人間恐怖症…<つかつく> 75.
美桜は、あの日以来…。
司には、過去を訊こうとは、思わなく成って居たのだ。
司が言って居た自身の過去の話しの中で、美桜の頭の中では、常に、リフレインして居る言葉が有ったのだ。
『お前は、友達を救う為に…。
正義感で、俺に向かって来た。』
此の司の言葉が、如何しても、美桜の頭から離れてくれないのだ。
現在の美桜自身…。
正義感が無い事は、一番、分かって居るのだ。
正義感の有る過去の自分自身を好きに成ったという司…。
だが、現在の美桜には、『正義感』というモノは、存在して居ないのだ。
何方かと云えば…。
現在の美桜は、人に頼りっ切りなのだ。
美桜は、過去の自分自身と、現在の真逆な自分自身を、比べて観て居たのだ。
だからだったのだろう。
美桜は、密かに、思う様に成って居たのだった。
“司さんが、好きなのは、過去の私で在って…。
現在の私では無いのかも知れない。
司さんは、勘違いを起こしているのだろう。
過去の私も…。
現在の私も…。
見た目は同じ、同一人物なのだから…。”と…。
だからこそ、此の時の美桜は、苦しんで居たのだ。
現在の美桜の中では、家族と、古菱邸にて、勤めて居るスタッフ以外…。
今まで、他人を受け入れた事が無いのだ。
云う成れば…。
現在の美桜の中で、他人を受け入れられたのは、唯一、司だけだったのだ。
だからこそ、自然な形で、美桜は、自身の過去を知りたく成って居たのだ。
美桜は、未だ、気が付いて居ない様子なのだが…。
司の気持ちを受け入れ始めて居たのだ。
だが、美桜自身が、自身の気持ちに、気が付かない事は、当たり前の事なのかも知れない。
其れは、美桜の中には、『牧野つくし』が、存在して居るのだから…。
云う成れば…。
『鈍感 牧野』が、美桜の中には、存在して居るのだ。
だが、美桜には、其の事自体、分からないのだ。
何故なら…。
美桜の記憶の中で、恋愛をした経験が無いのだ。
だからだったのだろう。
此の時点に於いての美桜は、其れ以上…。
自身の過去を知る事が怖く成って居たのだった。
一方の司は、美桜の中に、何か?
思い悩んで居る事が有る事は、理解して居たのだ。
其れは、自身の過去の事だろう事も…。
だが、其の事を、美桜には訊き出せず…。
更に、1ケ月が経って居たのだ。
所謂、司の中には、悶々とした日々を過ごして居た事に成るのだ。
古菱社長との約束の3ケ月まで、後1ケ月しか無いのだ。
今後、美桜と会えなく成る事自体…。
司にとっては、生きて行く糧を失う事に成るのだ。
だからこそ、司は、焦って居たのだ。
美桜が、自身を避け始めて居る事は、十分過ぎる位…。
司には、分かって居たのだ。
だからだったのだろう。
そんな司と美桜の様子を観て居て、進も、心配するのだった。
そんな頃の事だったのだ。
進は、F3から誘われて居たのだった。
其の時に、ポロっと、喋ってしまったのだ。
司と美桜の様子が、変で在る事を…。
其処で、類が、進に、訊き始めるのだった。
「で、司は、何も、対策を講じて居ないの?」
進も、一概に言えない事は分かって居るのだが…。
如何見ても、そんな様子を感じて居ない進は、F3に、話しし始めるのだった。
「まあぁ~。
如何…何でしょうね?
俺から観れば…。
道明寺さんは、そんな姉さんに、戸惑って居る様にしか見えないんですよね。
道明寺さんは、潤とは、笑い合って居る様ですけど…。
俺からすれば、姉さんに対しては、遠慮して居る様にも見えるんですよね。
きっと、道明寺さんは、焦って居るとは思うんですけど…。」
其の時だったのだ。
あきらが、口を開いたのだった。
「そりゃあ~。
司は、焦ってんだろ?
約束の期限まで…。
後1ケ月しかねぇんだろ?
司は、焦って、当然だな‼」と…。
「………」
だからだったのだろう。
進は、そんなあきらからの言葉には、返答出来ずに、苦笑いしか出来なかったのだ。
そんな時だったのだ。
総二郎が、提案し始めたのだ。
「進…。
司を呼べよ‼」と…。
だが、進には、総二郎からの提案は、突拍子も無いモノの様に感じて居たのだった。
だからだったのかも知れない。
進の返答も、きょとんとしたモノだったのだ。
「えっ??」と…。
だが、総二郎は、進に話しして、司を呼び出す意図を説明するのだった。
「進から、司を呼んだ方が、司には、警戒心がねぇだろ?
俺等 F3が、司に発破掛けて遣んねぇと、埒が明かねぇだろ?」と…。
そんな総二郎からの提案に、進は、漸く、納得するのだった。
「成程…ですね。
分かりました。
近い内に、道明寺さんを、お連れします。」と…。
実は、F3が、進を誘った理由も、意図が有っての事だったのだ。
実は、其の後の司からは、全く、音沙汰無いのだ。
一切、連絡をして来ない司に、痺れを切らし始めて居たF3が、司を呼び出す寄り…。
“進を呼び出して、訊き出す方が良いだろう。”と、判断しての事だったのだ。
だが、進から、口を割ったのだ。
手っ取り早く、話しを訊き出す事に成功したF3は、進に、提案したという訳だったのだ。
だからだったのかも知れない。
進が、司を呼び出した事に成功したのも、類からの伝授だった事は言うまでも無いのだ。
「司が、警戒しそうなら…。
“気晴らしに…。”とでも、言って視たら…。
今の司には、『牧野』の事にしか、集中して居ないだろうから…さ。
気楽な気持ちで、言って視てよ‼
其の方が、司は、警戒しないと思うから…さ。」と…。
なので、進は、類から言われた通りに、司に話ししたのだった。
そして、其の日は、近々、実行される事と成ったのだ。
此の頃の司は、美桜の事で、行き詰って居たのだ。
進からの「気晴らしに…。」と、言う言葉は、実は、嬉しくも有ったのだ。
何故なら…。
進が、自身を気遣ってくれて居ると、実感出来たからだったのだ。
だが、F3と会った司は、司とF3が、揉める事に成ろうとは、此の時の進には、予想だにして居なかったのだ。
此の時の進は、思うのだった。
“道明寺さんにも、そう言う処が有ったんだ。”と…。
此の時点に於いての進は、司をF3と会わせた事を、後悔するのだった。
<此の二次小説『人間恐怖症…<つかつく> 75.』は、キリが良い為に、短めに成
っております事をお詫び申し上げます。
了承の程、宜しくお願い致します。>