人間恐怖症…<つかつく> 50.
司は、古菱社長からの提案に、驚愕しか無かったのだった。
其れは、進にしても、同じ事だったのだ。
だが、司は、思い直して居たのだった。
“もし、俺が、此処で、此の件に関して、拒否れば…。
きっと、古菱社長の事だ。
美桜には、一生、会わせてはくれねぇだろう。
成らば…。
古菱社長からの此の提案を呑めば…。
そして、俺自身、美桜に受け入れられれば…。
古菱社長の俺の見る目も変わるだろう。
だったら…。
古菱社長からの提案を呑むしかねぇな。”と…。
なので、司は、古菱社長に、了承の言葉を告げるのだった。
「承知致しました。
此の件をお受け致します。」と…。
なので、古菱社長は、ニヤッと、笑ったかの様に司を観てから、司に告げるのだった。
「承知した。
では、約束の期限の件は、宜しく頼むよ。
司君…。」と…。
そして、司も、再度、承諾するのだった。
「はい。
承知致しました。」と…。
そして、古菱社長 と 司の交渉は、成立したのだった。
そして、其の後…。
古菱社長は、秘書から、声を掛けられて居たのだった。
「社長…。
お時間です。」と…。
そして、古菱社長は、進を置いて、其の場を退席したのだった。
そして、其の後の司は、古菱社長が、退席した事を見届けてから…。
進に、声を掛けたのだった。
進にしても、(古菱の)父親が、此の場を後にしたのだ。
実は、此の時の進も、司に挨拶をしてから、此の場を退席するつもりで居たのだった。
だが、司の声を聞いて、此の時の進は、また、席に就いたのだった。
「進…。
ちょっとだけで良い…。
まだ、話し出来るか?」
なので、進も、了承したのだった。
「はい。
まだ、大丈夫です。」と…。
実は、進も、もう少しだけ、司と話ししたかったのだ。
進にして視れば…。
(古菱の)父親の提案が、度を越して居る様に、思えたからだったのだ。
なので、司の正直な気持ちが知りたかったのだ。
だから、進は、此の場に残る事にしたのだった。
其れに、(古菱の)父親にして視ても…。
進の気持ちは、百も承知だったのだ。
そうとは思っても視なかった進だったのだが…。
そして、進からの了承を得られた司は、進に話しし始めて居たのだった。
何故なら…。
司は、不安だったのだ。
“もしかしたら…。
俺は、古菱社長から、受け入れられて居ねぇんじゃねぇか?”と…。
だから、司は、進に、そんな思いのまま…。
話しを切り出したのだった。
「進…。
正直な所…。
俺は、古菱社長から、受け入れてもらえてねぇんじゃねぇのか?」
今の進には、司から、そう訊いて来る意図は、理解出来るのだった。
だが、敢えて、進は、反対に、司に尋ねるのだった。
「道明寺さんが、そう思われるのは、何故ですか?」
なので、司は、素直に、進に、打ち明けるのだった。
「普通、3ケ月の期限って…。
短くねぇか?」
其の件に関しては、進にも、思う処は有るので、司に賛同の意を告げるのだった。
「そうですね。
普通、こういう場合は、短くても、半年の期限が妥当でしょうね。」
なので、司も、進に、同調するかの様に、伝えるのだった。
「だろ?
やっぱり、そうだよな。」
だが、進は、司の答えが、分かって居乍ら、敢えて、訊き出すのだった。
「じゃあ、今回の姉さんの件は、下りますか?」
だが、司は、ニヤッと、笑って、進に返答するのだった。
「否…。
下りねぇよ。
けど…。
やっぱ、不安だな。
相手が、『牧野つくし』なら、どんな状況下でも、受けて立つさ。
あいつの性格は、嫌と言う程…。
あいつ自身から、理解させられたし…よ。
牧野には、如何伝えれば良いのか?
俺には、理解もしてる。
だから、『牧野つくし』が、また、俺を受け入れて、好きにさせる事は、簡単だ‼
けど…。
相手は、例え、『牧野つくし』と、同一人物の『古菱美桜』だとしても…。
俺には、どんな風に、あいつが変わってしまったのか?
今の時点じゃあ、分からねぇ。
だから、“此れからの事は、美桜に会ってから…だ。”と、俺は、思ってる。」
だが、“下りない(ねぇ)。”と、言う司には、何か?
策が有る様に思う進だったのだ。
だから、進は、司に訊いて視る事にしたのだった。
「と言う事は…。
道明寺さんには、何か?
良い案が有るって…事ですよね?」
だが、司は、飄々と、言って除けるのだった。
「否…。
何も、考えてねぇ。
今、考えても、美桜に会わねぇと、また、作戦変更って…事も、有り得るだろ?
けど…。
進は、俺の味方で居てくれるよな?」
進は、思って居たのだった。
“道明寺さんでも、良い案が無いんだ‼”と…。
そして、進は、其の上で、更に、思うのだった。
“道明寺さんって、こんな日にひ弱だったっけ?
道明寺さんが、俺に助けを求めて来る何て…。
だけど、今の俺には、道明寺さんの味方には成れないかも…ね。”と…。
だから、進は、司に言えた言葉だったのだろう。
「俺は、中立の立場ですよ。
其れは、(古菱の)父親に対する敬意の下…。
俺には、(古菱の)父親の敵には成れないでしょ。
其れに、道明寺さんの事も、中学の頃からの俺は、尊敬して居たし…。
其の気持ちは、今も、変わって居ません。
だから、俺は、道明寺さんの事も、敵には成れない。
だから、俺は、中立の立場で居たい。
という寄りも…。
“(古菱の)父親 と 道明寺さんの間を取り持つ、『懸け橋』に成れたら…。”と、思
って居ます。
だから、味方という寄りも…。
『手助け』と言った方が良いのかも知れませんね。」
だが、司にとっては、進の此の一言が、励みに成る様な気がして居たのだ。
何故なら…。
進は、元々、古菱家側の人間なのだ。
司にとっての『敵』と云われても、仕方が無いのだ。
だが、進は、『手助け』と言ってくれた。
其の事が、司にとっては、何よりの励みだったのだ。
だから、司は、進に感謝の意を告げるのだった。
「進…。
サンキュな!
此れからも、宜しく頼むよ‼」
「はい。」
そんな司に、返事をし乍らも、頷く進だったのだが…。
進は、相当、司のこんな様子に、吃驚して居たのだった。
だから、進は、思うのだった。
“姉さんに受け入れられた道明寺さんの其の後が、楽しみかも…。”と…。
所謂、司が、美桜に受け入れられた事で、どんな相乗効果で、どんな風に、司が、化学反応を起こすのか?
進にとっては、楽しみだったのだ。