初盆【後悔と言う名の元に】…<つかつく> 続編
<司side>
つくしが、亡く成って、初盆の時期が来た。
俺は、月命日には、毎月、つくしに会いに、墓参りは欠かした事は無かった。
雨が降ろうが…。
雪が降ろうが…。
風が吹こうが…。
風が強かろうが…。
どんな日でも、月命日だけは、欠かさず、つくしに会いに来て居た。
俺は、つくしの記憶を取り戻した後…だけじゃなく。
もしかしたら、“つくしは、もう少し、生きられたんじゃねぇか?”と…。
後悔しか無かった。
だが、つくしに会いに此処(つくしが眠って居る墓地)に来ると…。
何故か?
心の蟠りが、浄化される様だった。
翼は、今も、相変わらず、NYで、親父とババアの元で、専務をして居る。
もう、そろそろ、親父とババアも、引退時期だが…。
翼の事が心配らしく、中々、“引退する。”と、言って来ねぇ‼
まあ、翼が、しっかりするまで、見届けてぇんだろう⁉
俺に出来なかった事を、孫でして遣って居るんだろうから…。
俺は、何も言わずに居た。
だが、適齢期を、既に、過ぎた歳の翼が、未だ、結婚の『け』の字も言っても来ねぇ事には、些か、不安では在るのだが…。
つくしが健在だったら、そんな翼に如何言って居たんだろうな?
訊いてみてぇ気もして居た俺だった。
蘭に至っては、つくしの葬式後から、少し経って、蘭の妊娠が発覚した。
で、俺は、度肝が抜かれた。
“類さん…よ。
ちったぁ~、周りの空気を読めよ‼”と、俺は、言いたかった。
だが、蘭から産まれて来る子供を、俺は、“つくしも見たかったんじゃねぇか?”と、思って居た。
だから、類には、其の事は言わずに於いて遣った。
しかし、解せねぇのは…?
『俺が祖父さんで、類が親父だ‼』って事…。
まあ、こう成る事は、最初から、分かって居た事だが…。
やっぱり、堪えるよな‼
だが、蘭のガキだ‼
嬉しくねぇ訳がねぇ‼
孫には、言って遣る言葉は、もう、決まってんだ‼
「お前の祖母さんは、凄い人だったんだぞ‼」って、言って遣るつもりだ‼
“だから、元気に産まれて来いよ‼”と、思って居る。
つくしも、喜んで居るだろう‼
で、つくしの初盆の為に、NYから、親父とババアと翼が、帰国して帰って来た。
姉貴も、LAから、家族を伴って帰国して帰って来た。
久し振りに、(道明寺)邸は、騒がしく成った。
タマも、“忙しい‼”と、言いながら…。
楽しんで居る節さえ在った。
タマは、久し振りに逢う、翼の世話を焼きたくて仕方ねぇのか?
翼に喋り掛けては、鬱陶しがられていた。
今じゃあ、俺も、タマに、愛想もクソもねぇから、翼で、憂さ晴らししてぇんだろうけど…よ。
タマは、“翼は、何歳だ‼”と、思ってんだろうか?
で、俺は、一応、身内に成る類には、つくしの初盆の件は、伝えて於いた。
蘭は、身重の身体だけに、無理をさせたく無かった。
蘭も、類に頼んで、月命日には、毎月、墓参りして居る様だから…。
類には、無理をさせねぇ様に伝えて於いた。
一応、俺は、類の『義父』…親に成るらしいから…よ。
実は、俺が、後悔している一つに、此の事が有った。
俺さえ、つくしの記憶を失くして無かったら…。
俺は、翼と蘭が産まれた時から、父親だったのなら…。
『もし、~だったの成らば…。』では、在るが…。
誰に言わせても、“今更だろ?”と、言われそうだが…。
其れでも、やっぱり…。
そう成っていたなら…。
“蘭は、類に惚れたのだろうか?”と…。
例え、其れが、“つくしのDNAだ‼”と、言われても…。
そう思わずには、居られなかった。
そう思い乍ら、つくしの墓参りをして居る時…。
蘭は、走り乍ら、類と一緒に、つくしの墓参りに来て居た。
“蘭…よ。
お前、身重の身体で、走るな‼”と、俺は、言いたかった。
だが、類が手を添え乍ら、フォローしている類と蘭の姿を見て居て、俺は、何も言えなかった。
“もう、蘭をフォローするのは、俺の役目じゃねぇんだな⁉”と、再認識する事と成り…。何か、寂しさを蓄えている俺が居たのは、事実だった。
“こんな時に、つくしが、傍に居てくれたなら…。”と、思わずには、居られなかった。
俺の人生は、後悔ばかり…だな。
あの時、思った通り、俺は、これからも…。
『後悔と言う名の元に』…。
もう少しだけ、生きてみるよ‼
つくし…。
もう直ぐ、蘭の産まれて来る子供の話しを、そっちでして遣るよ‼
だから、つくし…。
もう少しだけ、そっちで待っててくれ‼
つくし…。
今でも、昔と変わらず、お前だけを愛してるよ‼
fin