もし、全員、幼馴染だったら…<F4&T4> 18.
楓が、祥一朗と瑞紀の付き合いを知ったのは、椿からの情報だったのだ。
実は、1ケ月程前の事だったのだ。
椿が、日本に帰国した際…。
椿は、久し振りに、瑞紀を呼び出したのだった。
「瑞紀…。
ご無沙汰だったわね。」と、いの一番に、椿は、瑞紀に、声を掛けたのだった。
なので、瑞紀も、椿に、返答するのだった。
「ほんと、ご無沙汰だったわね。
何年振りかしら…?」と…。
其処で、椿は、指折り数え乍ら、返答したのだった。
「私の結婚式に、出席して貰ってからだから…。
3年振りかしら…ね?」
其処で、瑞紀も、驚愕だったのだ。
“もう、そんなに経つんだぁ~。”と…。
だが、椿には、話しを替えて話しし始めるのだった。
「そうなのね。
日が経つのは、早いわね。
じゃあ、結婚生活も、3年って事よね?」と…。
其処で、椿も、頷き乍ら、返答するのだった。
「そうね。
そう成るわね。」と…。
其処で、瑞紀は、椿に、訊きたかった事を、“今だから、訊こう。”と、思い、話しし始めるのだった。
「でも、椿が、学生結婚を、了承するとは思わなかったわ。」と…。
だが、椿は、苦笑いだったのだ。
「学生結婚と言えば…。
聞こえは良いかもだけど…。
要は、政略結婚だった訳だし…。」
だからだったのだろう。
瑞紀は、納得するかの様に、頷き乍ら…。
話しし始めるのだった。
「そうだったわよね。
あの頃の椿は、荒れて居たわよね。
“高校生の歳で、お見合いさせる親が居るんだ‼”と、私は、驚愕だったけど…。
でも、今では、幸せなのよね?」
なので、椿は、頷き乍ら、瑞紀に、即答するのだった。
「ええ。
とっても…。
最初の頃は、“絶対、彼には、靡かない。”と、思って居たんだけど…。
彼の優しさに、絆されたというか?
結局、彼に惹かれたのよね。
“結婚した相手が、彼で、本当に、良かった。”と、今では、心から、思えるの。」
そんな椿の幸せそうな顔付きを観て、瑞紀は、安心したかの様に、話しし始めるのだった。
「其れは、其れは…。
ご馳走様…。
椿が、幸せそうで、本当に、良かった。
(椿の)旦那様と椿は、結婚してから、恋愛しているって、感じよね?」
椿は、瑞紀の言葉に、賛同するかの様に、返答するのだった。
「そうかも知れないわね。」
だが、椿も、気に成って居る事を、続けて、瑞紀に、訊き始めるのだった。
「ねぇ~、瑞紀…。
『彼』は、如何してる?」と…。
だが、此の時の瑞紀には、椿が言った『彼』の意味が、本当に、分からなかったのだ。
「『彼』…って?」
なので、椿は、瑞紀に、言って除けるのだった。
「高等部の頃の…。」
其れだけで、瑞紀には、椿が、何を言わんとしているのか?
分かったのだった。
「あぁ~。
其の『彼』…ね。
彼の其の後は、私には分からないかなぁ~。
実は…ね。
あの当時…。
椿と別れた後の彼は、センター試験を受けて、国立大学に進学したらしいの。
丁度、其の頃…。
彼の父親の会社が危ないっていう噂が、(英徳)学園内で広がって居てね。
でも、其の後、持ち直したらしいだけど…。
で、其の後は…。
祥一朗も、会って居ないと思うのよね。
だから…。
分からないかな?」
実は、其の裏には、楓の陰が、存在して居たのだった。
所謂、其の彼と椿を別れさせる為に、楓が仕組んだ事案だったのだ。
【椿と別れないなら…。
道明寺HDと父親の会社との提携を、解除する。
だが、椿と別れるなら…。
父親の会社の借金は、私(わたくし)(楓)が、肩代わりする。】
というモノだったのだ。
全ては、楓が、仕掛けた事案だったのだ。
其の事を知らない椿は…。
“彼が、元気にしているなら…。
其れで良い。”と、思って居たのだった。
此の時の瑞紀は、椿からの返答の様子を観て居たのだが…。
だが、気に成るので、椿に、続けて訊いて視たのだった。
「彼の事が気に成るの?」と…。
そんな風に訊いて来た瑞紀には、苦笑いの椿だったのだが…。
心の奥深くに、今でも、存在するモノを、椿は、此の場で、吐き出すのだった。
「気に成るって、言うのか?
今でも、心の奥深くで、私に問い掛けて来るのよね。
“此れで、良かったのか?”って…。
勿論、今の私は、幸せよ。
でも、罪悪感に苛まれる時が有るのよね。
だから…。
時々、思い出す事が有って…。
彼が、元気で、幸せに過ごしているなら…。
今は、其れだけで良いかな?」と…。
そんな風に言って来る椿の顔を、ジーっと、観て居た瑞紀には、同じ女性として、気持ちは分かるのだった。
だから、瑞紀には、言えた言葉だったのだろう。
「きっと、幸せに過ごして居るわよ。」と…。
此の時の瑞紀からの言葉に、椿は、ニコッと、笑って魅せたのだった。
其れに、椿には、祥一朗と瑞紀の其の後が、気に成って居たのだった。
其の後…。
瑞紀からは、何の連絡も、入って来ないからだったのだ。
椿にも、知っては居たのだ。
高等部の頃に、祥一朗が、ドクターに成りたい夢を、父親で在る 西門流 家元に、伝えた事…。
そして、西門流 次期家元の座を、次男で在る 弟の総二郎に託して、家を出たという事は…。
だが、其の後…。
如何成ったのか?
椿には、全く、話しが聞こえて来なかったのだ。
だからだったのかも知れない。
椿は、瑞紀に、訊き出し始めるのだった。
「ねぇ~、瑞紀…。
其の後…。
祥一朗とは、如何成ってるの?」
なので、瑞紀は、ニコッと、微笑み乍ら…。
椿に言って除けるのだった。
「相変わらず…よ。」
そんな瑞紀の顔付きを観て居たら…。
椿には、瑞紀が、嘘を言って居る様には、思え無かったのだ。
だが、椿には、瑞紀が、含みを帯びた様に、話しして居る様にも思えたのだった。
だからだったのかも知れない。
椿は、再度、瑞紀に、訊き出すのだった。
「将来は、結婚するつもり何でしょ?」と…。
だが、瑞紀から聞かされた言葉は、椿にとっては、意外なモノだったのだ。
「将来の事は、まだ、分からないかな?」と…。
此の時の椿にとっては、瑞紀から聞かされた言葉は、信じられない想いで一杯だったのだ。
実は、椿は、祥一朗と瑞紀の結婚式を楽しみにしている一人だったのだから…。
だからだったのだろう。
椿は、そんな瑞紀に、或る提案をするのだった。
「外堀から埋めていかない?」と…。
此の時の瑞紀は、そんな椿からの提案に、驚愕するのだった。