ワーカホリック~仕事中毒~…<つかつく> 19.
其れからの司とつくしは…。
司に負けてしまったつくしが折れる形と成り、司の部屋で、一緒に、住む事に成ったのだった。
だが、つくしは、検察庁を辞める事は、頑なに、拒否して居たのだった。
何故なら、検察庁の先輩方には、恩義を感じて居るつくしだったのだ。
つくしが、一人抜けると言う事は、其のつくしの穴埋めを誰かがしなくてはいけなく成るのだ。
勿論、つくしは、思って居た。
“私の力等…。
大したものじゃないかも知れない。
でも、結局、負担を強いられるのは、下の立場の検事に成るのよね。
其れが分かって居て、抜けられる筈等無いでしょ‼”と…。
だから、つくしは、『検事』という仕事を続けるつもりで居たのだった。
だが、つくしは、司から、毎日の様に、言われていたのだ。
「俺の傍で、俺を支えて欲しい。」と…。
既に、『耳がタコ』状態のつくしだったのだ。
だから、つくしは、そんなつくしの前では、弱々しい司が、心配に成り始めて居た事も、また、事実だったのだ。
なので、つくしは、司に訊いて居たのだった。
「私は、今まで、検事の仕事しか遣って来て無いの。
そんな私が、法務関係の仕事が出来ると思うの?
無理に決まってるでしょ‼
結局、あんたの足手纏いに成るだけじゃん。
そんな風に成るって分かって居て、そっち(道明寺HD)には、行けないわよ。」
だが、司は、つくしを抱き締め乍ら、言って除けて居たのだった。
「其れは、徐々に、覚えて行けば良いさ‼
俺には、お前が、傍に居るというだけで、何倍もの力に成るんだ‼
其れが、分かって居て、お前を公私共に、手放す訳ねぇだろ。」
つくしは、もう、司の思う壺に嵌って居る事に気が付かない程…。
つくしは、思うのだった。
“こいつには、本当に、私が必要なのかも知れない。
じゃあ、私は、こいつの傍に居て上げるべきなのだろうか?”と…。
本来、つくしは、真面目で、正義感に溢れた性格をして居るのだ。
だから、つくしは、“『検事』という仕事は、私(つくし)の性に合って居る。”と、思って居たのだ。
其れは、幼馴染で親友の優紀も、つくしにそう言って居たのだ。
「『検事』という仕事は、つくしの天性かも…ね。」と…。
だが、つくしは、“こんな弱々しいこいつ(司)の事を放って置けない。”と、思う様にも成って来て居たのだった。
其れは、正義感から来るものなのか?
将又、つくしは、等々、『恋』というモノを知ったからなのだろうか?
つくしには、自身の事なのに、理解に苦しんで居たのだった。
だが、つくしの其の苦しみは、日に日に、つくしの心の中を占拠し始めて、大きく成って行くのだった。
本来、誰もが、納得する程、つくしは、『鈍感』なのだ。
本人は、そうは思って居ない様子なのだが…。
だから、此の気持ちが、何処から、湧いて来たものなのか?
つくしには、分からずに居たのだった。
此の事自体が、自身の事なのに、理解に苦しんでいるつくしだったのだ。
ましてや、司とは、既に、そういう関係に成って居るつくしなのだ。
つくしは、司自身を嫌だとは思って居ないのだ。
其の事自体が、つくしは、司を受け入れて居る証拠なのだが…。
其処には、気が付いて居ないつくしだったのだ。
“唯、こいつ(司)に求められるから、応じて居るだけ…。”と、言う事が、其の時のつくしの気持ちだったのだ。
本来のつくしなら、嫌な(嫌いな)男性に求められても、応じない筈だ。
其れなのに…。
つくしは、其処を履き違えてしまって居るらしい。
だから、つくしの頭の中では、ややこしい考えに陥って居るという訳だったのだ。
だが、既に、司は、そんな状態のつくしの事には、気が付いて居たのだ。
だが、司は、つくしには、一切、司から、言わなかったのだ。
何故なら、司から聞いて、司の言葉を信用する様なつくしじゃ無い事は、司自身が、一番、知って居るからだったのだ。
だから、司からは言わずに、つくしが、其の事に気が付く事を、司は、待って居るのだった。
意外と、忍耐強い司だったのだ。
其れも、『つくし限定』と言う事は言うまでも無いのだが…。
そんな或る日の事だった。
司は、F3に呼び出しを受けて居ると言う事で、司からは、「今日は遅く成る。」と、聞き、つくしも、お詫びを兼ねて、優紀のマンションに向かうのだった。
勿論、つくしは、つくしの荷物を引き取りに向かった事も言うまでも無いのだ。
で、其の時に、つくしは、優紀から、訊かれていたのだった。
「で、あれから、如何成ったの?」
つくしは、複雑な気持ちのまま、優紀に話しし始めて居たのだった。
「う~ん。
何か、付き合う形に成ったっていうか?
何て言えば…。
良いんだろ?」
煮え切らない感じのつくしに優紀は、更に、訊き出すのだった。
「う~ん⁉
何…煮え切らないね?
如何したの?」
なので、つくしは、優紀に、つくしの今の司への想いを伝えるのだった。
其の話しを聞いた優紀は、つくしに言って除けるのだった。
「ねぇ、つくし…?
つくしは、元々、正義感が在って、真面目で…。
自分自身の意見は、ちゃんと言えるよね。
でも、今のつくしは、唯、『恋する乙女』にしか私には、観えないけど…?」
「………」
つくしは、優紀の言葉に、驚愕顔を顔に張り付かせて居たのだった。
だから、何も、言い出せないつくしだったのだ。
だが、そんな風なつくしに成る事を見込んでいる優紀は、更に、つくしに訊いて居たのだった。
「ねぇ、つくし…。
其れに…ね。
つくしは、嫌いな男性に、身を任せる事が出来るの?
つくしは、そんな女性じゃ無いと、私は、思ってるんだけど…。」
つくしは、優紀の言葉を聞いて、更に、驚愕顔を顔に張り付かせて居たのだった。
だが、ふと、思って居たつくしだったのだ。
“そうかも知れない。
嫌いだと思う男性に、身を委ねる等…。
私には、出来ない。
って事は、優紀の言う通りなのだろうか?”と…。
だが、つくしの心の声という名の『独り言』は、しっかり、優紀には、訊かれて居たのだった。
そして、そんな優紀は、クスクスと、俯いたまま、笑って居たのだった。
そんな優紀を、つくしは、気が付いて居ない程…。
其の時のつくしは、物思いに耽って居たのだった。