3月3日…雛祭り【桃の節句】
【『目覚まし時計【会いたい】…<つかつく> 番外編』の其の後】
つくし と つくしの両親のお墓に、『納骨』を済ませた翌年の2月4日の立春…。
椿は、日本に帰国して帰って来たのだ。
何故なら…。
椿が帰国して帰って来た目的は、勿論、自身の雛人形を飾る為…だったのだ。
【実は、雛人形は、立春(節分の翌日…通常は、2月4日)に飾るのが良いとされて居ます。
節分で豆撒きをして、厄を払った後に、雛人形を飾ると、ベストなタイミングと言われて
居ます。】
実は、椿が嫁いでから、道明寺邸では、此れ迄、雛人形を飾る機会が無かったのだ。
実の事を言うと…。
ホテル王の下に嫁いだ椿は、LAに在住して居たので、LAでも、雛人形を飾る事は無かったのだ。
何故なら…。
椿の嫁ぎ先の使用人はアメリカ人が主なので、『雛人形』というモノ自体を知らず、飾り方自体を知らないのだ。
だからだったのだ。
主役の居なく成った道明寺邸でも、此れ迄、雛人形を飾る事は無かったという訳…だったのだ。
だが、椿自身、其の事自体を、此れ迄、ずーっと、気にして来たのだ。
直したままに成って居る『雛人形』の事を…。
其れは、勿論、タマも、また、同じ…だったのだ。
其処で、椿は、日本から遠く離れたLAで思って居たのだ。
“今年の道明寺邸は、雛人形を飾る事が出来るんじゃ無いのかしら?
今年は、道明寺邸にひなちゃんが居る訳だし…。
其れに、ひなちゃんは、『桃の節句』…生まれでしょ!”と…。
そうなのだ。
実は、ひなは、『3月3日生まれ』なのだ。
だからこそ…。
『ひな』と、名付けられたのだ。
だからだったのだ。
思い付きでは有ったのだが…。
此の時の椿は、自身の姪っ子で在る ひなの為に、道明寺邸にて、雛人形を飾る事にしたのだった。
其の為に、此の時の椿は、日本時間の2月4日に間に合う様に、日本に帰国したという訳…だったのだ。
だからだったのだ。
道明寺邸に帰邸したひなは、椿の登場に、驚愕するのだった。
実は、椿の帰国自体、ひなは知らなかったのだ。
だからだったのかも知れない。
椿の顔を観たひなは、驚愕して居たのだ。
其処で、ひなの帰邸を、“今か今か…。”と、待って居た椿は、使用人が飾り終えた雛人形を見せる為に、ひなをリビングルームに連れて行くのだった。
実は、雛人形が飾られて居たのは、リビングルームの一角…だったのだ。
勿論、リビングルームの一角の畳の在る 部屋…だった事は言うまでも無かったのだが…。
実の事を言うと…。
此のリビングルームの一角の畳の在る 部屋は、態と、雛人形を飾る為に、椿が作らせて置いた部屋…だったのだ。
だからだったのだろう。
此の時点に於いてのひなは、“何の為に、リビングルームの一角に、畳の部屋を作って居るんだろう。”と、不思議に思って居た事も有り、雛人形を見た事で、漸く、理由が分かったのだ。
実は、本来なら、道明寺邸の主人で在る筈の司も知って居ても可笑しく無かったのだが…。
司自身も、知らされて居らず、司の姉で在る 椿が日本に帰国する迄、誰にも、知らされる事は無かったのだ。
なので、其の理由を聞かされたひなは、自分自身の為だった事を知り、嬉しくて仕方無かったのだ。
何故なら…。
此の時のひなにとって、『雛人形』というモノは、初めて…だったのだ。
ひなの幼少期の頃は、『雛人形』というモノが、自宅に無く、欲しくても、母親(つくし)には、「欲しい。」と、言う言葉が言えなかったのだ。
だからだったのだ。
テレビでしか観た事の無かった『雛人形』を、初めて、真近で観た此の時のひなは、実は、興奮状態…だったのだ。
だからだったのかも知れない。
ひなは、「凄い‼」とか、「綺麗…。」とか…を、連発して居たのだ。
そんなひなの顔付きを観て居た椿は、ひなに訊き始めるのだった。
「ひなちゃんは、『雛人形』を、初めて、見るのかしら?」と…。
其処で、ひなは、自身の幼少期の頃の話しを、椿にし始めるのだった。
「はい、初めて、真近で観ました。
今迄は、テレビでしか観た事が無かったから…。
やっぱり、真近で観ると、迫力が違いますね。
此れって、何段飾り…何ですか?」と…。
だからだったのだ。
椿は、サラッと、「10段飾りよ。」と、ひなに伝えたのだった。
だが、此の時のひなは、自身も、既に、道明寺家の一員で在る筈なのに…。
“流石は、道明寺家…。”と、まるで、他人事の様に思って居たのだった。
そんな風に、思って居るひなの事を、“流石、ひなは、つくしの娘で在る。”と、誰もが思うだろう。
だが、此の時の椿は、思って居たのだ。
“じゃあ、牧野家では、『雛祭り』はし無かったのかしら?”と…。
だからだったのだ。
此の時の椿は、ひなに訊くのだった。
「じゃあ、牧野家では、『雛祭り』をし無かったの?」と…。
だからだったのだろう。
此の時のひなは、当然と云わんが如く、椿が驚く様な話しをし始めるのだった。
「いいえ、『雛祭り』は、自宅でしてましたよ。
でも、牧野家では、雛人形を飾る事が出来無かったので、代わりに、ママが教えてくれた
折り紙で折ったお雛様を飾ってました。
で、其の後は、ママが作ってくれた私の誕生日ケーキを食べ乍ら、ママとお祖父ちゃんと
お祖母ちゃんと進叔父さんに、私のお誕生日のお祝いをして貰いました。」と…。
だからだったのだ。
“牧野家では折り紙で折ったお雛様を飾って居たと言うの⁉”と、驚愕で、此の時の椿の心の中では、張り裂けそうに成って居たのだ。
だからだったのかも知れない。
此の時の椿は、自身の心の中で、そう思って居たのだが、口に出して言えずに居たのだ。
其れ程、此の時のひなの告白とでも取れる話しは、椿にとって、驚愕でしか無かったのだ。
だからだったのだろう。
此の時の椿は、思って居たのだ。
“今の私に出来る事が有るとする成らば…。
其れは、ひなちゃんと一緒に、お雛様を折り紙で折り乍ら、ひなちゃんから、其の当時
の思い出話を聞く事よね。”と…。
だからこそ…。
此の時の椿は、ひなに言って除けるのだった。
「じゃあ、ひなちゃん…。
私にも、折り紙で折ったお雛様の折り方を教えてくれないかしら?」と…。
だからだったのだ。
椿は、そんな風に、ひなに投げ掛け乍らも、使用人には、折り紙を用意させて居たのだ。
だが、ひなは、其の使用人に、更に、願い出たのだ。
「同じ用意して下さるなら、千代紙を用意してもらえると嬉しいです。」と…。
だからだったのだ。
『千代紙』というモノが、如何言う物なのか?
タマから教わった事で知って居る椿も、「其れはそうよね。」と、言い乍ら、再度、椿からも、使用人に伝えるのだった。
「悪いけど、千代紙にしてもえるかしら?」と…。
そして、其の後の椿 と ひなは、千代紙でお雛様を折り乍ら、つくし と ひなの思い出話を聞いて居た椿…だったのだ。
「何時(いつ)も、ママは、朝から晩迄、働き通し…だったんですけど…。
お雛様を折り紙で折る時だけは、私の傍に居てくれたんです。
“こう遣って折るのよ。”とか、言い乍ら、丁寧に教えてくれました。
其の時だけは、ママを独占出来るので、嬉しくて、ずーっと、ママの傍を離れなかった事
を、今でも、覚えて居ます。」と…。
其処で、椿は、声に成らない程、涙が溢れて居たのだ。
そして、此の時の椿は、涙を流し乍らも、思って居たのだった。
“如何して、もっと、早く、司の記憶が戻らなかったのかしら?
少しでも、早く、司の記憶さえ、戻って居たら、きっと、司は、つくしちゃんとも、再会
出来て居たでしょうに…。
私も、もう一度だけ、つくしちゃんと会いたいわ。
例え、つくしちゃんのご両親と進が、つくしちゃんの近くに居たとは言え、つくしちゃん
は、女手一人で、ひなちゃんを立派に育ててくれたんだもの。
つくしちゃんと会って、お礼位、言いたいでしょ!”と…。
其処に、出張から、司と進が帰って来たのだ。
だからだったのだ。
道明寺家の執事は、司に伝えるのだった。
「先程から、椿様とひなお嬢様が、リビングルームに居っらしゃいます。」と…。
だからだったのだ。
此の時の司は、「分かった。」と、言い乍らも、進と一緒に、リビングルームに向かうのだった。
そして、リビングルームに飾られた雛人形を見た司は、思うのだった。
“久し振りに観たな。
今年は、飾ったのか?”と…。
だが、此の時の進は、其の10段飾りの雛人形の迫力に慄いたのか?
仰け反るかの様に、其の場から、一歩も動く事さえ、出来ずに居たのだ。
実は、其の10段飾りの雛人形は、其の当時には珍しいモノ…だったのだ。
特注だったので、道明寺家には、10段飾りの雛人形が存在して居たのだが…。
だからこそ…。
進が、一歩も動く事さえ、出来ずに居たとする成らば、其れは、致し方ないのかも知れない。
其処で、漸く、此の時の司は、自身の姉で在る 椿 と 自身の愛娘で在る ひなの居る方を観たのだ。
そして、此の時の司は、自身の姉で在る 椿 と 自身の愛娘で在る ひなに声を掛けるのだった。
「お前等、一体、其処で、何を遣ってんだ⁉」と…。
【*此処で云う『お雛様』とは…。
『男雛・女雛』を指して折ります。
了承の程、宜しくお願い致します。】