昔からある場所…<つかつく> 14.
つくしは、思って居た。
“漸く、司の所に戻れたのだ‼”と…。
そして、つくしにとって、司は…。
『昔からある場所』だった。
つくしは、5年もの長い間、如何して、こんなに愛おしい人(司)の下を、離れて居られたのか?
今と成っては、分からなかった。
だが、“漸く、つくしにとって、其の愛おしい人(司)の下に帰って来られたんだ”‼”と、言う実感を味わって居た。
目覚めた司は、朝から、クスクス笑って居るつくしに声を掛けた。
「如何した?
つくし…?
何、笑ってんだ?
気持ち悪ぃなぁ~。」
つくしは、ハッとして、司の方を見た。
「あっ⁉
ごめん。
起こしちゃったね。」
「否、良いけど…?
如何した?」
「だって、“漸く、司の所に帰って来れた‼”って、思ってたんだもん。」
「其れが、何で、笑いに成んだ?」
「う~ん、分からない⁉」
「はぁ~??
相変わらず、お前は、ぶっ飛んでんな?」
「えへへ‼」
つくしは、舌を出して、笑い乍ら、照れていた。
だが、つくしは、続けて話しし出した。
「でもね。
“私…。
やっと、『昔からある場所』(司)に戻って来れたんだ。”って、思ってた
の。」
つくしがそう言った時…。
司は、つくしを引き寄せて、つくしを抱き締めて居た。
この時…。
司の心の中では…。
“俺は、漸く、つくしを取り戻せた。
俺もやっと、『昔からある場所』(つくし)に戻って来れた‼”と、感慨に耽って居たので在った。
そして、司とつくしは、また、二人だけの世界を満喫しようとして居た。
今のつくしは、この後、起こるで在ろうつくし自身の祖父(乙和会長)との戦いを、一時(ひととき)でも、忘れる事が出来て居た。
つくしにとっては、英気を養う為の、ちょっとした休息だったのだろう。
司とつくし…。
二人に、此れから、起こり得る(うる)出来事に、お互い協力する事を、更に、誓い合うのだった。
そして、漸く、プロジェクトも佳境に入り、発表する段階に近付いて来た。
つくしの祖父で在る 乙和会長 と 乙和会長の秘書だった現在のつくしの秘書でさえも、未だ、つくしのプロジェクトだとは、気付いて居なかった。
で、司は、此のプロジェクトの詳細を発表する事をつくしに提案していた。
つくしは、発表する事は、まだ、早いと思って居た。
だが、つくしの承諾無しに、勝手に、道明寺HDから、発表する訳にも行かない事案だった。
其れは、つくしのプロジェクトだったからだ。
だから、司が提案したのは、『乙和カンパニー』からのプロジェクトでは無く、司とつくしの共同企業として、別会社を設立する事を、つくしに提示したのだった。
司は、つくしに諭す様に言って居た。
「つくし…。
俺とつくしとで、乙和会長に立ち向かう為には、此れが一番の得策、何だよ。
其れに、話題にも成るだろ?
道明寺HDの副社長と乙和カンパニーの副社長が、共同で設立したお互いの会社の別会
社と成れば、俺とつくしは、“如何言う間柄、何だ?”と、成る事も、当然だろ?
だとしたら、其れも、売りの一つに成るんじゃねぇのか?
如何する、つくし…?」
つくしは、迷って居た。
だが、此の方法の方が、上手く行く可能性も高い。
何故なら、此のプロジェクトが、『乙和カンパニー』の案件だと知った乙和会長なら、口出しして来る可能性の方が高い。
そう成れば、折角、自分(つくし)自身の為に力を貸してくれたF3&T3にも、申し訳無い結果と成り得る事も有るかも知れない。
じゃあ、司の意見に従う事の方が得策かも知れないと思うつくしだった。
だから、つくしは、司に返答していた。
「宜しくお願いします。」
つくしのその言葉を聞いた司は、至急、コトを進め始めた。
先ずは、西田に、企業を設立する為の書類を制作する様に指示を出した。
そして、司は、楓に直談判する為、連絡を入れていた。
「社長…。
俺は、今回のつくしとのプロジェクトの件の為に、お互いの会社とは、別会社として、
俺とつくしの共同会社を設立してぇ‼
頼む‼
了承してくれ‼」
「その意見には、私(わたくし)も、賛同するわ‼
でも、資本金は如何するおつもりなの?」
楓には、司の顔の表情は見えては居ない筈なのだが…。
司は、ニヤッとして、言って居た。
「俺は、何の為に、今まで、仕事一筋だったと思ってんだ‼
つくしの為だ‼
だから、つくしの為なら、俺の金は、つくしの為に使う。
だから、ババアは、承認だけしてくれればいいからよ‼」
楓は、思って居た。
司は、つくしに寄ってだけ、男っ振りが上がるという事を…。
其れは、楓にとっても、息子が頼もしくも感じた一瞬だった。
だから、司とつくしを応援する意味で、了承する事にした。
「分かったわ。
承認します。」
司は、母親の言葉を受けて、即座に、動き出した。