バラバラの果てに…<ALL CP> 19.
<桜子と相手男性 または あきらと桜子と相手男性の会話は、日本語表記に成っていま
すが、ドイツ語で話しして居ると見做してご覧下さいませ。
勿論、あきらと桜子は、日本語で話ししています。
ややこしくて、申し訳ありません。>
実は、桜子は、不倫だったのだ。
相手男性は、別居中の妻子が居たのだ。
知り合った頃の相手男性は、“離婚したばかりの独身だ。”と、言っていたのだ。
何も要求して来ない相手男性は、桜子にとっては、楽な相手だった。
その当時、付き合っていた男性共、揉めた末、別れられた事を、その相手男性は知っているのだ。
何故なら、重なっていた時期が有るからだ。
だから、“また、新しく男が出来たのか?”と、勘繰られて、別れてはくれそうも無かったのだ。
今まで、付き合っていた男性に対して、桜子は、恋愛感情は全くなかった。
一人でドイツに居る孤独を、男性で埋めていただけだった。
其処に、あきらとの再会。
桜子は、あきらに対しては、今までの男性とは違う感情が芽生えていた。
“離れたくない。”と、言う感情が…⤴。
“何故、こんな時に限って、あきらに会ってしまったのか?”と、嘆くしかなかった桜子だった。
あきらを眼にした事で吹っ切れて、相手男性には、返って冷静に成っていたのだった。
「もう、別れて欲しいの。」
「否だと言えば?」
「私は、日本に帰る‼」
「此処じゃあ、何だから、部屋で話ししよう‼」
「此処で良い。
無理矢理連れて行くなら、今、此処で、大声で叫ぶわよ‼」
「それ程までに、俺は嫌か?」
「初めから、恋愛感情は無かったもの。」
相手男性は、首を捻りながら、桜子を威嚇して聞いて居た。
「初めから…?」
「そう、初めから…。
一緒に居て、楽だったから…。」
「其れじゃあ、俺は、『セフレ』だったのか?」
「そうだね、そう言う事に成るわね。
でも、貴方も、嘘を言っていたから、お相子でしょ?」
「嘘…?」
「あら、忘れたの?
“独身だ‼”って、嘘を言っていたわよね?
別居はしているかも知れないけど、未だに、奥さんとは婚姻関係に有るわよね?」
「それは…。」
「だから、そろそろ、潮時でしょ?」
そんな時だった。
桜子と男が居る場面に遭遇して、呆れて外に外出したのだろうと、桜子は思っていたのだが、あきらは息を切らして、ロビーに現れたのだ。
そうなのだ。
ディナーに桜子を誘うと、外出するつもりで、ホテルの外に出ようとロビーに下りて来ていたあきらだったが、あの現場を見てしまい、桜子に何も言わず、外に出ていた。
だが、胸騒ぎがして、このままだと、“桜子を失うんじゃねぇか?”と、思ったら、居ても立っても居られず、慌てて、ロビーに戻って来ていたあきらだったのだ。
あきらは、思わず、桜子に声を掛けていた。
「桜子っ‼」
「美作さんっ‼」
桜子の相手男性は、怪訝な顔付きに成っていた。
“やっぱり、男が居たのか?”と…。
あきらが桜子と桜子の相手男性に話し掛けた。
「此処じゃあ、何だから、俺の部屋で3人で話ししよう‼」
「あんたは、誰何だ?」
「其れも含めて、話しすれば良い。」
そして、3人は、あきらの部屋で話し合いをした。
「俺は、桜子の高校の時の先輩だ。」
「じゃあ、桜子の男じゃないって事か?」
「まだ、『男』じゃねぇ…。」
「まだ…?」
「ああ、俺は、桜子を口説いてる。
再会して、俺自身が桜子に気が有る事に気付いたんだよ。」
「一緒に、日本に帰るのか?」
「ああ、それも含めて、口説いてる。
だから、迎えに来た。」
「桜子は、此の男と一緒に帰る気なのか?」
「そのつもりよ‼」
「この男が好きなのか?」
「好きなのかも知れないわね。
一緒に、日本に帰ろうと思うくらいだから。」
あきらは、嬉しさの余り、桜子の名前を呼びながら、男の前だという事を忘れて、桜子をあきらの方に引き寄せて、抱き締めていた。
「桜子っ‼」
その状況に気付いた相手男性は、思わず、桜子を自分の方に引き寄せようとしたが、あきらから一歩及ばず、あきらに桜子を取られた形に成っていた。
また、桜子もあきらに大人しく抱き締められているのを、相手男性は、唯、じーっと見詰めていた。