好きなのに…(続編・その後)<総優> 2.
【婚約・結婚 編】
優紀は大学卒業後から、両家の了承の元、内弟子となり、西門邸に住んで居た。
最初は、別部屋で有ったが、総二郎が自分のプライベート部屋に連れ込む様に成り、両家も了承せざるを得なかった。
総二郎の作戦勝ちで有る。
そんな時、総二郎と優紀の婚約パーティーが執り行われた数日後、総二郎と優紀のプライベート部屋に総二郎の弟 巧三(たくみ)が、部屋に入って来た。
「兄さん、相談が有るんだけど、入って良い?」
巧三は見ていた。
優紀が表の仕事を終えて母さんと一緒に居る所を…。
「ああ、良いぜ。」
「お姉さんは、居ないの?」
「ああ、お袋と表の仕事をして居るよ。」
巧三は心の中で思っていた。
知っているんだけど…ね。
クールな兄さんが崩壊した、兄さんのお姉さんへの気持ちを知りたいんだよね。
色ボケすると、如何なるのかを…。
「ふ~ん、そうなんだ。」
「何だ、残念そうだな?
優紀に相談か?」
「うん、好きな子が出来たんだけどさ、どんなプレゼントだと喜んでくれるかって思って
ね。」
「優紀はあんまり、プレゼントを欲しがらないから、分からないんじゃないか?」
「まあ、相談してみるよ。
で、兄さんはお姉さんのどんな処に惚れたの?」
「はぁ~??
行き成り、何を聞くんだよ。」
「前々から、参考に聞いてみたかったんだ。」
「何の興味だよ。
まあ、良いけどな。
俺な、ほんとはな、高校の時から、潜在意識として、既に、優紀の事は好きだったか
も知れねぇな。
でも、そんな自分を認めたくなくて、優紀の事を傷付ける一言を何度か言ってんだよな
⤵。」
「何て言ったの?」
「う~ん⤵。
『俺のテリトリーに勝手に入ってくんな。・
俺に近付くな。・俺はお前みたいな子が一番嫌いなんだ。』
だな。」
空いた口が塞がらないわ、酷ぇ~‼
それでも、兄さんの事、好きなお姉さんって…??
「それは酷ぇ~‼」
「傷付けてる事は分かっているのに、どうしても優紀を諦め切れなかったんだよな。」
不思議だよな、そうまでして好きなのに…、何で傷付けるんだ??
「お姉さんの何処が好き?」
総二郎は首を傾げながら…。
「何処、何処だろうなぁ…??
優紀が好きなんだよ。
何処とか無いな‼
俺は、優紀が居ねぇと生きて行けねぇんだよ。
優紀が居ねぇと、俺は死んだも当然なんだよ。
唯それだけだよ、意味は無いよ。」
成程、クールな兄さんが崩壊した訳、分かったような気がするよ。
「兄さん、惚気るね。
そんな凄いんだ、兄さんにとってのお姉さんって…。
もう、そろそろ、お姉さん、戻って来るんじゃない?」
優紀は部屋の扉の向こう側に居た。
入るに入れない。
“巧三君、私が居る事、分かってて聞いて居るんじゃないかな…?”と、思えるくらい絶妙なタイミングでの二人の会話だった。