Close to you~お前の傍に~…<総優>【Close to you~お前の傍に~…<つかつく>】 番外編⑩
総二郎の母親で在る 西門流 家元夫人と会った後の桜子の祖母で在る 旧 華族 三条家の大奥様は、優紀に或る話しをするのだった。
「優紀さんにお願いが有るのよ。
実は…ね。
三条家としてはお断り出来無い筋からのお話しで…ね。
其方のご子息が優紀さんの事を気に入ったとかで、“息子 と 優紀さんのお見合いを執
り行えないか?”と、打診が有ったのよ。
勿論、此方からもお断りする事は可能…何だけど…。
何事も経験だから、“もしも、優紀さんが良かったら、此のお見合いのお話しをお受けし
たら如何か⁉”と、思ったのよ。
今迄は、此の様なお話しは、優紀さんの事を理解して居たからこそ、お断りして来たんだ
けど、今回は如何かしら?
是非、お受けしたら如何(いかが)かしら?」と、念押しするかの如く…。
勿論、此の話しは、実は、実際に、三条家に入って来た話しだったのだが、此の時の桜子の祖母で在る 旧 華族 三条家の大奥様は、お受けするとか、お断りするとかの次元の話しでは無く、其れとは別に、引くに引けない事情が有ったのだ。
何故なら…。
其れは、総二郎へのお仕置きを兼ねて居たから…だったのだ。
だからこそ…。
此の時の桜子の祖母で在る 旧 華族 三条家の大奥様は、此のお見合いの件を優紀に押しに押して居たという訳…だったのだ。
だが、其れでも、此の時の優紀は、“此のお見合いの件をおばあ様にはお断りし様…。”と、考えて居たのだった。
ところが、如何言う流れだったのか?
総二郎へのお仕置きを兼ねて居た事から、桜子の祖母で在る 旧 華族 三条家の大奥様は、優紀の知らぬ所で、此のお見合いの件を強引に進めて居たのだった。
だからだったのだ。
其の事を知った優紀は、桜子の祖母で在る 旧 華族 三条家の大奥様に断る事が出来無く成り、等々、お受けし無ければ成らなく成って居たのだった。
そして、優紀のお見合いが決行される前に、桜子の祖母で在る 旧 華族 三条家の大奥様から其の話しを聞いて知って居た総二郎の母親で在る 西門流 家元夫人は、自身の息子で在る 総二郎に、自ら、其の優紀のお見合いの件を話しして聞かせるのだった。
「実は、三条家の大奥様が進めて居らっしゃる三条家としてはお断り出来無い筋からのお見
合いのお話しを、優紀さんはお受けする様よ。
其の優紀さんのお見合いは、来週、執り行われるそうよ。
ですから、総二郎は、優紀さんの事を諦めなさい。」と…。
しかも、此の時の総二郎の母親で在る 西門流 家元夫人の眼は、総二郎を射抜く様な目付き…だったのだ。
実は、傍から観れば分かり難い此の時の総二郎の母親で在る 西門流 家元夫人のそんな様子では在ったのだが、其れはまるで、自身の息子で在る 総二郎にエールを送って居るかの様…だったのだ。
“貴方が優紀さんに起こしてしまった事で、三条家の大奥様がお怒りに成り、優紀さんのお
見合いのお話しを進められたのよ。
優紀さんを誰にも取られたく無いなら、今迄の貴方の行動を反省して、此れからは、優紀
さんに尽くしなさい。”と…。
言う成れば、此の時の総二郎の母親で在る 西門流 家元夫人のそんな思いは、自身の息子で在る 総二郎への母心…だったのだ。
だが、そんな話しを自身の母親で在る 西門流 家元夫人から聞かされた此の時の総二郎は、傍から観れば、冷静な態度の様に感じる総二郎では在ったのだが、実は、桜子の祖母で在る 旧 華族 三条家の大奥様に対して、怒り狂って居たのだった。
“桜子の祖母さんよ。
俺へのお仕置きにしては、ちと、遣り過ぎじゃねぇの⁉
そんな事が有る訳ねぇと思うんだが…。
もしも、優紀ちゃんが其の男の事を気に入ったとしたら、桜子の祖母さんは如何してくれ
んだよ‼
良くもそんな余計な事をしてくれたよな‼”と…。
だからだったのだ。
そんな風に怒り心頭な様子の総二郎は、あきらを呼び出し、あきらに助けを求めたという訳…だったのだ。
そして、総二郎から呼び出しを受けた此の時のあきらは、「作戦会議だ‼」と、総二郎から言われ、実は、うんざりして居たのだった。
そして、優紀のお見合いの当日と成ったのだ。
此の時の総二郎は、朝から冷静には成れず、早起きして居た位…だったのだ。
だからだったのだろう。
そんな様子の総二郎を傍から観て居た此の時の総二郎の母親で在る 西門流 家元夫人は、笑いたい気持ちを抑えるのに必死…だったのだ。
“総二郎は、かなり、パニックに成って居る様子ね。
こんな総二郎を見たのは、初めての事かしら。
総二郎は、好意を寄せて居る女性に対して、こんな風に、動揺するのね。
意外だったわ。”と…。
そして、其の後の総二郎は、優紀のお見合いの時間が迫って居た事から、あきらに連絡を入れて、あきらと最終チェックをして居たのだった。
そして、其の後の総二郎は、優紀のお見合いの場で在る 東京メープルに向かうのだった。
実は、既に、東京メープルに入って居た筈の総二郎は、元々、幼少期の頃から東京メープルに出入りして居た事も有り、勝手知ったる場所だったというのに、最終チェックかの如く、東京メープル内を事前に確認して居たのだった。
其処に、あきらが東京メープルに到着した事から、此の時のあきらは、密かに、思って居たのだった。
“総二郎は、かなり、テンパってんな。
今日の総二郎は、大丈夫なのか?
っつーか?
総二郎も結局は、恋する男…だったんだな。
今迄、司の様に前面に出て無かっただけで、本来の総二郎は、こう言う男だっつー話しだ
な。
恋する総二郎君の此れからは、如何、変貌して行くかだな。”と…。
実は、此の時のあきらは、そんな総二郎の事が不安の様な楽しみの様な、複雑な思いで居た事は言うまでも無かったのだった。
そして、其の後の優紀のお見合いは、宴も酣(たけなわ)と成ったからなのか?
定番の「後は、若いお二人だけで…。」と、成ったからなのか?
優紀のお見合い相手の男性 と 優紀が連れ立って其の場を後にした事から、あきらと一緒に、こっそりと、優紀のお見合いの様子を傍から覗き見して居た此の時の総二郎は、遅れて、優紀のお見合い相手の男性 と 優紀の後を追うのだった。
そして、優紀のお見合い相手の男性 と 優紀は、其の後、東京メープル内に在る 中庭に出て居たのだった。
其処で、優紀のお見合い相手の男性は、優紀に好意を寄せて居る事と、付き合って欲しい旨を優紀に伝えて居たのだった。
「優紀さん…私は、貴女の事が好きに成りました。
是非共、今後は、私と付き合って下さいませんか?」と…。
だが、其処で、そんな優紀のお見合い相手の男性に逆上した総二郎は、あきらの制止の言葉も聞く事無く、優紀のお見合い相手の男性 と 優紀の前に姿を見せるのだった。
だからだったのだろう。
此の時の優紀のお見合い相手の男性もそうだったのだが、優紀も、そんな総二郎に驚愕するのだった。
「えっ、西門さん…⁉
如何して此処に…。」と…。
そして、驚愕だけでは無く、優紀の顔を見詰め乍らも優しい総二郎のそんな顔付きを見た事から、此の時の優紀のお見合い相手の男性は、総二郎も優紀に好意を寄せて居る事に気が付くのだった。
“西門総二郎…。
貴方が此処に居るという事は、貴方も優紀さんに好意を寄せて居らっしゃるという事です
ね。”と…。
だが、此の時の優紀のお見合い相手の男性は、何故か?
総二郎に勝てる様な気がして居たのだ。
何故なら…。
此れ迄の総二郎は、『女たらし』で有名だったのだから…。
まさか、優紀がそんな『女たらし』の総二郎の事を好きに成る様には思わなかったのだ。
という寄りも、此の時の優紀のお見合い相手の男性は、“西門総二郎は、優紀さんの好みの男性では無い。”と、確信めいたモノを感じて居たのだった。
だからこそ…。
此の時の優紀のお見合い相手の男性は、何処か、余裕な気持ちで居たのだった。
だが、そんな優紀のお見合い相手の男性の余裕な気持ちは、其の後、覆される事と成るのだった。
何故なら…。
此の時の総二郎は、フンと、でも言いた気に、優紀のお見合い相手の男性に言って除けて来たから…だったのだ。
「お前は此処迄だ‼
優紀は俺が連れて帰る。
優紀は俺の女だ‼
俺 と 優紀は、高校のガキの頃からの付き合いだ‼
良~く、覚えとけ‼」と…。
其れはまるで、此の時の総二郎に司が乗り移ったかの様…だったのだ。
だからだったのだろう。
そんな総二郎の様子を一部始終観て居た此の時のあきらは、密かに、思うのだった。
“総二郎 と 優紀ちゃんは、確かに、高校のガキの頃からの付き合いだな。
でも、其れは、仲間としてだろ。
其れに、空白時間も有った訳だし…な。
やっぱ、総二郎は、まんま、『司』じゃねぇかよ⁉
男は、恋をすりゃあ、あの総二郎でさえも変わるんだな。”と、呆れて居るかの様に…。
そして、其の後の総二郎は、其のままの勢いで、優紀の手を取って、優紀の手と繋ぎ(恋人繋ぎ)、其の場から優紀を掻っ払う(かっぱらう)のだった。
実は、そんな素早い総二郎の動きに呆気に取られて居る間に、此の時の優紀のお見合い相手の男性は、何も言い出す事が出来無いまま、優紀を掻っ払われた(かっぱらわれた)状況…だったのだ。
だからだったのだろう。
優紀のお見合い相手の男性と同様に、其の場に取り残された形と成って居たあきらは、其の優紀のお見合い相手の男性の肩を後ろから叩き、言って除けるのだった。
「ご愁傷様だな。
優紀ちゃんは、総二郎に任せて置けば良い。」と…。
そして、此の時のあきらは、独り密かに、そんな総二郎に思うのだった。
“何が「作戦会議だ‼」っつーんだよ。
何が「最終チェックだ‼」…何だよ。
総二郎のヤロウ‼
此の場に経った一人、俺を残して帰るんじゃねぇよ。
いい加減にしろっつーの‼”と…。
だが、此の件は、数日後、世間を騒がせる様な有名な話に成った事は言うまでも無かったのだった。
fin