人間恐怖症…<つかつく> 59.
潤は、朝、目覚めた時点で、司が、傍に居ない事に、気が付いたのだ。
潤は、美桜のベッドに、這い上がって、美桜を起こし、司の居所を確認し様として居たのだ。
潤は、美桜を揺すり起こして、叫んで居たのだ。
「ママ…。
パパが、いない(居ない)の。
パパは…?」
此の時の美桜は、朝の寝呆けた頭だったと言う事も有り…。
潤に起こされたばかりの美桜の頭の中では、潤が、何を言って居るのか?
一瞬、戸惑い…。
美桜の頭の中では、混乱するのだった。
だが、何時まで経っても、反応の無い美桜の様子に痺れを切らした潤は、美桜に、声を掛けるのだった。
「ママ…。
きのう(昨日)…。
パパが、ぼく(僕)に、あい(会い)にきて(来て)くれたでしょ‼」と…。
そんな風に美桜に言って来た潤の言葉で、美桜は、覚醒したと同時に、昨夜の事を思い出して居たのだった。
なので、美桜は、潤に返答するのだった。
「あぁ~。
パパは、昨日、お帰りに成ったわよ。」と…。
此の時の潤は、美桜からの言葉に、落胆の色を濃くして居たのだ。
普段の『潤』成らば…。
美桜を困らせる様な事は、言わないのだ。
所謂…。
美桜が、病気だという事を知って居る潤は、普段、美桜を困らせる様な事は、一切、言わないのだ。
其れに、美桜の母親で在る 古菱夫人も、潤には、何時も、言い聞かせて居たのだった。
否…。
古菱夫人は、潤の祖母として、潤には、何時も、教えて居たのだった。
「ママは、ご病気だから…。
ママを困らせる様な事は、言っちゃあ、いけないから…ね。
潤…。
良いわね。
何か、言いたい事が有る時は、『ばぁば』か『にぃに』に、言って来なさい。」と…。
なので、潤は、お願い事が有る時は、何時も、『ばぁば』か『にぃに』に、お願いして居たのだ。
だが、何時もの潤と違って、其の時の潤は、美桜を困らせる程…。
潤は、パパ(司)を、欲して居たのだった。
だからだったのだろう。
潤は、美桜から、司は、帰った事を聞き、無意識に、美桜と潤の部屋のドアの方に向かい、美桜と潤の部屋から出たのだった。
勿論、美桜は、何時もと違う対応の潤に、戸惑い始めて居たのだ。
だから、美桜と潤の部屋から出て行った潤を引き留める事が遅れたのだった。
一応、潤には、声を掛けた美桜だったのだ。
「潤…。
何処に行くの?」
だが、もう既に、潤の耳には、美桜の声は、届いて居なかったのだ。
美桜は、慌てて、潤を追い掛け様としたのだが…。
目覚めたばかりの美桜にとって、自身の姿を観た時に、潤を追い掛ける事を諦めた美桜だったのだ。
此の時の美桜は、思うのだった。
“多分、昨日、道明寺さんが、(古菱)邸に居らして居た時に、進も、此の部屋(美桜と
潤の部屋)に、一緒に、居てくれた事を、潤も、知って居るから…。
潤は、進の所に訊きに行ったんじゃないかしら?”と…。
だが、此の時の潤が、向かって居た場所を知った時の美桜は、そんな風に、考えて居た事を、後悔する事に成るのだった。
実は、此の時の潤は、ダイニングに向かって居たのだ。
毎朝の事なので…。
潤には、古菱家の面々が、ダイニングに揃う事は、承知して居るのだ。
なので…。
潤も、ダイニングに向かって居たのだった。
だが、此の日の潤の目的は、其れだけには、留まらなかったのだ。
ダイニングに入った潤は、先ずは、其処に居た進を見付けて、訊き始めるのだった。
「にぃに…。
きのう(昨日)…。
パパが、ぼく(僕)をおいて(置いて)かえった(帰った)って…。
ほんとう(本当)…?」
そんな風に言って来た潤に、驚愕する進では在ったのだが…。
悲しそうな顔付きの潤に、堪らず…。
返答の言葉を伝えるのだった。
「『置いて帰った』と言う言葉が相応しいか如何かは、置いて於いて…。
此処(古菱邸)は、パパのうち(邸)でも無いし…。
パパは、ママと潤に会いに来て居るだけだよ。」
そんな風に進から話しを聞かされた潤は、更に、悲しそうな顔付きをするのだった。
否…。
今にも、泣きそうな顔付きに成る潤だったのだ。
所謂…。
此の時の潤は、一生懸命、泣く事を耐えて居る様な顔付きに成って居たのだった。
だからだったのだろうか?
潤は、更に、進に訊き始めるのだった。
「パパのおうち(邸)は、ここ(古菱邸)じゃないってこと…?」
なので、進は、潤の顔付きを観る事無く、言って除けるのだった。
何故なら…。
潤の悲しそうな顔付きを観る事は、今の進には、辛かったのだ。
「そう言う事だよ。
でも、今日も、パパは、ママと潤に、会いに来てくれるらしいよ‼
だから、パパが来るまで、起きて待ってなきゃね。」と…。
本来なら…。
進の口から、潤に伝えるべき話しでは無いのかも知れない。
だが、此の時の進は、潤の悲しそうな顔付きより、嬉しそうな顔付きを観る方が良いと思い。
進は、潤に伝えたのだった。
其の時だったのだ。
其れまで、泣きそうだった潤の顔付きは、パーっと、明るく成ったのだった。
そして、何も言わず…。
此の時の潤は、ダイニングを出たのだった。
潤が、ダイニングを出て行った後のダイニングでは、実は、古菱社長は、大笑いだったのだ。
だが、古菱夫人は、怪訝な顔付きをして居たのだった。
そして、或る程度…。
笑いが静まった古菱社長は、進に声を掛けるのだった。
「今までは、“『にぃに』…。 『にぃに』…。”と…、煩い程…。
進の周りをうろ付いて居た潤が…。
パパの登場で、進は形無しだな。
やはり、潤にとっては、『叔父』より、『父親』らしいな。」と…。
此の時の進も、潤の対応の変化を、勘付いて居たのだった。
だから、進は、そんな風に言って来た自身の父親(古菱社長)に言えた言葉だったのだろう。
「そうみたいだね。」と…。
其処で、古菱姉弟の父親で在る 古菱社長は、進に、優しい目をして、言って除けるのだった。
「何だか?
進は、寂しそうだな?」と…。
だが、此の時の進は、そんな潤の対応の変化に、些か、戸惑いを感じて居たのだ。
だから、進は、古菱姉弟の父親で在る 古菱社長に言えた言葉だったのだろう。
「良いや…。
そんな事は、無いよ。
当然…。
潤にとっては、『叔父』より、『父親』でしょ‼
初めから、俺は、潤を巡って、道明寺さんと戦っている訳じゃ無いし…。
当然だと受け止めて居るよ‼」と…。
だが、此の時の進は、そんな潤の対応に、寂しく感じて居たのだった。
所謂…。
此の時の進は、両親の前では、強がって魅せていたのだった。
<此の二次小説『人間恐怖症…<つかつく> 59.』は、切りが良い為に…。
短めに成っております事をお詫び申し上げます。
了承の程、宜しくお願い致します。>