あれから【再び】…<総優> 続編⑰
<総二郎side>
其れから、数日が経った頃…。
俺は、親父から、呼び出されていた。
そして、親父は、俺に突拍子もねぇ事を言い出したのだった。
「そろそろ、婚約発表したら、如何だろうか?
松岡のご両親から、許しを得られたんだよ。
其れに、優紀さんの働き振りを観た重鎮からも、賛成の言葉をもらえてな。
如何だろうか?」
だから、俺は、親父に言って遣った。
「此の話しは、優紀と相談させてくれ‼
俺一人で、決められる事でもねぇだろ。」
そう俺が言って除けたからだろうか?
親父からも、了承の言葉が出て来た。
「そうだな。
そうしなさい。」
なので、俺は、優紀と相談する事にしたのだった。
そして、其の日のうちに、俺は、優紀に、相談する事にしたのだった。
「優紀…。
親父からの提案で、“そろそろ、婚約発表したら、如何だろうか?”と、言って来てるん
だが…。
優紀は、如何したい?」
俺が、そう訊いて居たからだったのだろうか?
優紀には、予想だにして居なかった話しだったからだろうか?
優紀にしては、きょとんとしたまま、俺を、じーっと、観て居た。
だから、俺は、もう一度、優紀に、声を掛けて遣った。
「優紀…。
如何したい?」
俺の声掛けに、やっと、我に返ったかの様な態度の優紀は、ハッと成って、俺に、返答して来た。
「私では決められない事案かと思います。
家元と総二郎さんとで、お決め下さい。
其の方が、宜しいかと思います。」
そんな優紀の言葉に、俺は、後日、親父に了承の意を告げたのだった。
「優紀からは、俺に賛同するという返事がもらえたから、親父からの提案を呑む事にする
わ。」と…。
親父は、嬉しそうな声で、俺に返答して来たのだった。
「そうか。」と…。
<優紀side>
実は、私は、嬉しかったのだ。
総二郎さんが、家元の事を、『親父』呼びをして居たので…。
其の事を、家元夫人も、気が付いて居たらしく、私は、西門邸で、次期家元夫人としての修行を、家元夫人より、受けて居た時に、言われて居たのだ。
「優紀さんは、気が付いて居たかしら?
総二郎が、家元の呼び方を、『親父』呼びをして居たり…。
私(わたくし)の事を、『お袋』呼びする様に成って来た事を…。」
なので、私は、間髪入れずに、家元夫人に返答していた。
「はい。
存じ上げております。」と…。
そう返答した私に、家元夫人は、私に、話しし始めて居た。
「そう。
何もかも、優紀さんのお陰ね。
此の冷え切っていた西門家に、温かみを与えてくれた事もそうだけど…。
家元と、総二郎が、変わった事が何よりの証拠…ね。
本当に、有難う。
総二郎を見捨てないで居てくれた事を、私(わたくし)は、優紀さんに、感謝して居るの
よ。
此れからも、総二郎の事を宜しくお願いしますね。」
私は、家元夫人の言葉が嬉しかったのだ。
少し…。
ほんの少しでも、家元夫人から、お褒めを貰えた事が…。
だから、私は、家元夫人に返答していた。
「そう仰って下さって、有難う御座います。
此方こそ、宜しくお願い致します。」と…。
其処に、家元夫人から、言われてしまった私だった。
「だから…ね。
優紀さんも、そろそろ、『家元』呼びとか…。
『家元夫人』呼びとか…。
そう呼ぶ事を止めて、プライベートは、『お義父様』呼びとか…。
『お義母様』呼びに変えないかしら?」
私は、如何したら良いのか?
悩んでいた。
家元夫人からの申し出は嬉しく思った。
だけど…。
まだ、正式な婚約者でも無い私が、そうお呼びして良いのか?
悩んで居たのだ。
其処に、お帰りに成って居た家元からも、打診されて居た私だったのだ。
「優紀さん…。
私も、そう言ってもらえると嬉しいんだが…。」
そう言って下さった家元と家元夫人のお顔を観た時…。
私は、驚愕してしまった。
何故なら、家元と家元夫人のお顔は、にこやかだったのだ。
だから、私は、こういうしか無かったのだ。
所謂、初めて観る家元と家元夫人のにこやかなお顔に、私が言える言葉は、こういう風に返事するしか無かったのだった。
「はい。」
で、私は、西門流にお仕えしている時の家元 と 家元夫人の呼び名と、プライベートの時の家元(お義父様) と 家元夫人(お義母様)の呼び名を替える様に言われたのだった。
そして、其の事を私は、総二郎さんに伝えたのだ。
そして、総二郎さんから言われた返答に、私は、驚愕するしか無かったのだ。
「へぇ~。
西門家も、変わり始めたって事だろ。
此れも其れも、全て、優紀のお陰だろ。
サンキュな。
だから、親父とお袋の言う通りに、此れからは、そう呼んで遣って欲しい。」
そう言ってくれた総二郎さんのお陰で、私は、決心が付いたかの様に、そうお呼びする事にしたのだった。
そして、其の後…。
総二郎さんと私の婚約発表を行う事が決まったのだった。
私は、総二郎さんから、話しを聞かされて居たのだ。
「優紀…。
俺と優紀の婚約発表を執り行う事に成ったから…。
婚約発表の席には、親父と俺だけで、出席する。
優紀の名前は、伏せる。
また、以前の様に、変な女共の嫉妬で、優紀に、何か危害を加える輩が、現れねぇとも
限らねぇ。
だから、取り敢えず、伏せる事にした。
其のつもりで居てくれ‼」
だから、私は、勿論、了承したのだった。
「はい。
宜しくお願い致します。」と…。
そして、婚約発表の日と成ったのだった。