Once again~再び~ 8.
〈総優〉
実は、「チェッ」と、悪態を吐いて(ついて)居た総二郎…だったのだが、後悔せずに済んだ事で、後々、自身の母親で在る 西門流 家元夫人に感謝する事と成るのだった。
実の事を言うと、自身の母親で在る 西門流 家元夫人からのそんな物言いに悪態を吐いて(ついて)居た総二郎自身、腑に落ちない中でも、“何か在るんじゃねぇのか⁉”と、勘繰った事で、自身の母親で在る 西門流 家元夫人からのそんな物言いに従って視ただけの話し…だったのだ。
だが、其の結果、此の時の総二郎は、後悔せずに済んだという訳…だったのだ。
という訳で、後々、自身の母親で在る 西門流 家元夫人に感謝する事と成ったという訳…だったのだ。
実は、総二郎の誕生日で在る『12月3日』という日は、優紀 と 優紀の娘で在る 真紀が総二郎の両親で在る 西門流 家元 と 家元夫人に寄って、西門邸に招待されて居た日…だったのだ。
何故、総二郎の両親で在る 西門流 家元 と 家元夫人が、西門邸にて、総二郎の誕生日で在る筈の『12月3日』の日に、優紀 と 優紀の娘で在る 真紀を招待したのかと言えば、其れには深い理由(わけ)が有ったのだ。
そして、総二郎の誕生日で在る『12月3日』…。
其の日は、普段、滅多に、自邸(西門邸)に居ない筈の総二郎が、自身の母親で在る 西門流 家元夫人からの言い付けを守るかの如く、西門邸の自室に居たのだった。
勿論、事前に、西門家の使用人頭から其の事実を聞いて知って居た此の時の総二郎の母親で在る 西門流 家元夫人は、優紀 と 優紀の娘で在る 真紀が西門邸に着いた時点で西門家の使用人頭に言付けて(ことづけて)居たのだった。
「総二郎に此方(西門邸の母屋の中に在る 居間)に来る様に伝えてくれるかしら。」と…。
だからだったのだろう。
西門家の使用人頭から、自身の母親で在る 西門流 家元夫人の言付け(ことづけ)を聞いた此の時の総二郎は不貞腐れ乍らも、西門邸の母屋の中に在る 居間に向かうのだった。
其処で、西門邸の母屋の中に在る 居間から楽しそうな幾つかの声を聞いた此の時の総二郎は不思議そうな顔付きに成り乍らも、西門邸の母屋の中に在る 居間の外から中に向かって声を掛けるのだった。
「失礼します。
総二郎です。
中に入ります。」と、嫌みっぽい言い方で…。
そして、西門邸の母屋の中に在る 居間の中から総二郎の父親で在る 西門流 家元の声が聞こえて来たのだ。
「総二郎か、中に入りなさい。」と…。
だからだったのだ。
そんな風に自身の父親で在る 西門流 家元から言われた此の時の総二郎は、「失礼します。」と、言い乍らも礼儀作法通りに西門邸の母屋の中に在る 居間の襖を開けて中に入るのだった。
云わば…。
此の時点に於いての総二郎は、まだ、他人行儀だと言えたのだ。
だが、西門邸の母屋の中に在る 居間の中に一歩…自分自身の足を踏み入れた途端、此の時の総二郎は、一瞬、凍り付いたかの如く、驚愕で言葉を発せない程…だったのだ。
そして、暫く経ってから、漸く、我に返った総二郎は、一言…ほんの一言だけ発する事が出来たのだった。
「優紀ちゃん…⁉」と…。
其れでも、此の時の総二郎は、まだ、驚愕顔を顔に貼り付かせたまま…だったのだ。
何故なら…。
優紀の隣には、此れ迄、総二郎自身、全くと言って良い程、見掛けた事が無い何処か自身の幼少期の頃にそっくりな幼女が座って居たから…だったのだ。
だからだったのかも知れない。
そんな風に自身を見て来る総二郎に気が付いた優紀の娘で在る 真紀がそんな総二郎に挨拶の言葉を口にするのだった。
「こんにちは!
まつおかまき(松岡真紀)です。
おじさんのおなまえ(名前)は⁉」と…。
実は、優紀の娘で在る 真紀から『おじさん』呼ばわりされてしまった此の時の総二郎は、依然として不貞腐れて居たのだが、総二郎の父親で在る 西門流 家元は豪快に笑い出し、また、総二郎の母親で在る 西門流 家元夫人は俯き乍らも、クスクスと、笑い出す始末…だったのだ。
だが、此の時の優紀は、予期して居なかった事も在り、総二郎を見ただけで、依然として、驚愕顔を顔に貼り付かせたまま…だったのだ。
其処で、総二郎の父親で在る 西門流 家元は、其の場の雰囲気を鎮める為に、自身の息子で在る 総二郎に声を掛けるのだった。
「総二郎…折角、真紀が挨拶してくれて居るんだろ!
ちゃんと、真紀に挨拶してお遣り為さい‼」と…。
だからだったのかも知れない。
此の時の総二郎は開き直った事で確信した事を優紀の娘で在る 真紀に言いつつも、優紀本人には訊き始めるのだった。
「俺は、西門総二郎だ‼
俺は、『おじさん』じゃねぇよ。
俺は、真紀のパパだ‼
なっ、そうだよな⁉
優紀…。」と…。
「………」
だからだったのだ。
此の時の優紀は目を大きく見開いたまま、更に、驚愕顔を顔に貼り付かせる形と成り、言葉を発する事さえ出来無く成って居たのだった。
だからだったのだろう。
そんな自身の母親で在る 優紀を気遣う事さえ出来ぬまま、放って置くかの様に、此の時の優紀の娘で在る 真紀は、自身の母親で在る 優紀に訊き始めるのだった。
「ママは、“まき(真紀)にはパパはいない(居ない)。”って、いつ(何時)も、いってい
た(言って居た)でしょ!
なのに、ほんとう(本当)は、まき(真紀)にもパパがいた(居た)の?
ママは、まき(真紀)にうそ(噓)をついて(吐いて)いた(居た)の?」と…。
実は、此の時の優紀の娘で在る 真紀の顔付きは、自身の母親で在る 優紀から噓を吐かれて(つかれて)居たと、勘違いを起こして、悲しそうな顔付きに成って居たのだった。
だからだったのかも知れない。
そんな自身の娘で在る 真紀の顔付きを見た此の時の優紀は、急に息苦しく成り、慌てて、訂正の言葉を口にするのだった。
「ごめんね、真紀…。
ママは、真紀に噓を吐いた(ついた)訳じゃ無いの。
でも、結果的に噓を吐いた(ついた)事に成ってしまったね。
許してね、真紀…。」と…。
其処で、此の時の総二郎は、そんな優紀からの話しを聞いて居て、自身の娘で在る 真紀に声を掛けるのだった。
「なっ、真紀…言ったろ。
俺は、真紀のパパだ‼
パパの所に来い、真紀…!」と、自身の腕を出し乍ら…。
だからだったのかも知れない。
先ずは、自身の母親で在る 優紀の顔を見て、自身の母親で在る 優紀からの頷きを確認した此の時の総二郎 と 優紀の娘で在る 真紀は、まっしぐらに、脇目も振らず、総二郎に向かうのだった。
そして、一気に抱き着いたのだった。
「パパ…。」と、言い乍ら…。
だからだったのだろう。
其の後の総二郎 と 優紀の娘で在る 真紀は、初めて見る自身の父親で在る 総二郎から離れ様とし無かったのだ。
そして、其の後の総二郎 と 優紀の娘で在る 真紀は、自分にもパパが居たという嬉しさの余り、泣き疲れたのだ。
そして、更に言うと、実は、其れだけでは無かったのだ。
漸く、泣き止んだ後の総二郎 と 優紀の娘で在る 真紀は、自身の父親で在る 総二郎との会話に夢中に成り、何時(いつ)しか話し疲れた事で、まだ、夕方にも成って居ないお昼間の時間帯にも関わらず眠ってしまったのだ。
だからだったのだ。
此の時の総二郎の心の中では、“優紀に訊きてぇ話しが山程在る。”という思いが在り、自身の両親で在る 西門流 家元 と 家元夫人に頼む事にしたのだった。
「真紀が目を覚ます前に、優紀と話しして置きてぇんだわ。
勝手して申し訳ねぇんだけど…よ。
其の間、真紀の事…頼んで良いか?」と…。
勿論、此れ迄の総二郎の中に、例え、自身の両親だったとしても、こんな風に物を頼んだ事が無く、少し、照れ気味に訊いて居たのだった。
だからだったのかも知れない。
勿論、例え、自身の息子だったとしても、此れ迄、そんな総二郎を見た事が無かった総二郎の両親で在る 西門流 家元 と 家元夫人は、また、笑い出すのだった。
だが、何故、自身の両親で在る 西門流 家元 と 家元夫人が笑って居るのか?
理解出来無い当の本人で在る 総二郎は、更に、不貞腐れ始めるのだった。
ところが、一転して、母親らしい優しい眼差しをした此の時の総二郎の母親で在る 西門流 家元夫人は、自身の息子で在る 総二郎に声を掛けるのだった。
勿論、此の時の総二郎の母親で在る 西門流 家元夫人は、嫌み気味に、自身の息子で在る 総二郎に声を掛けて居た事は言う迄も無かったのだった。
だからこそ、此の時の総二郎の母親で在る 西門流 家元夫人は、嫌み気味で在ったとしても、自身の息子で在る 総二郎に訊けた言葉…だったのだろう。
「真紀ちゃんの事は、此方に任せて置きなさい!
其れ寄りも、総二郎…良かったわねぇ~。
貴方の優紀さんへの想いが実って…。
“ここ最近の総二郎が荒れて居たのは、総二郎の身に何か在ったんじゃ無いのかし
ら?”と、危惧して居たからこそ、母親として、私(わたくし)成りに総二郎の様子を
見て居たんだけど…。
でも、もう、此れで大丈夫そうね。
総二郎…本当に、良かったわね!」と…。
だが、そんな話しを優紀の目の前で話されてしまった当の本人で在る 総二郎は、此の場が居た堪れない状況と成って居た事で、「行くぞ‼」と、言い乍らも、無理矢理、優紀の腕を引っ張って自身の自室に優紀を連れて行こうとして居たのだ。
だからだったのだろう。
此の時の優紀は、無理矢理な形で総二郎に自身の腕を引っ張られた事で、優紀の身体は引き摺られてしまって居たのだった。
だからだったのだ。
此の時の優紀は、総二郎の両親で在る 西門流 家元 と 家元夫人に、自身の娘で在る 真紀の事を、ちゃんとお願いする事が出来無かったのだ。
だが、其れでも、此の時の優紀は、早口で、総二郎の両親で在る 西門流 家元 と 家元夫人に願い出るのだった。
「申し訳在りません。
真紀の事を宜しくお願い致します。」と…。
そして、其の後の総二郎 と 優紀は、総二郎の自室に向かい、総二郎のエスコートの下、一緒に、総二郎の自室の中に入るのだった。
其処で、此の時の総二郎は、真紀が自分自身の娘で在るという事実を優紀自身が認めてくれたお陰で、嬉しさが募り、自身の自室の中に入った途端、優紀の腕を自身の方へと引き寄せて抱き締めて居たのだった。
だからだったのかも知れない。
此の時の優紀は無抵抗だった事も在り、総二郎の腕の中で、ぐらっと、ぐらつくのだった。
勿論、此の時の総二郎は、そんな優紀をしっかりと抱き締めて居た事は言う迄も無かったのだが…。