記憶を失って…<つかつく> 18.
司は、食事もある程度、終わりに近付いた頃を見計らって、つくしに尋ねた。
「つくし、俺への気持ちを聞かせてくれねぇか?」
「えっ??」
「俺は十分待ったと思ってる。
そろそろ、つくしの気持ちを知りてぇ⤴。」
「正直に言うと、司さんの事、嫌いじゃない。
反対に好きだと思う。」
司は、“マジか…⤴。”と、心の中で叫んでいた。
「でも、“恋愛感情の好きか?”って聞かれたら、自分でもまだ、何も見えて無いの?」
司は、また、“マジか…⤵。”と、心の中で叫んでいた。
「司さんが私を想ってくれている気持ちの10分の1しか、私の気持ちはまだ、到達してな
いかも知れないけど、それでも良い?」
司は考えた。
10分の1でも想ってくれるので有れば御の字。
“無いよりマシと思おう⤴。”と…。
「分かった。
残りは、つくしが俺に眼を向けてくれるように、俺、頑張るから…。
俺の傍に居てくれ‼」
つくしは頷いた。
こうして、司とつくしの恋人同士としての付き合いが本格的に始まった。
あの付き合いから、更に約1年が経ったつくしの誕生日に司はプロポーズをした。
司は、つくしが婚約指輪をやっと受け取ってくれた事を嬉しく思うと共に、やっとこの日が迎えられた事を“ほっ”としていた。
そして、それから半年後の6月に、『ジューンブライドの花嫁』に成ったつくしで有った。
結婚式を挙げた司とつくしでは有るが、未だに、つくしの記憶は戻っていない。
記憶は失ってしまったままである。
もう、一生、記憶は戻らないかも知れない。
それでも、司は良いと思うようにしていた。
つくしが一生、司の傍に居てくれるので有れば…。
つくしが司の傍に居ない日々の苦しさを知っている司にとっては、記憶よりつくしなので有る。
『あの苦しい日々は、二度と味わいたくない』と、思う司で在った。
司は、今が幸せなら、それだけで良いので有る。
つくしが居て、司は幸せだから…。
fin