もし、全員、幼馴染だったら…<F4&T4> 23.
総二郎は、優紀を呼び出したのだ。
呼び出された優紀は、何故、総二郎から呼び出されたのか?
全く、分かって居なかったのだ。
優紀自身、幼少の頃…。
瑞紀&優紀姉妹の母親に連れて行かれ、西門邸に遊びに行って居た事は、記憶に残って居るのだ。
だが…。
其処まで、幼少の頃の総二郎と親しくしていた記憶が、優紀には、残って居ない為…。
今迄に、総二郎との関わりは無いと思って居たのだ。
だからこそ、優紀にとって…。
総二郎からの呼び出しは、本当に、(??)だったのだ。
そして、優紀は、総二郎から言われた場所に向かったのだった。
其処は、英徳学園で言うと…。
人気(ひとけ)の少ない学舎裏だったのだ。
優紀は、怪訝に思い乍らも、“西門さんを待たせてはいけない。”と、思う事で、慌てて、其の場所に向かうのだった。
そして、優紀が、其の場所に着いた時には、既に、総二郎は、着いて居たのだった。
なので、優紀は、総二郎の背後から声を掛けたのだった。
「西門さん…。
すみません。
お待たせしました。
私に、お話しとは、何でしょうか?」と…。
此の時だったのだ。
総二郎は、優紀の方に振り向き、ニコッと、笑い掛けたのだった。
此の時の総二郎からの笑みに、優紀は、顔を赤く染めて居たのだった。
総二郎は、分かって居たのだった。
自身の本気の笑みに、落ちない女性が居ない事を…。
だからだったのだろう。
此の時の総二郎は、迷う事無く、優紀に、笑みを向けたのだった。
そして、“優紀ちゃんは、間違い無く、俺の笑みに落ちただろう。”と、此の時の総二郎は、確信したのだった。
そして、総二郎は、そんな優紀に、声を掛けるのだった。
「優紀ちゃん…。
ごめんな。
こんな所まで、来てもらって…。」と…。
なので、優紀は、総二郎の顔を直視出来ないのか?
俯いたまま…。
首を左右に、振り乍ら…。
総二郎に、返答するのだった。
「いいえ。」と…。
其処で、総二郎は、優紀に、確認する様に、訊くのだった。
「優紀ちゃんは、覚えてるかな?
幼い頃…。
うち(西門)の邸に、良く、遊びに来て居た事を…?」
なので、優紀は、即答するのだった。
「はい。
母に連れられて、お邪魔して居た事は、覚えて居ます。」と…。
其処で、総二郎が、一番、知りたかった事を、優紀に、訊き始めるのだった。
「じゃあ…さ。
優紀ちゃんが、“(お)花を観たい‼”と、言うから…。
俺が、優紀ちゃんを、うち(西門)の邸の花壇に、良く、連れて行って遣って居た事
は…?
覚えてるか?」
其の時だったのだ。
優紀が、俯いて居た顔を、がばっと、上に上げて、総二郎を、ジーっと、観て居たのだった。
其の時の事の記憶が無い優紀にとって…。
“西門さんが言って居る事は、私(優紀)を、揶揄って楽しんで居るのだろうか?”と、思わずには居られ無かったのだ。
だが…。
そう言って来た当の本人で在る 総二郎は、真剣な顔付きをして居たのだ。
優紀は、総二郎が、嘘を言って居る様には、思え無かったのだ。
だからだったのだろう。
優紀は、そんな総二郎からの話しが、驚愕過ぎて、言葉に成らなかったのだ。
なので、優紀が、此の時…。
総二郎に、返答した言葉は…。
「えっ??」…だけだったのだ。
そんな優紀を観て居た総二郎は、思うのだった。
“やっぱり…か?”と…。
なので、総二郎は、優紀に話しし始めるのだった。
「あのなぁ~。
優紀ちゃんが、3歳で、俺が、4歳の時だったんだよ。
優紀ちゃんが、一人で、うち(西門)の邸の庭に、勝手に、出てたんだ。
で、俺が、優紀ちゃんに、声を掛けたら…。
俺に、“怒られる。”と、でも、思ったんだろうなぁ。
“(お)花を観たい‼”と、言い乍ら…。
半べそ掻き出したんだ。
だから…。
俺が、花壇まで、一緒に、観に連れて行って遣ってたんだ‼
覚えてねぇよな?」と…。
優紀は、覚えて居ないのだ。
其の時の優紀は、恐縮するかの様に…。
申し訳無さそうに…。
総二郎に、返答するのだった。
「はい。
申し訳在りません。」と…。
総二郎は、優紀の返答を聞いて、がっかりするも…。
“3歳じゃあ…。
覚えてねぇのは、当たり前か?”と、思うのだった。
其処で、総二郎は、優紀に言って除けるのだった。
「否…。
3歳じゃあ…。
覚えて無くても、仕方ねぇわな。
けど…。
優紀ちゃんの笑顔は、あの頃と、ちっとも、変わんねぇな。」と…。
だが…。
優紀は、そんな総二郎からの言葉に、驚愕するのだった。
“えっ??
3歳の頃と変わらないって事は…。
私は、子供っぽいって事だよね⁉”と…。
だが、総二郎にして視れば…。
総二郎が、発した言葉は、優紀への褒め言葉だったのだ。
何時までも、素直さの残る優紀への褒め言葉でも有ったのだ。
そして、総二郎が、優紀に惹かれた最大の理由は、其の優紀の笑顔だったのだ。
そして、誰にも、靡かない其の優紀の性格にも、有ったのだ。
だが、総二郎が発した言葉で、優紀は、誤解をしてしまったのだ。
“私は、西門さんから、やっぱり、揶揄われてる⁉
きっと、私を、揶揄う為に…。
西門さんは、私を、こんな人気(ひとけ)の無い所に呼んだんだ‼”と…。
だからだったのだろう。
優紀は、総二郎に、言ってしまったのだ。
「私を揶揄って居るんですか?」と…。
だが、総二郎が、優紀を呼んだ理由は、勿論の告白をする為だったのだ。
だからだったのだろう。
総二郎は、そんな優紀に言って除けるのだった。
「違ぇよ‼」と…。
此の時の総二郎と優紀の想いは、擦れ違うばかりだったのだ。
だが、其の後の総二郎は、其れでも、優紀に、告白する機会を狙うのだった。