やっぱり、私は…<総優> 11.
<総二郎side>
そんな話しをして居る間に、挨拶回りを終了した司と牧野が、俺等、F3&T3が居る方に向かって歩いて来ていた。
俺等との新年の挨拶もそこそこに、滋が愚痴を言って居た。
俺は、唯、T4の会話に聞き耳を立てていた。
「ちょっと、つくしだけ、狡~いっ‼」
「ああ、ごめんね。
お義母様が、誕生日のプレゼントに、成人式の振袖をご用意下さったの。
“成人式は、日本に帰国出来そうも無いから、今日のパーティーで着付けて頂戴‼”と、
仰って下さって…。」
「じゃあ、仕方ないね。」
滋は、不貞腐れ気味では有ったが、引き下がった様子だった。
桜子が、間髪入れずに、言って来た言葉で仕方無しだっただろうけど…よ。
「そうだったんですね⁉
先輩に良く似合ってらっしゃいますね。
『馬子にも衣裳』って、こういう事を言うんですわね。」
「ちょっと、桜子…。
それ、如何いう意味よ⁉」
例の如く、あきらが仲裁に入っていた。
「お前等、正月早々だぞ‼」
「「………」」
牧野と桜子は、何も言えず、俯いていた様子だった。
で、牧野は、優紀に声を掛けられて居た。
「つくし、もう、私、見ちゃったね。
成人式の振袖…‼」
「あっ、そうだね。
優紀も、似合ってるよ、其のソワレ…‼」
「………」
優紀は、照れている様子だった。
「それより、ごめんね。
成人式のお支度、“一緒に行こう‼”って、言ってたのに…。」
「あっ、良いよ。
美容室には、ちゃんと、説明して、分かってもらえたし…。
それに、私の予約、一番最後にしてもらったから、ゆっくして居られるし…。」
「じゃあ、会場で会うのは、少し遅らせた方が良いよね⁉」
「うん、そうだね⁉
じゃあ、つくしと何処かで待ち合わせだね⁉」
「了解‼
近くに成って来たら、相談しよ‼」
「うんっ‼」
牧野と優紀がそんな話しをして居た時、滋が、桜子と目配せをしながら、優紀に声を掛けていた。
如何も、俺にこれ見よがしに言って居るのは、何と無く分かって居た。
「じゃあさあ、優紀は、うち(大河原邸)で、成人式のお支度しない⁉」
「………、えっ??」
そりゃあ、そう言う反応に成るよな⁉
「だってね、私、去年が、成人式だったでしょ?
それなのに、成人式の日に振袖来てないの…。」
「えっ、如何して…?」
「だって、つくしも優紀も桜子も居ない成人式に行く気、無かったんだもん。
お正月には着付けたんだけど…ね。
だから、今年に、つくしと優紀に便乗させてもらおうかと思って…ね。」
「はぁ~??」(つくし)
「えっ??」(優紀)
「じゃあ、私も便乗させて下さいね‼」
「ちょっと、桜子は来年でしょ?」
「誰も、知り合いも居ない成人式に行きたく成ると、思います~?
先輩も優紀さんも滋さんも、居ない所に…。」
まあ、桜子の意見も一理有るわな⁉
「じゃあ、決まり…ね⁉」
「でも、先輩は、道明寺邸でお支度ですよね⁉」
「うん、椿お姉様も、帰国して来て下さるから…。
残念だけど…。」
「じゃあ、優紀は、うち(大河原邸)で、決まり‼
当日、迎えに行くよ‼」
「有難うございます。
宜しくお願いします。」
優紀は、滋に圧倒されている様に見えるが…⁉
大丈夫なのか…優紀ちゃん?
「で、さあ、優紀は、振袖は決まってるの?」
「はいっ‼
お姉ちゃんが、成人式の時に作った振袖を借り様かと思って…。」
「へぇ??
それって、如何なの…?」
牧野が、世間の姉妹事情について、T2に言って聞かせていた。
「世間の姉妹は、そう言うもんだよ。
姉妹で、同じ振袖を着付けるもんなの…。」
「じゃあ、写真に残る振袖は、姉妹同じって事ですよね?
世間は、そう言うもん何ですね…?」
「まあ…ね。」
滋は何か考えて居る様子だった。
「じゃあさあ、どうせ、うち(大河原邸)で、着付けるんだし…。
荷物に成るじゃん…。
だからさあ、私の振袖を着付けない?
ね、優紀⁉」
「えっ⁉」
「だってね…。
毎年、パパが振袖を用意してくれるんだけど…。
毎年、正月に一日しか着付けないじゃない?
だから、つくしの言う所の『勿体無い』でしょ?
だから、優紀に着付けてもらえたら、振袖も喜ぶでしょ?」
優紀は、迷っている様子だった。
「でも、私は、滋さんみたいに、背も高く無いし…。
それに、体系だって、滋さんの様に、スレンダーじゃ無いし…。
寧ろ、着付ける時点で、難しいでしょ?」
「そんなのん、何とでも成るわよ‼
優紀、決定ね‼」
如何も、優紀は、丸め込まれてる様子だけど…な。
俺は、思わず、言って居た。
「其れなら、俺が、優紀ちゃんの自宅まで迎えに行って、滋ん家(ち)に送り届ける
よ‼」