人間恐怖症…<つかつく> 145.
あれから、一年半が経ったのだ。
其の一年半の間にも、色々、在ったのだ。
先ずは、潤の4歳の『Birthday party』が、開催されたのだ。
態々、此の日に合わせるかの様に、NYからは、潤の父方の祖父母で在る 道明寺保 と 道明寺楓…。
そして、LAからは、潤の父方の伯母夫婦で在る 椿夫妻が、古菱邸に、集合したのだった。
そして、潤のお誕生日を祝ったのだった。
そして、此の日の司と美桜は、潤のお誕生日を祝った事で、潤の両親として、嬉しさを込み上げて居たのだった。
だが、ふと、司は、思うのだった。
“『牧野つくし』の誕生日は、12月28日だった。
けど…。
『古菱美桜』としては、何時が、誕生日…何だろうか?”と…。
だからだったのだろう。
司は、此の日の夜…。
美桜に確認する事にしたのだった。
そして、司は、美桜とのバスタイム中に、確認するかの様に…。
訊き始めたのだった。
「なぁ~、美桜…。
美桜の誕生日は、何時(いつ)…何だ?」と…。
そう訊いて来た司に、美桜は、不思議そうな顔付きと成って…。
返って、司に、訊こうとするのだった。
「えっ??
司と私は、高等部の頃から…。
付き合って居たんだよね?
なのに…。
司は、私のお誕生日を知らないの⁉
という寄り…。
司は、私のお誕生日に興味が無くて…。
私に、訊いて居なかったとか…?」と…。
其処で、司は、美桜に、嘘を付いたのだ。
其れは、司にとっては、仕方ない嘘だったのだ。
「ああ。
聞いてぇな。
訊く事自体…。
俺は、忘れて居たんだろうな。」と…。
だからだったのかも知れない。
美桜は、クスクス、笑い乍ら…。
司に返答するのだった。
「そうかぁ~。
仕方ないよね。
あのねぇ~。
私のお誕生日は、3月28日だよ。」と…。
其の時の司は、驚愕顔にでも、成って居たのだろう。
此の時の美桜は、“司は、如何したんだろう。”と、思って居たのだった。
だからだったのかも知れない。
美桜は、司に、訊き始めたのだった。
「如何したの?
私のお誕生日に、何か?
疑問でも有るの?」と…。
なので、司は、やっと、我に返り…。
美桜に、返答するのだった。
「否…。
ねぇよ。」と…。
だが、此の時の司は、思って居たのだった。
“『牧野つくし』 と 『古菱美桜』の誕生日は、同じ28日…何だな。
何か?
因縁めいたモノを感じるよな。”と…。
そして、其処で、美桜も、司に訊くのだった。
「そうなのね。
ところで、司のお誕生日は…?
私も、今迄…。
司のお誕生日の日にちを、訊いて無かったと思うんだけど…。」と…。
なので、司は、美桜に、返答するのだった。
「俺のか?
俺の誕生日は、1月31日だ。」と…。
なので、美桜は、司に、少し、吃驚したかの様な顔付きに成って、言って居たのだった。
「そう何だね。
司と私は、同じ、月末生まれ…何だね。」と…。
だが、此の時の司は、美桜には、如何返答すれば良いのか?
迷って居たのだった。
だからだったのかも知れない。
司の美桜に対する返答は、あっさりしたモノに成ってしまったのだ。
「そうだな。」と…。
其処で、美桜は、嬉しそうに、司に、言って除けるのだった。
「ねぇ~、司…。
来年の1月31日は、司と私と潤とで、司の初めての『Birthday party』をしたいな。」と…。
此の時の司は、思い出して居たのだった。
*『牧野つくし』の誕生日は、何も出来なかった事…。
*そして、(司)自身の誕生日は、『牧野つくし』としての最初で最後の道明寺財閥主催の
『Birthday party』だった事…。
*そして、其の日に、初めて、自身の母親で在る 道明寺HD 社長の道明寺楓に、『牧野
つくし』を紹介した事…。
*そして、最初で最後の『牧野つくし』からの『Birthday present』は、魚の網焼き器で焼
いた司の顔型クッキーだった事…。
*其の時に、自身の母親で在る 道明寺HD 社長の道明寺楓から逃げる為に、道明寺家所
有のクルーザーの中で、「お腹がすいた。」と、いう『牧野つくし』が、其の司の顔型ク
ッキーを、食べ様として居た時の事…。
そして、其のクルーザーの中で、司自身と『牧野つくし』との二人っ切りで、過ごした時
の事…。
今では、もう、其れ等の思い出を、口出して、言う訳にはいかないだろう事も、今の司には、分かり切って居るのだが…。
何と無く…。
此の時の司は、寂しさを募らせて居たのだった。
だからだったのかも知れない。
そんな様子の司に、何かを汲み取った美桜は、司の顔をジーっと、観て居たのだった。
なので、慌てる様に…。
司は、美桜に返答するのだった。
「そうだな。
俺の初めての『Birthday party』…。
祝ってくれよな。」と…。
だからだったのだろう。
美桜は、嬉しそうな顔付きに成り…。
司に、返答するのだった。
「うん。」と…。
実は、あの時の最初で最後の『牧野つくし』からの『Birthday present』で在る 魚の網焼き器で焼いた司の顔型クッキーは、司が、記憶を失っていた3年の間に…。
乾燥してしまったのか?
粉々に崩れてしまい、跡形も無い状態と成ってしまって居たのだ。
司は、司の記憶が戻った時に、其の司の顔型クッキーを取り出して、見て視たのだが…。
其の司の顔型クッキーの余りの無残な姿に、其の時の司は、ショックを起こしてしまったのだった。
だからだったのだろう。
其れ以降、司の誕生日に関しては、誰も、口を開く事が出来ずに居たのだった。
なので、司は、美桜に、お願いする事にして視たのだった。
何故なら…。
此の頃の美桜は、道明寺邸の司の自室にて、タマから料理のレッスンを受けて居たのだった。
そして、ここ最近では、シェフから、美桜は、デザート系の料理を習って居たのだった。
だからだったのだろう。
司は、此の時とばかりに、美桜に、言って除けるのだった。
「なぁ~、美桜…。
俺からの頼みを聞いてくれねぇか?」と…。
そして、美桜が頷いたので、司は、思い切って…。
お願いの言葉を口にするのだった。
「俺の『Birthday present』には、俺の顔型クッキーを作ってくれねぇか?」と…。
なので、美桜は、吃驚して、言葉が出て来なかったのだ。
「えっ??」と…。
だが、美桜が、驚愕して居る間に…。
司は、美桜の顔に、自身の顔を近付けて、美桜を観て、美桜の唇に、“チュっ‼”と、いう音と共に…。
司は、色気たっぷりの目付きで、美桜に、確認するのだった。
実は、美桜は、美桜だけを見て来る時の司の優しい目付きも好きなのだが…。
司からの此の色気たっぷりの目付きに弱いのだ。
此の現象は、『牧野つくし』には無いモノだったのだ。
勿論、『牧野つくし』としても、『牧野つくし』だけを見て来る時の司の優しい目付きが好きだったのだ。
だが、『牧野つくし』としては、そんな司(色っぽい司)は、経験して居ないのだから…。
仕方ないといえば…。
仕方無かったのだ。
何故なら…。
司と『牧野つくし』としては、あのクルーザーの中での行為が、最初で最後だったのだから…。
だからだったのかも知れない。
美桜は、司からの『お願い』を訊く事に成り、実際に、司の『Birthday party』の際に、美桜の手作りの司の顔型クッキーが、『Birthday present』として、司に渡されたのだった。
司は、嬉しかった事は言うまでも無かったのだ。
そして、司は、『牧野つくし』の誕生日に当たる12月28日に、進と一緒に、牧野家のお墓参りに向かった事は言うまでも無かったのだった。