貴方を忘れる為…<総優> 9.
総二郎は、優紀の顔の表情を観て居て…。
思うのだった。
“きっと、優紀は、断るのだろう。”と…。
だからだったのだろう。
総二郎は、優紀に、言って除けるのだった。
しかも、総二郎は、あきらに、優紀への説得を任せて居たので…。
其れまで、一切、口を開く事も無かったのだ。
だが、此の時点の総二郎の口は、饒舌に成って居たのだ。
「なぁ~。
優紀…。
お前が、俺との『お試し期間』を納得してくれるの成らば…。
俺は、優紀が、良いと言うまで…。
俺からは、優紀の手を握らねぇ…。
其れに、俺からは、kissもしねぇ…。
勿論、優紀の身体にも、触れねぇ。
俺からは、優紀に、一切、何もしねぇ。
だから…。
先ずは、俺との『お試し期間』を納得してくれねぇか?」と…。
だからだったのだろう。
あきらは、そんな総二郎から言い出した言葉に、驚愕して居たのだった。
其れは、優紀にしても、同じ事だったのだ。
だからだったのかも知れない。
優紀は、総二郎に、思うのだった。
“此の西門さんの言って居る話しは、本気なのだろうか?”と…。
だが、総二郎は、優紀のそんな顔の表情に、気が付いたのだろう。
総二郎は、優紀に、言って除けるのだった。
「なぁ~、優紀…。
俺の優紀への想いに、不振がって居ねぇか?
俺は、間違い無く…。
優紀には、本気だから…な。」と…。
だが、実は…。
此の時点の優紀は、そう言って来た総二郎に、不振がって居たのだった。
何故なら…。
其れまでの総二郎の行動が、優紀自身をそう思わせて居たのだった。
だが、優紀は、そう思い乍らも、総二郎に、返答するのだった。
「分かりました。
取り敢えず…。
西門さんや美作さんが言う『お試し期間』という形を、実行したいと思います。
つくしも、取り敢えず、道明寺さんとの『お試し期間』を、実行したんですよね。
だったら…。
私も、実行して視たいと思います。」と…。
なので、総二郎も、そんな優紀の想いを了承するのだった。
「分かった…。
俺も、優紀への約束は、ぜってぇ、守る。」と…。
だからだったのだろう。
優紀は、そう言って来た総二郎に、頷いて魅せたのだった。
だが…。
此の時のあきらは、言い出しっぺでは在ったのだが…。
何だか?
腑に落ちて居なかったのだ。
何故なら…。
総二郎が、そんな事を出来るとは、あきら自身、思って居なかったのだ。
所謂、あきらは、そんな其の後の総二郎の事を、心配するのだった。
“其の内…。
総二郎が、壊れてしまうんじゃねぇのか?
直ぐ、手の届く所に、優紀ちゃんが居て…。
何も、出来ねぇと成ると…。
総二郎が、壊れてしまう方が、先の様な気がするのは、俺の気のせいか?
そんな事を、優紀ちゃんに、宣言する必要が有ったのか?
まぁ~、兎に角…。
総二郎が、優紀ちゃんに、宣言しちまったのなら…。
俺が、総二郎を、見守って遣るしかねぇよな。”と…。
やはりと言うべきなのか?
総二郎の其の後は、あきらが、悲観して居た通り…。
徐々に、苦しく成って行くのだった。
総二郎自身…。
優紀からの信頼を得る為に、そう言って居たのだ。
だが…。
あきらが、悲観して居た通り…。
優紀が、直ぐ、自身の傍に居るにも関わらず…。
触れる事も出来ずに居たのだ。
しかも、総二郎が、優紀と一緒に歩いて居る時…。
常に、優紀は、総二郎の半歩後ろを歩くのだ。
所謂、優紀は、総二郎の横に並んで歩こうとし無いのだ。
だからだったのだろう。
其の内…。
総二郎は、優紀に、文句を言い始めて居たのだった。
「優紀…。
何で、俺の横に並ばねぇんだ?
そんなに、俺の事が、嫌ぇか?」と…。
だが、優紀自身は、そう言う意味合いでは無かったのだ。
実は、総二郎は、優紀が、『お試し期間』を了承した事で、既に、『恋人気分』だったのだ。
だからだったのかも知れない。
総二郎は、優紀の仕事の日の送迎を買って出る様に成ったのだった。
何故なら…。
優紀とは、そう簡単に、会えないのだ。
国際線のパーサーなのだから…。
日帰りという訳には、いかないのだ。
其の為に、総二郎は、会える日は、会いたいという衝動に駆られるのだった。
だからこそ、総二郎は、進んで、優紀の仕事先で在る 空港に迎えに行き…。
仕事の有る日は、送り届けるのだった。
だが…。
総二郎は、そう言うつもりでも…。
優紀は、そうでは無かったのだ。
実は、優紀を迎えに行く時の総二郎は、空港近くのパーキングに愛車を止めて、優紀を待って居たのだった。
総二郎自身、愛車に乗ったまま…。
優紀を待って居るの成らば…。
まだ、良いのかも知れないのだが…。
実は、愛車から、態々、降りて…。
腕組みし乍ら、愛車に凭れた状態で、優紀を待って居るのだ。
其処を、同僚に見られてしまって居たのだ。
だからだったのだろう。
優紀は、段々、総二郎のそう言う行動が、負担に思えて居たのだった。
だからだったのかも知れない。
優紀は、総二郎の横を歩けなく成って居たのだった。
誰に見られているのか?
分からない此の状況に、優紀は、『お試し期間』さえも、断ろうとして居たのだった。
「あの~。
西門さん…。
もう、駐車場で待たないで下さい。
迎えに来て頂かなくても大丈夫です。
一人で、帰れます。
もし、帰宅時間が、深夜に成る時は、タクシーを使いますので…。」と…。
だが、此の時の優紀は、『お試し期間』の事を、総二郎には、言えずに居たのだった。
だからだったのだろう。
敢えて…。
優紀は、送迎の事に関してだけ触れたのだった。
だが、此の時の総二郎は、不貞腐れ始めたのだ。
そうで無く共…。
会えるチャンスも…。
一緒に居られる時間も…。
そんなに無いのだ。
だからだったのだろう。
総二郎は、徐々に、怒り始めたのだった。
「其れじゃあ…。
俺は、如何したら良い?
何時会えるとも分かんねぇ。
会える時間も、限られてる。
其れで、如何遣ったら…。
優紀は、俺の事を認められるんだ?
其れは、俺に、付き合い自体を、断ってるのと、変わらねぇだろ?」と…。
だからだったのだ。
優紀は、俯いたまま…。
顔を、上げられずに居たのだった。
何故なら…。
総二郎の言って居る事が、優紀の思って居る事の全てだったのだから…。
此の時の優紀は、言葉無く、顔を上げられずに居ても、仕方なかったのだろう。
なので、総二郎は、優紀に、俯いたままで居る理由を、訊き出し始めて居たのだった。
「優紀…。
何故?
優紀は、俯いたままで居るんだ?
と言う事は、俺に、何か?
隠してんだろ?
言って視ろ‼」と…。
だが、優紀は、其れでも、口を開く事は無かったのだった。
だからだったのだ。
総二郎は、思うのだった。
“ほんとに、優紀は、強情だよな。
其処は、昔から、変わってねぇのか?”と…。
だが、総二郎自身、其れだけでは、済まさなかったのだ。
優紀の顎を持ち上げて、優紀の顔を引き上げさせた総二郎は、優紀を睨み付け乍ら…。
言って除けるのだった。
「優紀…。
言え‼」と…。
だからだったのかも知れない。
優紀は、そんな総二郎の顔付きが、怖く成り…。
やっと、口を開いたのだった。
“仕方ない。”と、思い乍ら…。
そして、パーキングでの事を話しし始めた優紀だったのだ。
<此の二次小説『貴方を忘れる為…<総優> 9.』は、如何にかこうにか…。
本日中(2020.10.8)に、投稿する事が出来ました。
ご報告申し上げます。>