忘れていた気持ち…<つかつく> 4.
<つくしside>
今日は、朝から、専務に呼び出されていた。
私は、予想はして居た。
そろそろ、呼び出しが有るだろう事は…?
そして、私は、専務の部屋の前に居た。
【コンコン】…つくしが、ドアをノックした。
「牧野です。」
「どうぞ、入ってぇ~。」
私は、ドアを開けて、部屋に入った。
「何か、ご用ですか?」
専務は、私にソファに座る様に促した。
という事は、話しが長く成るという事だよね?
「そう何よ。
先方からなぁ。
催促の連絡が有ったんよ。
ほんでね、“どないかな?”って、思うてなぁ?
で、つくしちゃんの気持ちは…?」
私は、予想通りだったので…。
持って入って来たお見合い写真を、テーブルの専務の前に置きながら…お断りを入れた。
「専務、申し訳御座いません。
此方をお返しします。」
専務は、項垂れる様に、私に聞いて来た。
「そう何やなぁ?
やっぱり、あかんかったんやなぁ?
つくしちゃんの顔の表情で、何と無く理解はしとったんよ。
まあ、しゃあ無いわなぁ。
でも、理由を聞かせてくれへん?」
私は、正直に言う事を止めた。
最もらしい言い訳を専務に伝えた。
「まだ、専務の下で、仕事をさせてもろうて、勉強したいですし…。
それに、まだまだ、結婚の事は考えられへんかと…。」
専務は、嬉しい様で、残念と言う様な、複雑な顔をして居た。
「そう何やなぁ~。
じゃあ、しゃあ無いわな。
良しとしますか?
まあ…な。
つくしちゃんを先方に押し付けて、“うちの会社の為に…。”って、言うんも、気が引け
とったんよ。
その方がええわなぁ?
そうと決まれば、先方に伝えとくわなぁ?」
専務は、私の顔の表情を読み取ろうとして居るのか?
私の顔を頻りに見ていた。
だから、はっきり、返事をして於いた。
「はい、宜しくお願いします。
ご配慮に感謝します。」
で、此のお見合いの話しは、無かった事に成った。
だが、後で、聞いたら、其の企業との提携の話しも無く成ったらしい。
何だか?
私の責任の様で心苦しかったが…?
エリカが、私に言葉を交わしてくれた。
休憩室で一緒に成ったエリカが、私と話しして居る様で、皆にも聞こえる様に話ししてくれて居た。
「つくしに見合い話を持って来た企業の遣り方が可笑しいんちゃうの?
だって、つくしが、責任を取る必要ないやん。
つくしの将来やでぇ~。
もし、一歩、譲ったとしても…。
一女性社員を餌に、提携を言うて来る何て…?
其れって、『パワハラ』やん?
だから、つくしは、気にせんでええよ‼」
「………」
そうなので有った。
実は、この提携話は、営業部も絡んでいた為…。
誰が、噂を流したか?
分からないのだが…。
私が、お見合いを断った事が、噂に成り、会社に居辛く成って居たのだった。
本来なら、“ええ加減にしてぇ~‼”と、怒鳴りたい所だけど…?
関西で、骨を埋める気に成って居た私だったので…。
これ以上、騒ぎを大きくしたく無いと、言うのが理由で、中々、前に出れなく成っていた私だった。
だから、エリカの言葉は、少し、スッキリしたのかも、知れなかった。
<司side>
俺は、あいつの会社内で流れている、あいつの噂話を聞いてしまった。
何故、あいつが、会社の責任を押し付けられて、結婚しねぇといけねぇんだ?
自分等の娘なら分かる。
あいつは、唯の一女性社員だろ?
俺は、胸糞悪ぃ気分に成っていた。
だから、あいつを此の会社から救い出す為、例の計画の遂行を速める事にした。
で、俺の第1秘書の西田に伝えて居た。
「西田、あの計画を速めて進める事にした。
準備を頼む。」
西田は、怪訝な顔をして居た。
「まだ、時期尚早かと思われますが…?」
俺は、更に、西田に懇願する様に伝えた。
「あいつをあの会社から、救いてぇ‼
ダメか、西田?」
西田は、“やはり…か?”とでも、思って居るのだろう?
顔の表情が変わった様に思った。
「賜わりました。」
西田の了承の言葉を聞いて、俺は、初めてかも知れねぇが、西田に礼を言った。
「西田、サンキュな‼」
更に、西田は、怪訝な顔をして居た。