俺の為だけの、俺の女…<つかつく> 18.
<司side>
両家の食事会の日が遣って来た。
俺は、朝から、落ち着かなかった。
その日が初めての、つくしの両親との顔合わせの日だった。
俺は、きちんと挨拶出来るのか?
不安でしかなかった。
つくしに聞く処に寄ると、つくしは、俺との結婚の為に、弁護士事務所を退所して、俺の支えに成る決心をしてくれたと聞いた。
成らば、俺がする事は、そんなつくしを幸せにする事…。
其れが、一番、大切で、俺にとっては必要不可欠な事…。
だから、つくしの両親には、粗相がねぇ様にしたい。
つくしから聞けば…。
つくしの父親は、他人(ひと)に対しては、パッと見位は、何も言わ無さそうで…。
他人(ひと)から思われるつくしの父親の印象は、頑固っぽく見られるらしい。
だが、つくしから見れば…。
普段の父親は、何を考えて居るのか分からない時も在るらしいが…。
ユーモアセンスは在るらしく、笑いの分かる人らしい。
つくしが小さい頃は、如何でも良い様なダジャレとかを言って居たらしい。
其れと同じ位ぇ、つくしの父親は、つくしの幼少期の頃から、放任主義だったらしい。
『自分の事は、自分でする』と、つくし姉弟は、父親から教えられて育ったらしい。
企業の社長にしては、“特殊なのかも知れねぇな‼”と、俺は、思って居た。
で、母親は、つくしの幼少期の頃から父親と同じく、放任主義だったらしいが…。
上昇志向が強い割には、人に頼りたがる所が在るらしい。
つくしは、どっちの親に似たんだ?
話しを聞く分には、何方にも似てねぇ様な気さえしていた。
で、俺と俺の両親と姉ちゃん家族は、メープルの一室に来ていた。
人数が人数、何で…。
レストランの個室という訳には行かなかった。
で、少ししてから、つくし家族が、支配人の誘導で、部屋に入って来た。
俺は、つくしの両親が席に就いたと同時位ぇに、席を立ち、挨拶を交わした。
「お初にお目に掛かります。
道明寺司と申します。
この度は、ご挨拶が遅れて申し訳在りません。
既に、つくしさんとは、お付き合いさせて頂いて折ります。
今後は、つくしさんとの結婚を視野に、お付き合いさせて頂きたいと思って居ます。
私とつくしさんとの結婚を了承して下さり、有難う御座います。」
つくしの父親からは、話しが在ったが…。
母親は、涙を流し始めていた。
「司君、つくしを宜しくお願いするよ‼」
「お任せ下さい。」
俺は、間髪入れずに、返答していた。
そして、俺は、つくしの両親からの結婚の承諾の挨拶が終わり、肩の荷を下ろしていた。
そして、両家の家族の紹介と挨拶も済み、和やかに話しも進む中、姉ちゃんが、暴走を始めた。
姉ちゃんは、子供の頃から、妹が欲しかったらしく、本当に、喜んで居た。
「つくしちゃん…?
これからは、そう呼んでも良いかしら?
本当に、嬉しいわ‼
私の妹に成ってくれて、有難う‼」
俺は、何とも、言えなかった。
「………」
だが、つくしは、満面の笑みで、答えていた。
「いいえ、私の方こそ、お姉様が出来て、嬉しいです。
此方こそ、今後は、宜しくお願いします。」
その言葉を聞いた姉貴は、遣ってしまったらしい。
いつもの姉貴のハグ…。
だが、唯のハグだけで、終わらねぇのが、俺の姉貴、何だよな‼
“何処から、そんな力が出て来んだ‼”と、言う様な思いっ切りの力で…。
と言う寄り、力任せにハグするのが、俺の姉貴、何だよな…⁉
ハグされた事で、つくしが気絶しそうに成っていた。
助けねぇ訳に行かず、俺は、姉貴を押さえ付けた。
「姉ちゃん…。
つくしが、苦しがってんだろ?
いい加減にしろよ‼」
姉ちゃんは、気が付いた様で、はっとして、つくしから、離れていた。
で、一言、謝りを入れていた。
「ごめんね、つくしちゃん…。
私、また、遣っちゃったみたいね。」
<つくしside>
私は、お姉様が、私の身体から離れて下さった事で、息継ぎをしていた。
でも、お姉様が謝って下さっているのに、返答しない訳に行かないので、一応、言葉を継げていた。
「はぁ、はぁ。
大丈夫ですよ(苦笑)‼」
私は、肩を上下に動かしながら、思いっ切り、深呼吸して居た。
でも、私は、思って居た。
“これからは、お姉様のハグは、要注意だわ‼”と…。
まあ、苦笑いしか出来無かった。
でも、“事前に、司も、言って於いてくれても良かったのに…。”と、心の中で、司に悪態を突いて居た事は、言うまでも無かった。
<司side>
俺は、一瞬、つくしの顔色が蒼白く成って居た事が、心配だったのだが…。
事無きを得た様で、ほっとしていた。
しかし、いつまで経っても…。
と言う寄り、幾つに成っても、手加減知らずの姉貴には…。
俺は、“何も言えねぇ~‼”状態だった事は、言うまでも無かった。
だが、一応、和やかな内に、両家の食事会は、滞り無く終了出来て、つくし共々、ほっとしていた俺だった。
後は、婚約発表の日を迎えるだけだった。