Single again…<総優> 13.
優紀にLINEで、連絡していた総二郎だった。
『優紀…?
今から、優紀の姉さんのマンションに行っても良いか?』
優紀は、家元夫人から言われて居た事も有り…。
総二郎のLINEの連絡に、了承する事にした。
『お待ちして居ります。』
実は、総二郎は、優紀の姉 瑞紀のマンション前に愛車を止めて、優紀からの了承の返事を待って居た。
で、優紀からの了承が得れたので、総二郎は、慌てる様に愛車をマンションの駐車場に止めた。
そして、総二郎は、インターンフォンを鳴らし、優紀に、セキュリティを解除してもらい、エレベーターに乗り、部屋のドアの前で来た総二郎は、ドアのベルを鳴らした。
そして、総二郎は、ドアを開けた優紀を引き寄せ、優紀を抱き締めた。
優紀は、総二郎に抱き締められ乍ら、驚愕するしかなかった。
そして、総二郎は、優紀にドアを閉められない様に…。
抱き締めた状態で、そのまま、玄関に入り、ドアを閉めた。
其の早業に、優紀は、何も言えなかった。
そして、総二郎と優紀は、玄関で、靴を脱ぎ…部屋に入った。
で、総二郎は、優紀を抱き締めた状態のままで、優紀の耳元に、囁いた。
「優紀…?
ごめん。
俺、全然、『女心』ってモノが、分かって無かった。
“F4の中で、俺位ぇだろ‼
『女心』が、良く分かってんのは…?”と、自負してたのに…な。
優紀に対しては、何も、分かって無かったわ‼
俺は、高校のガキの頃の俺自身に、“良く、分かりもしねぇで、言ってたよな‼”と、思
うわ。
何が、良く分かってんだか?
優紀が、何を思って、何を考えて居たのかも分かって無かったんだから…な。
唯、優紀の考えてる事を、分かって居る気に成っていただけだった。
俺は、“優紀の気持ちを分かってる‼”って解釈して居たのは、何だったんだろうって、
考えたわ‼
有り得ねぇよな‼
けど…な。
俺が、今、心から、大切に思ってんのは、優紀だけだよ‼
優紀が俺と、“別れる‼”と、言っても、俺は、別れねぇから…な‼
俺の中では、優紀は、『恋人』だけど…。
更は、本当に、『妹』以上の気持ちが持てなかったんだ‼
此れは、嘘じゃねぇ‼
俺を信じて欲しい‼
だから、ごめんな、優紀っ‼」
「………」
優紀は、言葉を出さず、代わりに、涙を流し始めた。
優紀を抱き締めて居た総二郎は…。
優紀の頬が濡れて居る感触で、優紀が涙を流し始めた事に気が付いた。
なので、総二郎は、優紀を、そーっと、総二郎から離し、総二郎は、優紀の肩を掴んで、優紀の顔を確認した。
そして、涙を流して居る優紀の頬と、目に溜まって居る優紀の涙を、そーっと、総二郎の親指で、拭って遣っていた。
其の総二郎の行動には、優紀は、面食らって居た。
未だ、総二郎と優紀は、立ったままの状態だったのだから…。
で、優紀は、総二郎の顔を、じーっと、魅入っていた。
総二郎は、初めて、『照れる』と言う言葉を認識した様な気がして居たのだ。
そして、やっと、総二郎と優紀は、リビングルームに在るソファに座った。
そして、総二郎は、優紀を引き寄せて、抱き締めて居た。
総二郎は、優紀を引き剥がす事等、出来ないと言って居るかの様に、きつく、優紀を抱き締めて居た。
そして、総二郎は、家元夫人から言付かっている言葉を、優紀に伝えていた。
「お袋が…な。
俺と優紀の為の部屋を作るって、言ってんだ‼」
「………、へっ??」
優紀は、総二郎の言葉に、優紀の声は、上擦った状態で、狼狽えていた。
だが、総二郎は、いつもの優紀なので、お構い無しに、話しを進めていた。
「実は…な。
俺も、ガキの頃の事だったから、今の今まで、覚えて無かったんだが…。
(西門邸の)本邸の奥に、今では、『開かずの扉』が在んだ。
お袋が言うには…?
其の奥には、本邸と、渡り廊下で繋がってる『離れ』が在るらしいんだ。
其の『離れ』は、渡り廊下の奥に在るらしい。
其の『離れ』と言うのが、俺の祖母さんで、お袋の先代の家元夫人が造らせたらしい。
其の(造らせた)理由も、俺の祖父さんで、親父の父親に当たる 先代の家元が亡く成
った事で…。
“私(わたくし)達の時代は、終わりました。
後は、あなた達で西門流を盛り立てなさい。”と、親父とお袋に伝えて、奥に引っ込
んだらしい。
其の『離れ』と言うのが、俺の祖母さんが亡く成った後は、メンテナンスとクリーニ
ングはして居たらしいが、誰も住んで無かったらしいんだわ‼
で、俺と優紀が、其の『離れ』に住めば…。
俺の祖母さんが、“喜ぶだろう‼”と、お袋が言い出して、リフォームが始まってんだ‼
しかも、其の『離れ』には、専用の玄関が在るから…。
あいつ等 F3&T3も、“誘い易いだろ‼”と、お袋から言われたわ‼
だから、優紀…?
俺の所に、戻って来てくれ‼」
総二郎は、必死の想いで、優紀に懇願し始めて居た。
此れには、優紀も、驚愕して居た。
何故なら、いつも、『クール』で、『ポーカーフェイス』で…。
“何を考えて居るのか?
全く、分からない。”と、世間から、言われている総二郎が…。
整えて居る筈のヘアセットを乱して、顔を真っ赤して、興奮して喋る総二郎を、優紀は、初めて見たからだった。
優紀は、初めて、優紀自身が、西門家の包囲網に在る事を感じて居た。
“もう、逃げられない。”と、悟った優紀だった。
何故なら、懇願する様に見て来る総二郎の目付きを見れば…。
優紀は、降参するしか無い事を悟ったのだった。
其れに、(西門邸の)本邸の奥に在る『開かずの扉』の奥の『離れ』なら…。
“幾ら、西門さんの幼馴染の更先輩で在っても、其の(『開かずの扉』の奥の『離れ』
の)存在は知らないだろう‼”と、悟った優紀だった。
だから、西門邸の総二郎の自室の中で、“更先輩の陰を見なくても済む。”と、悟った優紀だった。
なので、総二郎に返答する優紀だった。
「分かりました。
総二郎さんの下に戻ります。」
総二郎は、優紀の発した『総二郎さん』と、言う総二郎の呼び名に、ホッとしていた。
何故なら、最近は、『西門さん』呼びに変わっていたからだった。
優紀から、『西門さん』と、呼ばれるだけで、総二郎は、ショックを起こしていた。
だが、何より、また、優紀が、総二郎の下に戻ってくれる事に、ホッとしていた総二郎だった。