馬鹿だよな、俺…<総優> 8.
<優紀side>
不安で居た私に、先生から言われた一言に、私は、打ち拉がれていた。
「優紀、そろそろ、日本に戻って、ご両親に、『優』を、会わせて上げるべきよ‼
孫がいらっしゃるのに…。
孫の存在を知らない何て、親として、不幸でしかないわ‼」
優紀は、言い訳を考えて居た。
「でも、先生に、こんなにお世話に成ったのに…。
恩返しも出来ないままだ何て…。」
「永遠の別れじゃないでしょ?
これからも、一緒に、仕事する事には変わりないのよ‼
それに、私にも、日本の大学から、英文科の教授の話しが来てるのよ‼
それに、いつまでも、優一郎を戸籍の無い子にしてはいけないわ‼
だから…ね。
一緒に、帰らない…日本へ?」
先生が帰られるなら、私一人で、優一郎を抱えて、異国の地は無理が在る。
じゃあ、一緒に、日本に帰国するべきだろう?
でも、両親は、こんな親不孝者を受け入れてくれるのだろうか?
優一郎の父親の存在を明かせない娘を如何思うだろうか?
不安でしかなかった。
<総二郎side>
俺は、優紀が、NYに居る事が分かり、直ぐ様、NYに飛んだ。
そして、JFK国際空港で、優紀を見掛けた。
優紀は、子供を抱いて居た。
しかも、俺にそっくり…⁉
否、俺の幼少期そのものじゃねぇか?
まさか…⁉
優紀は、俺の息子(こ)を産んで居た…⁉
“やべぇ‼”
“マジか⁉”
間違いねぇ…俺の息子(こ)だろう⁉
俺は、優紀を見失う前に、慌てて、優紀に声を掛けた。
俺が、声を掛けるまで、優紀は、俺に気付いて居ない様子だった。
「優紀…。
優紀、何だろ…⁉」
優紀は、はっとした様に、俺の方を向いた。
「西門さん…⁉
如何して、此処に…⁉」
「優紀が載っていたゴシップ誌を見て、NYに優紀を迎えに来た。
翻訳士に成ってたんだな?」
「ゴシップ誌…⁉」
優紀は、不思議そうにしながら、俺の顔を見ていた。
俺は、ゴシップ誌の事より、優紀が抱いて居る子供の事の方が気に成り、優紀に確認していた。
「優紀…その子⁉」
「………」
優紀は、子供の事に関しては、何も答えなかった。
代わりに優紀が言った言葉は…。
「西門さん、申し訳ありません。
もう、フライトの時間なので…。」
俺は、その言葉と共に、優紀の腰を掴んで、優紀の身体を俺に引き寄せて、子供諸とも、俺から、離れられねぇ様に抱き締めた。
尚も、抵抗する優紀だった。
「西門さん、申し訳ありません。
離して下さい。
フライトの時間に間に合わなく成ります。」
俺が、喋ろうとして居る所に、優紀の傍に居た中年女性が俺に、声を掛けて来た。
「貴方、もしかして、『優』の父親…⁉」
優紀は、其の中年女性の言葉に驚愕していた。
「先生…⁉」
「ねぇ、優紀…⁉
だって、優は、其の男性にそっくりだもの…。
優紀から聞かなくても、私だって、分かるわよ‼」
「………」
優紀は、尚も、何も答え様とはしなかった。
「確か、貴方って…⁉
西門流の次期家元じゃない?」
「ええ、そうです?」
ずけずけと、俺に訊いて来る此の中年女性には、些か、話し辛いとは、思ったが…。
優紀にとっては、世話に成ったかも知れねぇので、俺は、邪険には出来なかった。
「そう。
で、貴方と優紀の関係は…⁉」
俺は、間髪入れずに優紀の目の前で言って遣った。
「恋人です。
俺が、愛してる女性です。」
優紀は、驚愕して居たが…。
俺は、俺の気持ちに気付いちまったんだから…。
後は、優紀を取り戻すだけだ。
勿論、息子と共に…な。
<8.は、短めで申し訳御座いません。>