もし、全員、幼馴染だったら…<F4&T4> 9.
同じ日の事だったのだ。
司は、つくしと恋人として、付き合い始めた事を、F3に報告したくて、つくしをF4ラウンジに、連れて来たのだった。
司は、間違い無く…。
F3が、F4ラウンジに集結して居る事は、百も承知だったのだ。
だが、実際、此の時に、F4ラウンジに居たのは、総二郎とあきらだけだったのだが…。
だが、此の時の司は、嫌がるつくしを、無理矢理に近い形で、F4ラウンジに連れて来たという訳だったのだ。
勿論、司とつくしは、恋人繋ぎをし乍らだった事は言うまでも無いのだが…。
だからだったのだろう。
怒るつくしに…。
にやける司という構図が出来て居たのだった。
そして、時をほぼ同じくして…。
類は、優紀と桜子を、F4ラウンジに連れて来たのだった。
実は、英徳学園の学生・生徒にとっては、類の従兄妹が『優紀』だと言う事は、周知の事実だったのだ。
だからだったのだろう。
類を紹介して欲しい女子学生・生徒にとっては、優紀は、良いカモだったのだ。
所謂、優紀と親しくしたくて、優紀に群がる女子学生・生徒が多かったのだ。
其の事が、返って、類を女性嫌いに走らせた要因だったのだ。
だからだったのかも知れない。
類は、分かって居て、態と、優紀と桜子を、F4ラウンジに連れて来たのだ。
其処に、優紀と桜子は、既に、F4ラウンジに居た司とつくしに、出くわしたのだった。
そして、類が、珍しく、女性を連れてF4ラウンジに来た事で、揶揄う様に、あきらが、口火を切ったのだった。
勿論、総二郎とあきらも、知って居たのだ。
類の従兄妹が、優紀だと言う事は…。
だが、此の日…。
類が、F4ラウンジに連れて来たのは、優紀だけでは無かったのだ。
類と優紀にとっては、『はとこ』に当たる 桜子も、一緒に、連れて来たのだ。
あきらが、其の事を訊きたくて、ウズウズして居ても、“可笑しくは無い。”と、総二郎にも思えて居たのだった。
「類…。
珍しいなぁ~?
女嫌ぇの類が、女連れか?」
だが、此の時の類は、飄々と、返答して居たのだった。
「そうじゃないよ。
優紀は、知ってるでしょ?
俺の母方の従兄妹…。
で、其の後ろに居るのが、俺と優紀の『はとこ』の三条桜子…。
旧 華族出身の三条家のお嬢様…。」
そう、類から聞かされた総二郎とあきらは、そんな桜子に興味を示すのだった。
何故なら…。
ここ最近でも、見た事の無い女性だったのだから…。
だからだったのだろう。
遊び人の総二郎らしく…。
総二郎は、そんな桜子に、訊くのだった。
「へぇ~?
今まで、英徳(学園)には、居なかったよね?
今までは、何処に居たの?」と…。
なので、桜子は、返答するのだった。
「今までは、ドイツに居ました。」と…。
勿論、桜子は、司の事を気にし乍ら…。
其処で、総二郎は、類に、訊いて居たのだった。
「で、類は、此の事を、何時、知ったんだ?」と…。
なので、類は、面倒臭そうに、返答するのだった。
「さっき…。
優紀から聞かされた所…。」
「「………」」
だからだったのだろう。
総二郎とあきらは、驚愕するモノの…。
何の返答も出来ずに居たのだった。
だが、此の時の司は、専ら、つくしの相手中で…。
そんなF3と桜子の様子に関しては、気にも留めて居なかったのだ。
其の時の桜子と云えば…。
そんな司とつくしの様子を、イラつき乍ら、観て居た桜子だったのだ。
実は、桜子の幼少期は、司に好意を抱いて居たのだった。
だが、此の頃の桜子は、司から、暴言を吐かれ、嫌われてしまったのだ。
だからこそ、司に好かれたくて、態々、ドイツに渡ったのだ。
其れが、またもや、桜子のそんな想いは、木っ端微塵に散ろうとして居たのだった。
其処に、そんな司とつくしの様子を観て居た優紀は、つくしに声を掛けたのだった。
「つくし…。
道明寺さんと、お付き合いでも始めたの?」
なので、此の時のつくしは、丁度、司の執拗な密着度に、うんざりしていた処だったので、優紀が、助け舟かの様に、自身(つくし)の顔を、優紀の方に向けたのだった。
だが、そんなつくしに、イラついた司は…。
つくしよりも、早く、優紀に返答するのだった。
「ああ。
俺とつくしは、恋人として…。
付き合い始めた。
お前等も、其のつもりで居ろよ‼」と…。
勿論、此の時の司は、『恋人』という言葉を、強調し乍ら伝えた事は言うまでも無かったのだ。
其処で、優紀は、つくしに、更に、訊くのだった。
「つくし…。
何時からなの?」
だが、やはり、司が、つくしより、早くに、口を開いたのだった。
「夏季休暇に入る前だったよな?」と…。
まるで、司は、つくしに、何も言わせないかの様に、つくしの方を向き乍ら、言って除けるのだった。
だが、此の時のつくしは、唯、司を睨み付けて居たのだった。
そして、つくしは、そんな司に関して、考えて居たのだった。
“後で、言い訳出来ない様に…。
司には、怒って遣らなきゃあ。”と…。
実は、此の様子を観て居た総二郎とあきらにとっては、司とつくしの様子から、司から聞かなくとも、司とつくしが、付き合い始めたのだろう事位は、分かり切って居たのだった。
だが、此の時の桜子は、司とつくしの様子を観て居て、甘いモノを感じなかったのだ。
唯々、此の時の桜子には、司が、一方的に、つくしに好意を抱いて居るかの様に、観えて居たのだった。
だが、司は、皆の前で、ポロっと、言って除けるのだった。
「だって…よ。
俺とつくしの父親同士は、幼馴染だし…よ。
母親同士も、幼馴染で親友だし…よ。
しかも、それぞれ、財閥系出身企業の息子と娘…。
だから…よ。
俺とつくしは、許嫁らしいから…。
こう成る事は、当たり前ちゃあ…。
当たり前…何だよな。」と…。
此の時のつくしは、真っ赤な顔をして、司を睨み付けて怒って居たのだった。
だが、此の時の桜子は、驚愕で、開いた口が塞がらない状況と成って居たのだった。
所謂、此の時の桜子は、またもや、司に失恋した事に成ったのだった。
司とつくしの間には、割って入れない事を、悟った桜子だったのだ。
そして、そんな桜子の顔の表情を、読み取って居た一人の男性が居た事も、また、事実だったのだ。