もし、全員、幼馴染だったら…<F4&T4> 21.
実は、総二郎にも、分かった居たのだ。
類と瑞紀&優紀姉妹は、従姉弟妹だと言う事は…。
そして、自身の母親も、瑞紀&優紀姉妹の母親と幼馴染で親友だという事も…。
其の為に、良く、瑞紀&優紀姉妹が、母親に連れられて、西門邸に遊びに来て居た事も…。
実は、其の当時…。
3歳だった優紀は、一人…西門邸の庭に出ようとして居た事が有ったのだ。
其の時の優紀は、誰にも、何も言わず、庭に出て居たのだ。
其の時に、そんな優紀に気が付いた総二郎は、優紀に声を掛けたのだった。
「そこ(其処)で、なに(何)してるの?」
其の時の優紀は、怒られると思ったのか?
泣きそうな顔付きで、総二郎に、訴え掛けて居たのだった。
「おはな(花)が、みたい(見たい)の。」と…。
そんな優紀の可愛らしい訴えに、其の時の総二郎は、言って除けたのだった。
「わかった(分かった)。
いっしょ(一緒)に、いって(行って)あげる(上げる)よ。」と…。
其の時の優紀は、パーっと、明るい顔に成り、其れまで、泣きべそを掻いて居た様には思え無い程…。
スキップし始めたのだった。
総二郎からして視れば…。
如何見ても、優紀のスキップは、まだ、スキップらしいスキップには観えなかったのだが…。
そして、総二郎は、西門邸ご自慢の花壇に、優紀を連れて行って遣るのだった。
実は、此の時の総二郎は、4歳だったのだ。
だが、流石、西門家のご子息とでも言うべきなのか?
同世代の男の子と比べれば…。
遥かに、大人びて居たのだった。
だからだったのだろう。
此の頃の優紀は、そんな総二郎の事を、『頼れるお兄ちゃん』とでも思って居たのかも知れない。
其れ以降の優紀は、西門邸に遊びに行く時は、必ず、総二郎に、せびる様に成ったのだった。
「おはな(花)をみにいきたい(見に行きたい)‼」と…。
だから、総二郎は、優紀と一緒に、行って遣る様に成ったのだった。
そんな日々が、一年程経った頃…。
総二郎と優紀が、何時もの様に、西門邸ご自慢の花壇で、遊んで居た時に…。
雨が、ポツリ、ポツリと降り始めたのだった。
なので、総二郎は、偶々、開いて居た蔵の中に、優紀を連れて入ったのだった。
此の時の優紀は、少し、不安気にして居たのだった。
そんな優紀の様子を観て居た総二郎は、思わず、優紀に、kissをしたのだった。
其れは、唇と唇を合わせるだけの可愛らしいkissだったのだが…。
此の時の優紀は、吃驚したのか?
泣いてしまったのだった。
実は、此の時の総二郎からのkissは、優紀にとって、初kissだったのだ。
だが、此の当時の事を、優紀は、良く覚えて居ないのだ。
其の時の優紀は、吃驚の余り…。
泣き出したのだ。
きっと、其の当時の記憶は、優紀の頭の中で、封印してしまったのかも知れない。
だが、其の時の優紀の可愛らしい仕草が、今でも忘れられない総二郎とっては、此の当時の光景を、鮮明に覚えて居たのだった。
そして、優紀は、祥一朗と瑞紀の付き合いの件で、総二郎から、声を掛けられた時…。
“初めて、声を掛けられた。”と、思ったのだった。
実は、幼少期の頃のあのkiss事件が有って以降の優紀は、西門邸に遊びに行く事が有っても、総二郎の母親で在る 西門流 家元夫人が点ててくれるお茶を楽しむ様に成ったのだ。
そして、優紀が、初等部に上がる頃に成ると…。
桜子の祖母で在る 優紀にとっての大叔母から、華道を教わる様に成って居たのだった。
なので、其れ以降…。
優紀が、西門邸に遊びに行く事は無く成ったのだった。
総二郎にとっては、寂しくも有ったのだが…。
英徳学園で、偶に、見掛ける優紀が笑って居る姿に、“此れで、良かったんだ。”と、思って居たのだった。
何故なら…。
自身は、次男と言えど…。
西門流の子弟なのだ。
“何れは、西門流に相応しい女性との縁談の話しに成る。
其の時に、優紀ちゃんを傷付けたくない。”と、総二郎は、密かに、自身の想いを封印したのだった。
しかも、此の件は、自身の父親で在る 西門流 家元からの教えでも有ったのだ。
其れに、F4のメンバーで在る 総二郎にとっては、同じくF4のメンバーで在り 幼馴染で親友の類が、優紀の従兄妹と言う事で、ややこしく成る事を避けたかったと言う事も、自身の想いを封印した理由の一つだったのだ。
だが、実は、総二郎の初恋の相手は、幼少の頃の優紀だったのだ。
高等部に上がり、司とつくしが付き合い始めた事で、司が、つくしをF4ラウンジに、連れて来る様に成った。
其の頃から、類も、優紀をF4ラウンジに誘う様に成ったのだ。
そして、其の後、類と優紀の『はとこ』で在る 桜子も、F4ラウンジに出入りする様に成ったのだ。
そんな処から…。
其の頃の自身の優紀への想いを、思い出してしまった総二郎にとって…。
“今の俺自身が、優紀ちゃんに相応しくないじゃ無いか?”と、寄り一層…。
優紀を避けていたと言う事が、今の総二郎の実情だったのだ。
そんな事とは知らない優紀は、“西門さん(総二郎)から避けられている。”と、思って居たのだ。
だから…。
祥一朗と瑞紀の付き合いの件で、総二郎から声を掛けられた時は、吃驚したと言う事が、優紀にとっては、事実だったのだ。
しかも、其の時に、類と優紀が返答した言葉に、不貞腐れた総二郎の顔付きを観て、優紀は、思わず、クスクス笑ってしまったのだった。
其の時の総二郎の顔付きは、優紀から観れば、子供っぽく見えたのだった。
普段、大人びた総二郎にしては、珍しい顔付きだったのだ。
だが、此の時の類には、そんな総二郎の姿を観て、一抹の不安を覚えたのだった。
何故なら…。
其の時に、不貞腐れて居た総二郎の目は、優紀だけを観て居たのだった。
“まさか…。”と、類は、思うも…。
類も、知って居たのだ。
伯母で在る 瑞紀&優紀姉妹の母親が、総二郎の母親で在る 西門流 家元夫人の幼馴染で親友で在ると言う事を…。
また、幼少期には、瑞紀&優紀姉妹が、母親に連れられて、良く、西門邸に遊びに行って居た事も…。
だからだったのかも知れない。
類は、総二郎を呼び出す事にしたのだった。
そして、総二郎を呼び出した類は、総二郎に言って除けるのだった。
「総二郎…。
まさかとは思うけど…。
優紀に、惚れたとか言わないよね?」と…。
だが、総二郎は、類に、嘘を言っても、見破られる事は分かり切って居るので、本当の事を話しするのだった。
所謂、幼少期の頃の総二郎と優紀の話しを…。
其の上で、優紀が、自身の初恋の相手で在る事…。
そして、其の自身の想いは、ずーっと、封印して来た事…。
此の全てを、総二郎は、類に話しして聞かせるのだった。
だが、類は、そんな総二郎に、牽制するのだった。
「総二郎は、知って居るよね?
優紀は、俺の従兄妹だと言う事を…。
俺にとっての優紀は、『妹』みたいなモノだと言う事を…。」
其処まで言われた総二郎だったのだが…。
此の時の総二郎は、類に、言って除けるのだった。
「ああ。
分かってるよ。
其の上で、優紀ちゃんへの気持ちを思い出したんだから…。
仕方ねぇだろ。
あの可愛らしい笑い方は、あの頃と、全く、変わっちゃあ居ねぇよ。
もう、遅ぇよ。」と…。
此の時の類は、そんな総二郎に、呆れて居たのだった。