忘れていた気持ち…<つかつく> 3.
<つくしside>
私は、エリカの言葉に、私の心の中で封印していた気持ちを思い出してしまった。
所謂、『忘れていた気持ち』を、思い出す羽目に成ってしまった。
東京に居る事が辛く成ったから…。
関西に逃げて来た様なものなのに…。
其れをエリカに愚痴っても仕方ない事は分かって居た。
エリカにお見合いの話しをした日から、2~3日が経った金曜日…。
「今日は、飲みに行くでぇ~‼」
って、エリカに誘われて来たのが…。
何と、大阪メープルっ‼
「知り合いからチケット、貰た(もろた)んよ‼」
と、エリカに連れて来られた。
で、席に就く成り、エリカに聞かれていた。
「なぁ、つくし…?
つくしって、付き合った事、有るん?」
私は、面食らってしまった。
「えっ??
行き成り、何それ?」
「前から、聞きたかったんよなぁ?
つくしって、こっち(大阪)に来るまでは、東京、遣ったんやろ?
東京で、何か有ったん?」
私は、エリカが、エスパーに見えた。
私は、エリカの言葉が、驚愕の余り、関西弁が出て来なかった。
「えっ??
何で…?」
「だってさぁ、こっち(大阪)に来てからのつくし…?
恋人として、男の人と付き合った事、在れへんのとちゃうの?
其れに、(男の人と)恋愛もしてへんやろ?
あんなにモテるのに…?
勿体無く無いん?」
エリカの言いたい事が…?
全く、分からない私だった。
「恋愛は、もう、ええかな?」
「何でなん?
まだ、女を捨てる歳でも在れへんやろ?」
「女を捨てるつもりは在れへんよ。
でも、恋愛は…なぁ?」
エリカは、首を捻って、不思議そうな顔をして居た。
だから、私は、続けて、話しをして居た。
「実はなぁ~、私…?
一生分の恋愛を東京でしてもうたんよ‼
高校生の時にな。
『ジェットコースターの様な恋』を…なぁ。」
エリカは、首を捻って、私の言葉を繰り返し尋ねて来た。
「『ジェットコースターの様な恋』…?」
「そうやねん。
『ジェットコースターの様な恋』。
ええ事が有ったと思うたら、悪い事が起こる。
そんな恋…遣ってん。」
尚も、エリカは、首を捻りながら、訊いて来た。
「『恋愛』って、そんなもんちゃうの?」
「そうやね。
普通は、そうやんね?
でも、ちゃうんよ‼
私の場合は…。
だから、“恋愛に疲れた‼”って、感じやねん。」
「何か、つくしって…。
『若年寄り』みたいやな?」
私は、面食らって居た。
「へっ??」
「何か、つくしって…?
この歳で、既に、人生、捨ててへんか?
あかんでぇ~。
ほんま、そん何、あかんわ~‼
まだ、私等は、先が長いんやでぇ…。
今から、そんなに老け込んだら、どんどん、老けるでぇ~。
なぁ、つくし…?
恋愛しよやぁ‼」
「………」
私は、何も、答えられずに居た。
<司side>
俺は、偶然、打ち合わせで、大阪メープルのレストランに居た。
其処に、つくしと、あの同期らしい女が、一緒に入って来た。
俺の座っていた場所は、衝立で目隠しされて居たので…。
端から見ても、衝立の向こう側で、誰が居て、何が有るのかは、分かり難い状態だった。
だが、俺が、席を立った時に、気付いた。
何か、俺にとっては、耳の痛ぇ話しをしてやがった。
けど、つくしの関西弁に、俺は、萌えてしまった。
滅茶苦茶、可愛いじゃねぇか?
其れもそうだが…。
高校の頃より、大人っぽく成ったか?
綺麗に成ってやがる。
で、俺にとって、聞き伝手成らねぇ言葉が聞こえて来た。
つくしが、モテるだと…?
ヤベっ??
このままだと、誰かに、本当に持って行かれてしまうな。
つくしは、今、彼氏は、居ねぇみてぇだから、今、責めねぇとな?
つくし、俺は、やっと、日本に帰国する事が出来た。
5年掛かったけど…な。
やっと、俺は、お前を取り戻せる。
待ってろよ、つくしっ‼