好きなのに…(続編・その後)<総優> 13.
【家族 編】
<優紀side・回想>
私は、総二郎さんと結婚して、優一郎を出産出来て、ほんと幸せに成れた。
高校生の頃の私は、まさか、総二郎さんとお付き合いして、結婚して、子供まで授かる何て思っても見なかったと思う。
あの頃の私は、総二郎さんに相手にもされていなかったんだから…。
学生の頃の総二郎さんは、いつも違う女性を連れていた。
その場に遭遇する度に、心に靄が掛かって来るのを私は感じていた。
私自身の心に蓋をするように、見なかった事にしようと言い聞かせる日々だった。
『嫌な女に成った』と、総二郎さんに思われたくなかったのかも知れない。
そして、あの辛い言葉をいつも繰り返し、心で唱えていた私…。
今、思い出しても辛いあの言葉達…。
『俺のテリトリーに入って来るな。』
『俺に近付くな。』
『俺はお前みたいな子が一番、嫌い、何だ。』
そして、私は、総二郎さんに近付かないようにしていた。
それが…。
まさかの事が起こると、人間って、逃げ出したくなるもん何だよね⤵。
総二郎さんから、求愛を受けていた頃の大学生だった私は、何故か、私自身も総二郎さんの事を好きだったのに、素直に成れず、総二郎さんから逃げてばかりいた。
今、思えば、何故、逃げていたのか、自分自身でもさっぱり分からない。
でも、そんな私を、桜子さんが上手くリードしてくれていたお陰で、私は総二郎さんに向き合えるように成っていったんだと思う。
近付かないように努力していた私が、総二郎さんに近付いて来られる何て、誰が想像出来る?
今、思えば、高校生の頃の私は、辛い思い出しかない。
その、辛い思い出を封印する事は出来ないだろうけど、今では、少しは、辛さは半減したと思う。
総二郎さんはあの頃の事を如何思っているかは想像出来ないけど…。
総二郎さんのあの頃の汚点…。
取り上げれば、キリがない…。
総二郎さんが作り出した、総二郎さんの為のルール…『3回ルール』
学生の間に『女性1,000人斬り』を公言。
等々…。
今は、無いのは分かる。
でも、偶に、思い出してしまう事が有る。
何かの切っ掛けで、不意に…。
一生、付き纏うんだろうな…、私の暗闇時代。