今更…<総優> 38.
優紀と話しが出来た総二郎は、西田に連絡を入れるのだった。
総二郎は、司のスケジュールが、如何成って居るのかを、西田に確認する為だったのだ。
そして、西田に言われた日時に、総二郎は、道明寺HDの司の執務室に向かうのだった。
総二郎が、現れた道明寺HDのエントランスホールには、其の時に其の場に居た女性社員 及び 受付のカウンターに居た女性社員 及び 態々、受付の控室から出て来た女性社員が、複数人居たのだった。
其の誰もが、其の場から動けず、総二郎に釘付けだったのだ。
そして、受付のカウンターに居る女性社員は、総二郎が、近寄って来る事を、今か今かと、待って居たのだった。
そして、微笑み返してくれる事を待って居たのだった。
何しろ…。
道明寺HDの女性社員にとっては、F4のリーダーで在る 道明寺HD 日本支社 支社長の道明寺司は、不愛想で、しかも、妻帯者…。
傍に近寄る事も許さないとでもいう様に、F4のリーダーで在る 道明寺HD 日本支社 支社長の道明寺司は、期待して居る女性社員を、睨み付けるのだ。
だから、滅多に、道明寺HDに、現れる事の無い総二郎が、此の日、一人で、道明寺HDに現れたのだ。
しかも、総二郎は、司と同じく、F4のメンバーの一人なのだ。
浮足立つ女性社員が居たとしても、罪が無い様に思えたのだった。
ところが、総二郎は、そんな女性社員も、受付のカウンターに居た女性社員も、態々、受付の控室から出て来た女性社員に関しても、見向きもし無かったのだ。
所謂、総二郎は、微笑む返す事も無く、受付のカウンターの前を素通りだったのだ。
勿論、総二郎は、道明寺HDにして視ても、身元は、しっかりして居るのだ。
なので、総二郎が、受付のカウンターを素通りしたとしても、誰にも、咎められる事は無いのだ。
其れに、社員の顔認証付きのICカードを通す為の(駅に良く有る自動改札機の様な)機械を通る時に、普通、不審者なら、警備員に、止められるのだが…。
総二郎は、顔パスで、ICカードが無くても、警備員に通してもらえるのだ。
そして、此れまでの総二郎なら…。
総二郎を通してくれた警備員に対して、お礼の言葉等、総二郎は、言った事が無かったのだ。
其れが、此の日の総二郎は、警備員に向かって、お礼の言葉を伝えたのだ。
「サンキュー!」と…。
此の時の警備員は、吃驚して、口をあんぐりと開けたまま…。
唯、総二郎を観て居たのだった。
此処でも、優紀効果が出て居た総二郎だったのだ。
そして、受付から、情報を得て居た西田は、エレベーターの前で、総二郎が、上がって来る事を、待って居たのだった。
そして、司の執務室の在る階に、エレベーターが到着した総二郎は、エレベーターを降りて、西田に寄って、司の執務室に案内されるのだった。
其処で、総二郎は、司に挨拶すると共に、司の執務室のソファに座るのだった。
そして、司も、ソファに移動して、座った事から、司と総二郎の会話が始まるのだった。
「で、総二郎は、何をしに、俺の会社に来たんだ?」
なので、総二郎は、司に向かって、ニヤッとした顔付きに成り、言って除けるのだった。
「ああ。
優紀と、話し合いが出来た。
俺に甘えると言ってくれた。
だから、優紀が、司から借りて居た学費の残りの全額を、俺が返済する。
幾ら、残ってるのか?
教えてくれ‼」
司は、総二郎の言葉に、驚愕だったのだ。
だから、司は、総二郎に、言ってしまったのかも知れない。
「まさか…だとは思うけど…よ。
総二郎は、松岡を脅したのか?」
総二郎は、司からの人聞き悪い物言いに、機嫌を損ねたかの様に、不貞腐れたのだった。だから、総二郎は、司に発するのだった。
「脅してねぇよ‼
ちゃんと、俺の想いを、優紀に伝えたんだ‼
其の上で、優紀が分かってくれたんだよ。」
「………」
そんな風に言って除ける総二郎に、司は、些か、信じ難いのだが…。
反論する言葉が出て来ない司は、無言だったのだ。
なので、総二郎は、続けて、話しし始めるのだった。
「あのなぁ~。
司…。
確かに、優紀は、牧野と同じ考え方の人種かも知れねぇ。
其処は、俺も、否定しねぇよ。
けど…な。
牧野と優紀とでは、決定的な違いが有んだよ。
其れは…な。
優紀は、姉妹でも、『妹』…何だよ。
だから、周りの意見を呑み込む事が出来んだよ。
だから…よ。
優紀は、牧野よりも、考え方に柔軟性が有んだよ‼
だから、其処は、牧野と優紀の大きな違いだろ?」
司とて、姉弟では、下の立場…。
何と無くだが…。
総二郎が、言わんとして居る事は、分かるのだ。
そういう意味で云えば…。
つくしは、姉弟でも上の立場…。
だから、上と下の立場では、育ちの違いが、大きい事は、司にも、理解出来たのだ。
だからかも知れないのだ。
司は、総二郎が、言わんとしている言葉の意図を理解する事が出来たのだ。
なので、司は、総二郎に言えた言葉だったのだ。
「ああ。
分かった。
残りの金は、今、此処では、分かんねぇ。
だから…よ。
調べて、また、連絡するわ。」
なので、総二郎は、納得したのだった。
「ああ。
宜しく頼むわ。」
そして、其の後の司と総二郎の話しは、総二郎と優紀の今後について、話しが及んで居たのだった。
「で、総二郎と松岡は、結婚すんのか?」
だが、其の話しに成ると…。
総二郎の顔付きは、浮かないモノに成るのだった。
「其処…何だよなぁ~。
優紀は、助産師の仕事は辞めたくねぇらしい。
けど…。
うち(西門流)では、俺と結婚すると言う事は…。
所謂、俺の嫁さんは、次期家元夫人の役目を熟してもらわなくては成らねぇ。
けど…よ。
今の優紀に、両方は、無理だろ?
だからって…よ。
“助産師の仕事を辞めろ‼”とは、俺には、言えねぇし…よ。
今の俺には、優紀以外、考えられねぇ‼
だから、如何すれば良いのか?
実は、俺は、悩んでんだよな。」
そんな話しを、総二郎から聞いた司は、つくしの要望だったとしても…。
其れに、今の優紀も、助産師の仕事を誇りに思って居るとしても…。
道明寺総合病院のオーナー一族として、司には、雇用に対する責任が有ると感じて居たのだった。
だから、司は、“特例でも良いから、何か、良い案が有んじゃねぇのか?”と、考えて…。
総二郎に、話しし始めるのだった。
「総二郎…。
分かった。
俺に任せてくれねぇか?
親父と理事長と、話し合いして視るわ。」
またしても、総二郎は、司の力を借りる事に成ったのだった。
なので、総二郎は、思うのだった。
“優紀が、道明寺総合病院に勤めて居て、良かったのかも…な。”と…。
そして、総二郎は、司に感謝するのだった。