イケナイ冬【イケナイ夏】…<総優> 続編 ⑫
<総二郎side>
優紀は、『信じられねぇ(ない)‼』という表情をしたままだった。
だから、俺は、話しを続けていた。
「俺は、“優紀を西門流に引き込む事は出来ねぇ‼”って、思ってた。
優紀を西門流に引き込めば…。
優紀を不幸にしてしまうと思ってた。
だから、俺は、優紀を俺から、引き離す事にした。
だからって訳じゃねぇけど…な。
俺は、身体の寂しさから、25歳に成っても、まだまだ、『女たらし』を止められなか
ったんだ。
あきらは、家業の美作商事に携わる様に成って、自分自身の身の危うさから…。
“『マダムキラー』から、足を洗った。”と、言って居たんだけど…な。
だけど…よ。
段々、俺の心は、寂しく成るばかりだったんだ。
そんな時、優紀の事を思い出した。
だから、あの時のF4&T4の集まりに、優紀と会える事を楽しみにしてたんだ‼
其れが、“優紀が来ない。”と、言う話しをT3がしているのを聞いて…な。
俺は、ショックだった。」
~~【其の日のF4&T4の集まりの時のT3の会話…。】
「先輩…。
優紀さんは…?
今日、集まりって、優紀さんは、知ってますよね?」
「うん、知ってるとは思うよ。
でも、優紀は、此れからは、集まりには、参加出来ないって…。」
桜子は、首を捻りながら、尚も、牧野に訊いて居た。
「其れって、如何いう意味ですの?」
牧野は、言い出す事を躊躇して居る様に、俺には、見て取れた。
「………。
うん…。
実はね、優紀…⁉
彼氏が出来たらしいのよね。
会社の先輩らしいわ。」
「へぇ~。
優紀、彼氏出来たんだぁ~‼
どんな人…?」
「う~ん…?
それがね、私は、まだ、会った事が無いんだよね。
今度、T3で、突撃訪問する~?」
「きゃあ~、それ良いじゃん‼」 ~~
そして、其の後の俺は、優紀の顔色を見乍ら、話しを進めていた。
勿論、此の先は、優紀への『サプライズ』…。
『プロポーズ』の言葉を優紀に伝えるつもりで居た。
「優紀…?
こんな俺だけど…よ。
優紀と付き合う様に成ってからもそうだったけどよ。
此れからは、尚も、優紀だけだから…。
俺にも、司の様に、そう思える女が居たんだな。
優紀…サンキュな‼」
で、一旦、俺は、話しを止めた。
優紀の様子を窺う為だった。
優紀は、言葉こそ無かったが…。
頷いてくれた。
否、優紀の目には、涙を溜めて居るみてぇだが…。
だから、俺は、此処で『プロポーズ』の言葉を優紀に伝える事にした。
「優紀…。
俺の嫁さんに成ってくれるか?」
そう言った俺に、優紀は、即答してくれた。
しかも、涙を流し乍ら…。
「総二郎さん…。
私を選んでくれて、有難う御座います。
此れからも、宜しくお願い致します。」
優紀の其の言葉に、俺は、優紀の涙を拭って遣ってから、優紀の左手薬指に、例の『エンゲージリング』を嵌めて遣った。
優紀は、嬉しそうに、其の例の『エンゲージリング』を、じーっと、見詰めていた。
其の優紀の姿を見て、俺も、嬉しく成った。
そして、テーブルの上に用意させて於いた『Xmas dinner』を、優紀に食べさせたくて、エスコートして、レディーファーストで、優紀を席に就かせ、俺も、優紀の隣で、優紀と一緒に、食べていた。
で、其の日の俺と優紀は、メープルに泊まり、二人っきりの一夜を過ごした。
そして、次の日に、俺と優紀は、(西門)邸に戻り、親父とお袋に、俺と優紀の婚約の話しを伝えた。
親父とお袋は、大層、喜んでくれた。
そして、親父とお袋に報告した其の日の夜…。
12月25日は、あいつ等 F3&T3が、俺と優紀の為に、『Xmas party』と、称して…。
俺と優紀の婚約を祝ってくれた。
そして、其の後、俺の両親からは、直ぐにでも、婚約発表という話しに成ったが…。
婚約発表は、取り合えず、年明けという事に成った。
しかも、1月7日の初釜の時に、優紀を西門流の内弟子としてでは無く…。
「総二郎の婚約者として、優紀さんを初釜に出席させる。」と、親父が言い出した。
どちらにしても、俺も、其のつもりで居た。
だから、親父から、言ってくれた言葉は、俺にとっては、嬉しかった。
で、親父の言葉一つで、婚約発表は、年明け直ぐの1月5日に行う事に決定した。
先ずは、西門流として、書面のみの発表と言う事にした。
其の後、親父から、“松岡のご両親に、婚約発表の件は伝えられた。”と、お袋から聞かされた俺だった。
俺は、“やっと、そんな日が迎えられる‼”と、感無量だった。
俺と優紀は、此れからも、共に、西門流を支えて行く身…。
俺にとっては、優紀という頼もしい援軍が居るという事だろう‼
こんな日が来るとは、あの頃の俺には、想像もして居なかった。
兎に角、優紀を捕まえる事しか、考えて居なかった。
俺の後悔は、幸せと成った。
優紀…。
サンキュな‼
其れに、俺の方が、言いたいよ‼
“こんな俺を選んでくれて、有難う‼”って…な。
で、俺は、いつまでも、俺と優紀の合言葉を、言い続けるよ‼
「今から、イケねぇ(ナイ)事、するか?」
fin