priority…<つかつく> 4.
<司side>
俺は、牧野を迎いに行ける資格がねぇのは分かってる。
けど…よ。
俺は、今更乍ら、あいつを失う事の怖さを思い知った。
だから、総二郎に頼み事をして居た。
「あの…な。
総二郎…。
頼まれてくれねぇか?」
俺の其の言葉に、F3が、一斉に、俺の方を向いて来た。
「はぁ~??
何だよ、そんな真剣な顔で…?」
総二郎は、仰け反る様に、俺に訊いて来た。
だから、俺は、真剣な顔をして、更に、総二郎に訊いて居た。
「総二郎の嫁さんって…?
牧野の幼馴染で親友って事は、確か、中学ん時からのダチだったよな?
高校ん時…。
牧野と一緒に、団子屋でバイトしてたよな?」
「ああ、そうだけど…?
司…?
何なんだよ⁉」
「総二郎の嫁さんに、俺と牧野との仲介を頼めねぇか?」
総二郎は、俺の顔を凝視し乍ら、言い返して来た。
「何で…だよ?
司から、直接、牧野に逢いに行けよ‼」
「あいつに会いに行けるなら…。
何を置いても、会いに行きてぇさ。
けど…よ。
今の俺には、あいつの気持ちも分からねぇ。
逢いに行って、迷惑がられでもしたら…。
俺は、あいつを失えば、生きて、行けねぇだろ?」
其処で、類が、クスクス、笑い乍ら、言って来やがった。
「司…。
自棄に、自信、無さ気じゃん‼
何…?
牧野に、振られる事が、怖いって、訳?
司らしく無いじゃん‼」
「………」
俺は、類に図星を突かれて、何も、言い返せなかった。
全く、類の言う通りだから、情けねぇよな‼
けど、俺の『priority【プライオリティ】(=優先順位)』は、あいつで、俺から、あいつを失くせば…。
俺は、俺じゃなく成るんだよ‼
だから、今の俺には、総二郎の嫁さんに、頼るしかねぇんだ。
で、そう思ってる俺の様子を見たからなのか?
あきらが、総二郎に口添えをしてくれた。
やっぱり、F4の中で、頼れる男は、あきらだぜ‼
「総二郎…?
優紀ちゃんに頼んで遣れよ‼
司のこんな姿を、俺等 F3でも、今までに見た事が有るか?
俺は、此の歳に成って、初めて見たぞ‼
こんな頼りねぇ、司の姿…。」
類は、あきらの言葉を受けて、また、クスクス、笑い乍ら、言って除けていた。
「俺は、高校の頃も、こんな司の姿を、何度も見た事、有るけど…ね。
何方にしても、牧野絡みでしょ‼」
総二郎は、納得した様に、俺に言ってくれた。
「まあ、仕方ねぇな‼
優紀に、頼んで於いて遣るよ‼」
俺は、素早く、総二郎に礼を言って居た。
「サンキュな、総二郎…。
宜しく頼むな‼」
また、そんな俺の方を向いて、F3は、俺を凝視していた。
何なんだよ‼
で、其れから、数日後…。
総二郎から、連絡が入って来た。
“司…。
牧野、当分は、日本に帰れねぇらしいぞ‼
“道明寺に、伝えて於いて欲しい‼”って、牧野から伝言を預かってる。
“例え、道明寺が日本に帰国しようが、今の私には、関係無い…‼”って…よ。”
「そうか?
サンキュな‼」
俺は、あいつの言葉に落胆気味に、総二郎には、そう答えるしかなかった。
<つくしside>
そう、あの時…。
私が、道明寺の事を諦めた時…。
私は、絶望と共に、次のステップとして、新天地を求める事にした。
丁度、私に、イギリス支社への転勤の話しが舞い込んで来た。
私は、“此の時を逃す手は無い。”と、そう思えていた。
そう、私は、道明寺を忘れる為に、新天地を求めた。
そして、家族を説得して、私は、イギリスへと、渡英した。
其れから、何年か経った頃…。
真夜中のバスルームで、疲れてふと泣けてきた。
頑張り過ぎる自分に…。
まだ、手にした事の無い幸せが、何処かに有る様な気がして…。
焦るのは歳のせい…?
一人楽しく生きて来たの‼
何一つ、悔やんで無いけど…?
曇った鏡の様に、明日が見えて来ない。
私は、此の気ままな生活に、慣れて来たのかも知れない。
自由と孤独は、二つでセット‼
気ままな程、寂しさも就いて来る。
勿論、静さんも、イギリスに出張の際は、遊びにも、来てくれる。
けれど…。
ふと、気が付くと、何時(いつ)も、私は、一人だった。
私は、何を取って、何を諦めれば良いのだろうか?
私の『priority【プライオリティ】(=優先順位)』は…?
今でもやっぱり…。
今の私の『priority【プライオリティ】(=優先順位)』は、=『仕事』だよね‼
そう思い始めていた頃に成って、優紀から…連絡が来た。
ううん、此のTELは、西門さんからだよね、きっと?
でも、私は、強がってしまった。
あのTELで、私から西門さんに言った言葉は…。
『西門さん…?
今は、何も、言わなくて良いから…。
道明寺に、伝えて…。
“例え、道明寺が日本に帰国しようが、今の私には、関係無い…‼”って…。
お願いね‼』だった。
<此の二次小説『priority…<つかつく> 4.』は、竹内まりやさんの ♪ 幸せのも
のさし ♪ の歌詞を勝手に文章化致しまして、拝借させて頂いて折ります事をお詫び
申し上げます。
関係者各位 様、勝手致して折ります事をお詫び申し上げます。>