君だけ(を)…<総優> 9.
<総二郎side>
俺と優紀と優一郎は、優紀が世話に成った町を後にする為、リムジンに乗り込んだ。
優紀は、既に、チャイルドシートが装着されて居る事に驚愕していた。
そして、優紀は、此のチャイルドシートに優一郎を装着して、寝かせていた。
俺は、そんな優紀に声を掛けた。
「母親がな、準備したらしい。
母親を許して遣ってくれとは、俺からは言えねぇ。
けど、何時かは、『雪解け』を迎えて遣ってくれたら…、有り難い。
済まなかった、優紀…。」
そう言って、俺は、優紀に頭を下げた。
優紀は、泣きながら、俺の言葉に、“うん、うん。”と、頷きながら、応えてくれていた。
俺は、嬉しかった。
そして、俺と優紀の向かえ合わせに装着されているチャイルドシートに座っている(?)
否、寝ている優一郎を、良~く見て居ると、俺の幼少期に似て居る事に気付いた。
俺は、思った。
『毎日、優一郎を見ていた優紀は…。
俺と離れて居ても、此れだけ俺に似た我が子が、俺を 思い出させていたのでは無い
か?』と…。
これだけ、優一郎が、俺に似てたら、優紀は、忘れる事は出来なかっただろうな?
流石、俺の息子(こ)だけの事は有る‼
俺は、優一郎を覗き込みながら、優紀に声を掛けた。
「こんなに、離れていたのに…。
優一郎は、俺にそっくりだな‼」
「総二郎さんのDNAは、相当、強かったって事ですね⁉」
「まあ、そう言う事だな⁉
優紀、有り難な‼」
そう言って、俺は、優紀を引き寄せ、優紀を抱き締めて、優紀を俺の太腿に跨がせて座らせた。
そして、俺の身体に密着する様に優紀を抱き締めた。
優紀は、苦しがって居たが…。
俺は、優紀を俺から引き剥がす事が出来なかった。
久し振りの優紀の感触を、離したくはなかった。
そして、優紀が気にしてるで在ろう事柄を口走っていた俺だった。
「優紀…。
俺は、優紀と離れてる1年2ヶ月もの間も、一切、誰とも遊んでねぇ‼
まあ、仕事は、放棄してたけど…な。
ずーっと、マンションに籠ってた。」
「えっ??」
優紀は、驚愕していた様子だった。
俺が優紀を忘れて、遊ぶとでも思ってたのか…⁉
俺は、優紀に言って遣った。
「優紀、俺を見損なうなよ⁉
俺は、優紀だけだ‼
俺は、君(優紀)だけを…、愛し続けると誓うよ‼」
「………」
ちょっと、キザっぽかったか…⁉
優紀の反応が薄~い…⁉
否、『空いた口が塞がらねぇ(ない)』って、感じか…⁉
「あのな、優紀…⁉
眠りの浅い筈の俺の夢の中に、毎日、優紀が出て来て、笑顔を振り撒かれてみろ‼
悪い事をしようとは思わねぇだろ⁉
否、出来ねぇだろ⁉」
「そうだったんだ…⁉」
優紀は、囁く様に言って居た。
俺は、優紀に、更に、言って遣った。
「優紀の俺に対する思いも、俺同様に、“強ぇ…‼”って事だろ⁉」
「………」
優紀は、何も応えねぇ。
其の代わりに、顔を真っ赤にして、照れてやがる。
その優紀の姿は、俺の言った言葉が、『正解』を表しているって、いつ気付くのだろう?
まあ、どっちにしても、そんな優紀の反応は可愛いから良いんだけどな…‼
優紀は、俺の首に手を回し、俺の首と肩の間に顔を埋めて、照れているままで居た。
そんな姿を上から見て居るのも限界が来て…。
俺は、自然と、優紀に声を掛けた。
「優紀、顔を上げて…⁉」
ゆっくり、顔を上げた優紀の姿も、俺を煽ってるって、いつ、分かるんだろう?
そんな優紀に、何も言わず、俺は、優紀の唇に、俺の唇で塞いだ。
突然の事に、優紀は、驚いて居た様子だったが…⁉
俺の想いが、通じたのか?
優紀も、俺に応えてくれた。
軽いkissから、深く成るkissにも、必死で応えようとする優紀に、俺は寄り一層、煽られ捲っていた。
久し振りの優紀過ぎて…。
久し振りのこの感触に、俺は、舞い上がって居たと思う。
だから、運転手のアナウンスにも、気付かずに居た。
で、運転手から…。
“(西門)邸に向かうのか?
其れとも、マンションに向かうのか?”
と、聞かれていたみてぇだった。
なので、優紀に聞いた処…。
「(西門)邸でも良いですか?
家元と家元夫人にお会いして、きちんとご挨拶したいと思います。」
“優紀のそう言う律儀な処は相変わらずだな‼”と、笑うしかなかった。
そして、俺等は、(西門)邸に向かって居た。