Single again…<総優> 3.
総二郎は、更との別れの後から、荒れ出して居た。
総二郎は、更との恋人としての付き合いに、後悔していた。
“更との、幼少期の頃の思い出は、思い出のままに置いて於くべきだった。
更の恋人に成るべきじゃ無かった。”と…。
其の後悔が、総二郎を奈落の底に突き落としているかの如く…。
総二郎を『女遊び』へと、突き動かしていた。
しかも、以前の様な、『良い男』だけの総二郎では無く…。
女性を傷付ける事も、“厭わない。”と、言った総二郎に成り下がって居た。
あきらは、心配するも、全く、訊く耳を持たない総二郎が、其処には、居たのだった。
実は、3月の初め頃…。
総二郎は、T3から、優紀が女子大に合格した事を聞いて居た。
で、そんな日から1ケ月が経ち、優紀が、其の女子大に入学した事も、総二郎は、T3から聞いて居た。
そして、優紀が、女子大に入学して、2ケ月半が経った頃の初夏を過ぎた…頃。
梅雨に入ろうとしている頃だった。
そんな時に、総二郎は、優紀を見掛けていた。
其の日は、梅雨の走りの様に、雨が降って居た。
しかも、本降りの雨だった。
優紀は、雨宿りでもして居るのか?
カフェで、友人らしき女性と時間を潰している様子だった。
其の優紀の姿が、高校生の頃より大人びた様に見える優紀に、総二郎には、見えていた。
否、“優紀ちゃんは、あの頃より、かなり、綺麗に成って居る。”と、総二郎は、思って居た。
総二郎は、声を掛けたいのに…。
掛けられない。
優紀に、声を掛ける勇気が出ない総二郎が、其処には、居たのだった。
其れからの総二郎は、何故か?
『女遊び』をする気にも成れずに居た。
あの日、見掛けた優紀の顔が、頭の中にチラ付いて…。
『女遊び』をしようだ何て、思えなかった。
何故か?
優紀に捕らわれたままの総二郎が、其処には、居たのだった。
そんな時…。
あきらから、誘いの連絡が来た。
今や、司は、NY…。
類は、『眠りの王子』状態…。
遊ぶと成ると、あきらは、総二郎を誘うしかなかったのだった。
で、総二郎の下に、LINEを入れて来たあきらだった。
『今日、暇だったら、飲まねぇか?』
総二郎は、あきらの誘いに乗るのだった。
『ああ。』
総二郎は、悶々とした状態のままで居る事も、内心、疲れて来ていた。
だから、あきらの誘いに乗ったのだった。
実は、ここ最近、音沙汰無い総二郎を心配したあきらが、総二郎を誘い出したのだった。
で、あきらは、総二郎から訊き出すのだった。
「なぁ~、総二郎…?
ここ最近、如何したよ‼」
総二郎は、あきらの此の微妙な間には、いつも、感心するしかなかった。
いつも、“もう、ダメかも…な‼”と、総二郎が、奮起出来ない頃合いを見て、あきらは、総二郎に、声を掛けて来るのだった。
「ああ⁉」
「何だ、歯切れ悪ぃんじゃねぇのか?」
総二郎は、俯き加減で、唯、グラスを片手に、グラスに入ったブランデーを、じーっと、見ていた。
で、総二郎は、ボソッと、あきらに、話しし始めた。
「優紀ちゃん…を。
見掛けて…よ。」
あきらは、納得していた。
“ああ、そういう事か…よ。”と…。
「綺麗に成ってたろ、優紀ちゃん…。」
総二郎は、驚愕で、がばっと、俯いて居た顔を上に上げていた。
其の総二郎の姿に、あきらは、苦笑いを浮かべていた。
だが、そんな事とは知らず、不貞腐れた様に、総二郎は、あきらに声を掛けていた。
「何で、あきらが、優紀ちゃんの事…。
知ってんだよ⁉」
総二郎が、あきらの言葉に、不思議がる事も、仕方なかった。
何故なら、優紀は、受験勉強を理由に、F4&T4の集まりに参加しなく成って以降も…。
ずーっと、不参加のままだった。
だから、あきらは、不貞腐れ始めた総二郎に、笑いを堪えながら、言って除けていた。
「優紀ちゃんは、桜子の親友だろ‼
俺が、桜子と一緒に居る所に、優紀ちゃんから、TELが入って来たみてぇでよ。
優紀ちゃんとの待ち合わせ場所まで、俺が、桜子を連れて行ったんだ。
其の時に、優紀ちゃんとは、“久し振りだな‼”って、挨拶したんだよ‼
だから、其れだけ…だ‼」
あきらからすれば、あきらの話しを聞いた総二郎は、ホッとしている様に、見えていた。
あきらは、そんな総二郎の姿に、呆れていた。
だが、其の事を、総二郎には、言わずに居たあきらだったのだ。
あきらが、推測するに…。
“総二郎は、優紀ちゃんに、惚れて居るんだろうな‼”と、思って居た。
だから、あきらは、T3に相談して、総二郎に優紀ちゃんを会わせて遣ろうと、画策するのだった。