此れからの私は…<総優> 19.
<此の二次小説『此れからの私は…<総優> 19.』は、『此れからの私は…<総優
> 18.』と、重複して掲載して居る箇所が有ります。
了承願います。>
其の時だった。
優紀には、気付いて居たのだ。
総二郎には、気が付いて居ない様子だったのだが…。
何故なら、家元夫人は、優紀の事を、今までは、『松岡さん』呼びをしていた。
なのに…。
今の今は、『優紀さん』呼びに成って居た。
此れには、優紀は、如何すれば良いのか?
戸惑って居た。
そんな優紀の姿に、一早く、気が付いて居た総二郎だった。
そして、優紀は、ぼそっと、独り言の様に、呟いて居たのだった。
「『優紀さん』って…。」
そんな優紀の声を聞き取った家元夫人は…。
優紀だけじゃ無く、総二郎にも、分かる様に伝えて居たのだった。
「優紀さんは、『松岡さん』呼びの方が宜しかったのかしら…?」
優紀は、左右に首を振り乍ら、家元夫人に答えていた。
「いいえ、下の名前で、呼んで頂ける事は、私にとっては、嬉しい事です。」
だから、家元夫人は、ニコッと、微笑み乍ら、優紀に言って居た。
「そう…。
宜しかったわ。」
総二郎は、そんな家元夫人と優紀の姿を観て居て、場違いに、興奮して居た自分自身の事を悟ったのだった。
だが、一応、訊かなくてはいけないと感じて、家元夫人と優紀に追求していた。
「という事は、如何いう意味、何だ⁉」
其処に、家元夫人は、飄々と、総二郎に返答していた。
「あら、総二郎には、お分かりに成りませんか?
私(わたくし)は、優紀さんを認めたと言う事…よ。」
総二郎は、仰天気味に優紀を、凝視していた。
其の総二郎の顔付きに、優紀は、些か、不安気味だった事は言うまでも無い。
だからだったのだろうか?
家元夫人は、優紀に、先程、訊いて居た言葉を、もう一度、優紀に投げ掛けて居た。
勿論、総二郎にも、聞かせる様に、話しし始めた家元夫人だった。
「もう一度、優紀さんに訊くんだけど…?
総二郎の離婚が成立すれば…。
西門流には、『次期家元夫人』が、居なく成るのよね。
そう成れば…。
また、次の『次期家元夫人』の座を狙って、縁談話と成るわよね?
そんな事に成れば…。
本気で、総二郎は、『次期家元』の座を放棄するかも知れないわね。
そう成れば…。
『西門流』としては、困るのよね。
『西門流』としては、『次期家元』の座は、総二郎しか、考えられないのよね。
だから、貴女に、『次期家元夫人』に成って頂かないと、困るんだけど…。
優紀さんの今後は、如何したいのかしら?」
優紀は、思って居た。
“『此れからの私は』、如何したいのか?”と…。
更に、優紀は、思って居た。
“勿論、総二郎さんと、寄りが戻せるなら、幸せな事だと思う。
だけど…?
今の私自身に、『次期家元夫人』として、此れから遣って行ける自信が有るのか?
分からない。
如何したら良いのだろうか?”と…。
其処に、総二郎は、優紀に声を掛けていた。
「優紀…。
俺と、寄りを戻さねぇか?
お前を傷付けて居た事も…。
お前に寂しい思いをさせた事も、全て、分かってる。
けど…。
やっぱ、俺には、お前しか居ねぇんだ‼
お前は、俺に言ったよな‼
“俺の縁談は、『西門流』の為だ。”と…。
けど、お前が居ねぇ西門流は、俺が求めてる『西門流』じゃねぇんだよ。
如何するよ、此れからの優紀は…?」
「………」
優紀は、如何したいのか?
如何したら良いのか?
未だ、答えが出なかった。
だから、言葉にも出来ないで居る優紀だった。
そんな処に…。
家元夫人が、声を掛けて来た。
「優紀さんが、悩んでいらっしゃる訳は、何なのかしら?
総二郎の気持ちは、もう、優紀さんに向いて居るんでしょ?」
家元夫人は、総二郎の方を向いて、総二郎に訊いて居た。
だから、総二郎は、家元夫人に答えていた。
「ああ。
という寄り、優紀に背中を押される前から…。
否、此の縁談が決まる前から…。
俺は、優紀にしか…。
俺の気持ちは、向いて無かったんだけど…な。」と…。
だから、家元夫人は、優紀を諭し始めていた。
「優紀さん…。
何も、考えずに、西門家に嫁いでいらっしゃい‼」
其処で、家元夫人は、思い出したかの様に、優紀に言って除けていた。
「あっ、そうそう。
優紀さんは、総二郎と別れてから、お茶には、精通して居たのかしら?」
だから、其の事に関して、優紀は、家元夫人に返答していた。
「いいえ。
一切、致して居りませんでした。
西門さんと、お付き合いさせて頂いて居た頃は、西門さんとの時間が合えば、教授して
頂いて居りました。」
其処で、家元夫人は、納得する様に、優紀に、言って除けていた。
「そう、じゃあ。
一から、お稽古しなくては成らないわね。
其れと、『次期家元夫人』として、学んでもらう事は、一杯、有るのよ。
覚悟して於いてもらわなくては…ね。」
家元夫人の浮かれ気味な其の態度に…。
総二郎と優紀は、面食らって居た。
否、呆気に取られて居たと言った方が、正しいかも知れなかった。
其の後…。
優紀から、断りの言葉が出ない様に…。
家元夫人は、家元に伝えて、総二郎と優紀の縁談話を進め様として居たのだった。
勿論、家元夫人は、総二郎と『西門家の嫁』との離縁の件に関して、了承した事は言うまでも無かったのだった。