貴方を忘れる為…<総優> 29.
桜子は、TELを切ったと同時に、優紀の方に、身体を向けて、話しし始めるのだった。
「という訳で…。
私は、今から、退散しますね。」と…。
だが、優紀は、桜子を引き留めてまで、訊き始めるのだった。
「桜子さんは、事前に、此の事を知って居たの?」と…。
だが、桜子は、肩を凄め乍ら…。
優紀に、話しし始めるのだった。
「知って居たという寄りも…。
気が付いて居たという方が、当たって居ると思います。
だって…。
今迄の西門さんなら、“浮気の一つや二つ位…。”と、思わなくも無かったと思います。
寧ろ、お手の物だったと思いますし…。
でも、優紀さんと再会してからの西門さんは、変わりましたよ。
全てが、優紀さん一色でしょ‼
今の西門さんに、浮気が出来る筈が無いんです。
其れに、本来なら…。
私も、あの時のパーティーに、美作さんのパートナーとして、出席する予定だったんで
す。
でも、蓋を開けて視れば…。
美作さんから、キャンセルの話しが来たんです。
そして、西門さんも、出席すると窺って、ピンっと、来たんです。
もしかしたら…。
双子ちゃん達が、西門さんと美作さんのパートナーを引き受けたんじゃ無いかと…。
優紀さんが、双子ちゃん達と会った最後は、確か、双子ちゃん達が、初等部3年の頃だっ
たと思うんです。
其の頃の双子ちゃん達は、本当に、唯々、可愛らしい女の子という感じでしたが…。
今の双子ちゃん達は、高等部3年に成って居るんです。
めっきり、大人っぽい大人の女性という感じに成って居ます。
だから…。
優紀さんが、分からなくても、当然だったと思います。
でも、其れは、私から聞くよりは、本人から聞く方が良いに決まって居ますよね。
だから…。
敢えて、私から、お伝えし無かったんです。」と…。
だからだったのだろう。
此の時の優紀は、思うのだった。
“桜子さんから、聞いて居たとしても、信じたと思うけど…。”と…。
だが、優紀は、“桜子さんからの気遣いだろう。”と、思う事で、桜子に、にこっと、笑って、お礼の言葉を、告げるのだった。
「桜子さん…。
有難う!」と…。
其処で、桜子は、優紀に、言って除けるのだった。
「年下の私が、こう言う事を言うのも、如何かと思いますが…。
敢えて、優紀さんの親友として、言いますね。
西門さんの話しを、ちゃんと、訊いて下さいね。
そして、ちゃんと、西門さんに、甘えて、下さいね。
決して、怒っちゃあ…。
ダメですから…ね。
良いですね。
優紀さん…。」と…。
此の時の桜子の顔付きは、真剣そのものだったのだ。
だからだったのだろう。
優紀は、桜子からの気迫というのか?
目付きに、頷いたのだった。
唯、一言…。
其の時の優紀は、桜子に、お礼の言葉を言う事だけで、精一杯に成る程だったのだ。
「有難う!」と…。
そして、其処で、桜子は、楽しそうな顔付きに成り、優紀に、話しし始めるのだった。
「優紀さん…。
此のお礼は、何か?
私にして下さいますぅ~?」と…。
勿論、優紀も、総二郎との話しが、きちんと出来て、何もかも、元通りに戻ったら…。
優紀は、桜子に、何か?
お礼をするつもりでは居たのだった。
だが、桜子からの此の突拍子も無い言葉に、優紀は、面食らって居たのだった。
勿論、桜子自身、優紀からの見返りを求めて、こういう話しをし始めた訳では無いのだ。
実は、桜子には、そう言うだけの理由が有ったのだ。
だからだったのだろう。
面食らって居る優紀は、放って置いて…。
桜子は、続けて、優紀に、言って除けるのだった。
「優紀さん…。
西門さんと優紀さんの仲が元に戻ったら…。
美作さんと私を、食事に誘って下さいませんか?」と…。
其処で、優紀は、更に、呆気に取られるのだった。
だからだったのだろう。
再び、桜子は、話しし始めるのだった。
「勿論、西門さんと優紀さん…。
そして、美作さんと私の4人で…。
と、言う事ですけど…。」と…。
其処で、優紀は、漸く、理解したのだった。
だからこそ、優紀は、桜子に、言えた言葉だったのだ。
「と言う事は…。
桜子さんは、美作さんの事が、好きと言う事ですか?」と…。
なので、桜子は、優紀に、ウインクをし乍ら、言って除けるのだった。
「ええ。
でも、此の事は、先輩と滋さんには、内緒にして於いて下さいね。
あのお二方が知れば…。
厄介な事に成りそうですから…。」と…。
なので、優紀は、こくこくと、首を縦に振り乍ら…。
驚愕するのだった。
そして、優紀は、“返事は、西門さんとの事が、何もかも、上手く行ってから…。”と、言う思いを胸に収め乍ら、桜子に、伝えるのだった。
「また、連絡しますね。」と…。
そして、暫く、優紀と桜子は、話しした後…。
其の後の桜子は、マンションを後にするのだった。
そして、桜子が、マンションを後にしてから、3~40分後には、総二郎は、優紀の居るマンションに着いたのだった。
そして、総二郎は、優紀に、マンションのエントランスホールのオートロックのキーを解除させ…。
部屋に入って来たのだった。
そして、総二郎は、部屋に入る成り…。
優紀を引き寄せて、抱き締めたのだった。
そして、総二郎は、優紀が、勝手に誤解したとしても…。
自身が、誤解させた事には変わり無いので、総二郎は、唯、優紀に謝って居たのだった。
勿論、総二郎は、優紀を抱き締め乍ら…。
「優紀…。
ごめんな。
ごめんな。
優紀…。」と…。
そして、総二郎は、優紀に、懇願するかの様に、続けて、話しし始めるのだった。
「なぁ~、優紀…。
如何して、俺の前から、姿を消した?
お前は、一人で産んで育てるつもりだったんじゃねぇのか?
優紀の其の腹の中のガキは、俺の子でも在るんだろ?
否…。
間違い無く…。
俺のガキだろ?
なのに、如何して、一人で産んで育てられるんだ?
育てられる訳ねぇだろ?
なぁ~、優紀…。
俺にも、其の権利は在るよな?」と…。
此の時点の総二郎は、もう、懇願では無かったのだ。
要求だったのだ。
だからだったのだろう。
優紀は、そんな総二郎に、クスクスと、笑い始め、話しし始めるのだった。
「今回は、私にも、非は有ります。
だから…。
許すしか無いですよね。
でも…。
家元と家元夫人が、私を受け入れて下さるとは、とても、思えません。
だから…。
結果は、其の後と言う事で…。
其れで、良かったですか?」と…。
だが、此の時の総二郎には、優紀に、言わなければ成らない事が有ったのだ。
家元夫人と総二郎との賭けの話しの件を…。
「其の家元夫人に、俺は、言われてんだよ。
“優紀さんを連れて居らっしゃい。”と…。
まぁ、ガキが、既に、出来て居るとは、思ってねぇだろうけど…な。
てめぇの息子の不始末だ。
今更、反対しねぇよ。」と…。
そんな話しを総二郎から聞いた優紀は、“もう、何も言えない。”と、思って居たのだった。
何故なら…。
全て、お膳立てが出来て居たのだから…。
そして、優紀は、桜子との約束の話しを総二郎に、話しするのだった。
そして、総二郎は、急に、笑い始めたのだった。
何故なら…。
総二郎は、あきらの気持ちを知って居るからだったのだ。
だからだったのだ。
総二郎は、今回のお礼の気持ちも込めて、あきらと桜子を、くっ付けるつもりで居たのだった。
なので、総二郎は、其の事を優紀に、伝えるのだった。
優紀は、総二郎から、そんな話しを聞いた事で、驚愕するだけで、言葉が出て来なかったのだ。
だからだったのだろう
総二郎と優紀は、自身達の事を、きちんとしてから、あきらと桜子に向かう事にしたのだった。