for the second time ~2度目に~…<つかつく> 2.
つくしは、25歳に成っていた。
就職してからは、3年目に成る。
つくしは、滋から、滋所有のセキュリティー万全なマンションを、社宅として宛がわれていた。
何故なら、つくしには、危機管理能力が、乏しいからだった。
滋から、言われていた。
「私の秘書をすると言う事は…。
危険が伴うの。
つくしには、危機管理能力が、乏しいんだから…。
これ位が、丁度良いの。
分かった⁉」
だが、つくしは、思って居た。
“そんな事をしてもらう位なら、私が、秘書じゃ無くても良いのに…。”と…。
だが、そんな事を言っても、滋が納得する筈も無く、つくしは、諦めていた。
で、快く、滋の厚意に従って居たつくしだった。
唯単に、滋は、F3から、つくしを守りたかっただけだった。
所謂、滋は、つくしをF3に会わせたくなかっただけだった。
で、つくしのマンションが、T4の堪り場みたいに成っていた。
そんな頃の事だった。
司が、漸く、日本に帰国して帰って来た。
道明寺HD 日本支社 支社長のポストを得ての凱旋帰国だった。
で、司は、F3から、集まりの招集を掛けられていた。
仕事終わりにメープルに向かう際…。
何の影響なのか?
その日に限って、道路は、渋滞していた。
もう直ぐで、メープルに着くというそんな距離だった。
だから、司は、リムジンから下りて、SPを伴って、メープルに向かう為、横断歩道を渡っていた。
其処に、司の過去に、見知った匂いを纏った女性が居た事を思い出す様な香りが、辺りを漂わせていた。
其の匂いが、風と共に、司の鼻孔を擽った。
偶然、擦れ違った其の女性に寄って…。
その瞬間、司は、つくしの記憶を蘇らせていた。
司は、其の女性が、向かった方向を振り向いたが…。
もうその姿は、其処には無く、項垂れる司が、其処には居たのだった。
だから、司は、メープルのラウンジのVIPルームに到着した際…。
F3に確認する様に訊いて居た。
「さっき、其処の横断歩道で、牧野の匂いがする女と摺れ違った。
気付いた時には、もう、其の姿は、其処には居なかったんだが…。」
「「「………」」」
F3は、直ぐには、答えられなかった。
だが、類は、慌てて、司に確認していた。
「司…?
記憶、戻ったの?」
「ああ。
さっき、其の女(牧野)と摺れ違った時…に。」
「「「はぁ~??」」」
思い出し方が、司、過ぎて…。
F3は、驚愕処か?
呆気に取られていた。
だが、F3は、司に、現在のつくしの現状を話さなくてはいけない事を悟っていた。
だから、“其処は、あきらでしょ?”と…言わんばかりに、類と総二郎は、顎で、あきらに指示していた。
あきらの心の中は、溜息しか出なかった。
勿論、あきらは、心の中で、悪態を突く事は忘れて居なかったのだが…。
“はぁ~⤵。
また、俺か…よ。”
で、仕方なく、あきらは、口を割っていた。
「司…?
言って於かねぇと行けねぇ事が有んだ。」
「はぁ~??
何だよ?」
「牧野…な。
俺等 F4の記憶を失くしたんだ。
所謂、『記憶喪失』ってやつ。」
「………」
司は、驚愕処では、無かった。
否、かなり、ショックを受けて居た様子だった。
だから、言葉に成らなかったんだろう事は、F3とて、理解出来た。
あきらは、続けた。
「牧野が、大学1年の時にな。
バイト中に、脚立から落ちて、半年間、昏睡状態に成っててな。
意識が回復した時には、記憶を失ってたって訳だ。」
「じゃあ、T3の記憶は…?」
「元々、牧野は、優紀ちゃんの記憶は在ったんだが…。
滋と桜子の記憶も無かったんだ。
牧野は、半年間入院生活だったから、1年をダブらせて卒業してんだよ。
だから、桜子と、同級生に成ったって訳だ。
桜子は、牧野と上手く遣ってたみてぇで、滋と共に、今でも、交友を深めてるらしい
わ。
で、俺等 F3は、牧野に俺等の記憶がねぇからって、T2(滋と桜子)から、出禁状
態…。
もう、何年も会ってねぇだよ。」
「………」
司は、更に、驚愕で、言葉にも出来なかった。
で、類が、つくしの就職場所を言及して来た。
「で、牧野の就職場所は、大河原の所…。」
「大河原グループか?」
「そう、そう言う事…。」
あきらは、更に、付け加えた。
「滋の奴…。
俺等 F3にも、逢わせ様としねぇんだよな。
まだ、牧野の記憶が、戻ってねぇという事が、理由らしいんだけど…な。
如何考えても、T2(滋と桜子)で、“牧野を独占してぇんじゃねぇだろうか?”って、こ
こ最近に成って、思うんだよな。
優紀ちゃんは、静観して見てるだろ…けどよ。
優紀ちゃんの一番は、牧野の幸せを願って居るんじゃねぇかと思うんだよな。」
「………」
「そうだね。」
「ああ。」
司は、更に、ショック以外、何ものでも無かった。
だからだろう。
司は、言葉に出来ず、項垂れるしかなかった。
“折角、俺の記憶が戻ったというのに…。”と…。
だが、類と総二郎は、あきらの意見に賛同する様な言葉を言って居た。