった。
総二郎が起こしてしまった過去の罪…。
総二郎が、自分自身で解決するより他無いのだろう…。
家元夫人は複雑な気持ちを抱えたままだったのだ。