人間恐怖症…<つかつく> 77.
司は、美桜と潤の部屋に入り、直接、美桜と潤のベッドルームに入ったのだった。
そして、司は、先ず、潤の顔を見る為に、潤のベッドに向かったのだ。
其の時の司は、潤の頭を撫でて遣って居たのだった。
そして、一言、潤に謝って居たのだ。
「潤…。
今日は、ごめんな。
明日は、一緒に、遊んで遣るから…な。」と…。
そして、今度は、美桜のベッドに近付いた司だったのだ。
そして、司は、潤と同じ様に…。
美桜の頭を撫で乍ら…寝て居る美桜に向かって、話しして居たのだ。
「美桜…。
ごめんな。
俺は、美桜を苦しめる様な話しをしちまったな。
けど…な。
此れだけは、覚えて於いて欲しい。
俺は、過去のお前と現在の美桜を比べている訳じゃねぇんだ。
俺は、確かに、過去のお前の正義感…。
そして、誰にでも同じ様な対応をして、誰にも媚びねぇ。
そんなお前に、俺は、惚れた。
俺を、唯の一人の男として見てくれたお前が、愛おしかった事は、事実だ。
だが…な。
俺には、そんなお前にも、不満が有ったんだ。
俺には、頼ってくれねぇそんなお前には、不満が有ったんだよ。
お前は、俺と対等で居てぇと言い乍らも、一人で、勝手に、コトを進めて行く。
其処には、俺の存在がねぇかの様に、お前は、一人、コトを進めて行くんだ。
其れが、どんなに、寂しかったか?
だが…よ。
美桜は、違ぇ。
俺を頼ってくれる。
俺は、そんな美桜が、愛おしくて堪んねぇだよ。
今の俺には、そんな美桜が、俺の傍に居て欲しいんだよ。
俺の此の想いを分かって欲しい。
だから…よ。
俺を嫌うんじゃねぇ。
美桜…。
俺は、美桜の傍に居てぇんだよ。
俺は、美桜の傍に居て良いか?」
司は、美桜に、懇願するかの様に、呟くだけ呟くと…。
ベッドルームから出る為に、席を立とうとして居たのだ。
其処に、美桜は、目を開けたのだった。
実は、美桜は、司が、潤のベッドに居る時に、目を覚まして居たのだ。
だから…。
美桜自身、潤に話しして居る司の声も…。
美桜の頭を撫で乍ら、話しして居る言葉も、全て、聞いて居たのだ。
だからだったのだろう。
美桜は、司の呟いて居た話しの真意を、訊いて視たく成ったのだった。
「司さん…。」
美桜は、司に声を掛けたのだった。
司は、美桜に声を掛けられた事で、美桜が、目を覚まして居た事に、気が付いたのだった。
そして、司は、既に、立ち上がって居たのだが…。
再び、席に就いたのだった。
だからだったのだろう。
司は、美桜に、言って除けるのだった。
「美桜…。
起きてたのか?」
なので、美桜は、司に返答するのだった。
「はい。
司さんが、潤に話しして居る時から、目が覚めて居ました。」
だが、司は、そんな美桜の言葉で、自身が、美桜を起こした事に気が付いたのだった。
だからだったのだろう。
司は、美桜に謝りを入れるのだった。
「そうか。
俺が、起こしちまったんだろ?
悪かったな。」と…。
だが、美桜は、寝た状態のまま…。
首を左右に振り乍ら、司に、返答するのだった。
「いいえ。
大丈夫です。」
だが、司は、そんな美桜に、訊いたのだった。
「じゃあ…よ。
俺の言って居た話しは、全て、聞いて居たって事だよな?」
なので、美桜は、そんな風に、不安顔に成って居る司に、伝えるのだった。
「はい。
聞いて居ました。
だから…って、訳じゃ無いんですが…。
訊きたい事が有って…。
司さんが、先程、私に仰って下さった話しが、全て、本当のお気持ちなら…。
司さんのお気持ちを信用します。
其の上で、訊いても良いですか?」
司は、そんな美桜から、“何を訊かれるのか?”と、更に、不安に成り乍らも、了承するのだった。
「ああ。
訊いても良いぞ‼
其れに、俺の言った話しは、全て、本当の俺の気持ちだ。
俺を信用しろ‼」と…。
なので、美桜は、話しし始めるのだった。
「有難う御座います。
本当は、もう、過去の話しを訊く事は、辛くて…。
訊かないで於こうと思って居たんです。
でも、今、思い出した事が有って…。
私が、入院していた時の話し何ですけど…。
今日の司さんの様に…。
私の頭を撫で乍ら…。
母が、眠って居ると思っていた私に、話しし始めたんです。
其の時の母の話しを思い出したんです。
母が、言って居たんです。
“私(わたくし)は、貴女を産んで直ぐ…。
倒れたの。
そして、其の後の私(わたくし)は、ずーっと、床に伏して居たの。
元々、身体の弱かった私(わたくし)は、中々、子供が授からなくて…。
お父様に申し訳無く思って居たんだけど…。
やっと、貴女が、授かったの。
なのに…。
其の頃から、私(わたくし)は、貴女を育てる事が出来なくて…。
お父様の知り合いの一般家庭のご家庭に、貴女を育てて頂いたの。
私(わたくし)に変わって、貴女を育てて頂いたのよ。
其の貴女が、私(わたくし)の下に、帰って来てくれた。
貴女が、生きて居てくれて、本当に、嬉しいの。
此れからは、私(わたくし)の下に、ずーっと、居て頂戴ね。”と…。
と言う事は、私は、“何方かのご家庭に育てて頂いた。”と、言う事に成りますよね?
其の事が、気に成って、一度だけ…。
進に、過去の私が、如何いう女性だったのか?
訊いたんです。
一般家庭のご家庭に育てられた私が、如何いう女性だったのか?
気に成ったと言う事が理由だったんですけど…。
でも、其の話しを進から、訊いた事で、其の時の私は、其れで、満足したんです。
過去の私には、もう、戻れないけど…。
“今の私が、本当の私…何だろう。”と、進の話しを聞いて、そう思ったんです。
ですが…。
更に、気に成る事が出来て…。
じゃあ、進は、何方で、育ったんですか?」
其の時の司は、美桜の話しを聞いて居て、苦笑いに成り乍らも…。
また、進から聞いて居た話しを思い出し乍らも…。
美桜に、話しして聞かせて居たのだった。
「進か?
進も、お前と同じ様に、其の家庭で育った。」
そして、美桜は、更に、司に訊くのだった。
「其のご家庭の苗字は…?」
司は、美桜に伝えて良いのか?
悩んで居たのだ。
だが、美桜が、古菱夫人の話しを信じ切って居る様子に、司は、美桜に、伝える事にしたのだった。
「『牧野』と、いう名前だった。」
だが、美桜は、其の名前にも心当たりが無いかの様に、首を捻って居たのだった。
だからだったのだろう。
司は、一抹の不安を抱えて居たのだが…。
そんな美桜の様子に、ホッとするのだった。
そして、美桜は、更に、司に訊くのだった。
「じゃあ…。
私は、『牧野美桜』と、いうお名前だったんですか?」
更に、司は、不安に成り乍らも…。
話しし始めるのだった。
「否…。
お前の名前は、『牧野つくし』という名前だった。」
そんな司からの話しに、美桜は、驚愕するのだった。
勿論、首を捻って居た美桜だった事は言うまで無いのだが…。
だが、美桜は、更に、訊くのだった。
「じゃあ…。
進も、別の名前だったんですか?」
なので、司は、きちんと、美桜に伝えるのだった。
何故なら…。
嘘を言っても、バレる事は間違い無いのだ。
しかも、司が、美桜に嘘を伝えれば、美桜からの信用を失くす事に、成り兼ねないのだ。
だからこそ、司は、美桜からの問いに、正直に、返答したのだった。
「否…。
進は、元々、『進』だった。」と…。
だからだったのだろう。
美桜は、驚愕だったのだ。
だからこそ、美桜は、驚愕で、顔が強張って居たのだが、一言だけ、発せたのだった。
「其れは、何故…?」
なので、此の時の司は、此れ以上は、古菱社長に任せる事にしたのだった。
此れ以上は、司が伝えるべき話しでは無い事を、司自身が、一番、分かって居たのだから…。
だからこそ、司は、美桜に言えた言葉だったのだろう。
「俺は、其れ以上の事は、知らねぇな。
家族から、訊く方が良いんじゃねぇか?
社長に訊いて視ろよ‼」と…。
だが、此の時の美桜は、父親に訊く事も、また、怖かったのだ。
だからこそ、此の時の美桜は、司に訊いて居たのだから…。