人間恐怖症…<つかつく> 161.
司は、頭を捻って居たのだった。
そんな時に、西田が、司の執務室に入って来て、或る資料を、司に手渡したのだった。
司は、一瞬、驚いたのだが…。
司は、西田に訊き始めるのだった。
「西田…。
此れは…?」と…。
其処で、西田は、司に、申し伝えたのだった。
「ここ最近の司様は、何かに、お悩みのご様子でしたので、様子を窺って参りました。
そうしました処…。
美桜様のお腹のお子のお名前に、頭を抱えてお出でのご様子が窺えました。
美桜様のお名前に、“近からず、遠からずが、良いよな…。”と、独り言も聞こえて参りま
した。
ですので…。
差し出がましいかとは思いましたが…。
“ご参考に成れば…。”と、思いまして…。」
だからだったのだろう。
司にとっては、西田の思いは、理解出来たのだ。
だが、其の或る資料の意図が理解出来なかったのだ。
何故なら…。
司から視れば…。
此の写真に写って居るのは、木に咲く花だとしか見えなかったのだ。
だからだったのかも知れない。
司は、西田に、訊き始めるのだった。
「此れは、何だ?」と…。
なので、西田は、ヒントの様に、司に、申し伝えるのだった。
「『冬桜』の写真で、御座います。」と…。
なので、西田が、言った『桜』と言う言葉に、“其処に、ヒントが在るのだろう。”と、司は、理解したのだった。
なので、司は、西田に、お礼の言葉を、素直に、伝えたのだった。
「西田…。
サンキュな!」と…。
なので、西田は、司から言われたお礼の言葉に、驚愕し乍らも、返答するのだった。
「いいえ。
何かのご参考に成れば、宜しいのですが…。」と…。
そして、司は、直ちに、『冬桜』について、調べたのだった。
そして、分かった事は…。
【『冬桜』とは…。
花は、中輪サイズですが…。
白から淡いピンク色の小さな花びらを咲かせます。
葉っぱが小さい事から、小葉桜(コバザクラ)…。
10~12月・4月の2回開花期が在る事から、四季桜(シキザクラ)と、呼ばれる事が有り
ます。】
と、記されて有った。
また、『冬桜』の花言葉は、『冷静』
[冬の寒く澄み切った空に、凛とした姿で咲く事が由来と成りました。]
とも、記されて居たのだ。
此の時の司は、ピンと、来たのだった。
何故なら…。
『桜』の文字が入って居乍らも、司が、考えて居たもう一つの意味合いにも、当て嵌るからだったのだ。
其のもう一つの意味合いとは…。
『つくし(=土筆)』の名前にも、近付けた由来にしたかったのだ。
だが、『桜』と『つくし(=土筆)』とでは、余りにも、相反する言葉過ぎて…。
司にとっては、名前の由来にするには、難し過ぎたのだ。
何故なら…。
司が、調べた処に寄ると…。
『桜』の花言葉は、『精神美』・『優美な女性』・『純潔』…。
そして、『つくし(=土筆)』の花言葉は、『向上心』・『驚き』で在るという事が、分かったのだ。
また、『美桜』と名付けられた名前の由来は、『綺麗で、輝いた人生を送って欲しい。』という話しだったのだ。
そして、『つくし』が、良く言って居た名前の由来は、『雑草魂』…。
其の言葉通り…。
つくしは、踏まれても、踏まれても…。
また、立ち上れるだけの強さと…。
逞しさを兼ね備えられた女性だったのだ。
また、『つくし(=土筆)』の花言葉通り…。
『牧野つくし』という女性は、『向上心』の在る女性だったのだ。
だからだったのかも知れない。
司は、此の時、思ったのだった。
“『冬桜』は、10~12月・4月の年2回開花期が在る。
年2回も、『桜』の花を咲かせる『冬桜』に関して…。
俺には、『冬桜』の逞しさを感じた。
まるで、牧野みてぇじゃねぇか?”と…。
実は、当初、『桜』と『つくし(=土筆)』とでは、余りにも、相反する言葉過ぎて…。
司には、“無理かも知れねぇな。”と、半ば、諦め掛けて居たのだった。
其れが、西田に寄って…。
其の難しいと思って居た事が、ピッタリと嵌ったのだった。
此の時の司は、思って居たのだった。
“西田は、流石…。
俺にとっては、無くては成らねぇ『最強秘書』だな。
西田以外に、俺の秘書は、務まらねぇだろうな。”と…。
そして、後は、呼び名だけだったのだ。
何故なら…。
『冬桜』と書いて、名前を『フユザクラ』と、呼ばせる訳にはいかないのだ。
幾ら、『美桜』と同じ『桜』の文字が、名前に付いて居ようとも…。
此れには、美桜が、待ったを掛けて来る事は、目に見えて居るのだ。
だからだったのかも知れない。
またもや、司は、頭を抱えるのだった。
だが、如何考えても、素直に読むには、『フユザクラ』としか呼び様が無く…。
司は、当て字での呼び名にする事にしたのだった。
候補としては、『冬桜』と書いて、『ゆらら』…。
もしくは、『かずは』…。
其処で、司は、可愛らしい呼び名で在る 『ゆらら』としたのだった。
そして、其の夜に、司が帰宅後…。
何時もの如く、潤とのルーティンを熟した後…。
司は、美桜に、此の事を、話ししたのだった。
勿論、司は、『つくし』についての話しは、省いた事は言うまでも無いのだが…。
唯、司が、話しした事は、西田から資料を見せられた事…。
そして、其の後…。
司が、調べた『冬桜』について…。
また、其れに付随して、司が、調べた『冬桜』の花言葉について…。
そして、『冬桜』の名前に関しての呼び名について…。
だけを、司は、美桜に、話ししたのだった。
そして、司は、美桜に、確認するかの様に、訊き始めるのだった。
「美桜は、如何思う?
こう呼ばせる事にも、反対か?」と…。
だが、美桜は、にこっと、笑って、頷き乍ら、司に、伝えるのだった。
「如何して、反対するの?
良い名前だと思うよ。」と…。
なので、司は、再度、美桜に、確認するかの様に、訊き始めるのだった。
「じゃあ、良いんだな?」と…。
だからだったのだろう。
美桜は、更に、にこっと、笑って、頷き乍ら、司に、伝えるのだった。
「うん。
其れで、良いよ。」と…。
なので、此の時の司は、ホッとして居たのだった。
だが、此の時の美桜は、此の次に聞かされる名前も、“司は、言って来るだろう。”と、実は、待って居たのだ。
だが、何時迄経っても言って来ない司に、痺れを切らして、美桜からそんな司に、言って除けるのだった。
「で、男の子の名前は…?
もし、男の子だったら…。
如何するの?」と…。
実は、司の中では、“美桜の腹の中のガキは、娘だろう。”と…。
何処か、確信めいたモノが有ったのだ。
だからだったのだろう。
娘の名前の事しか、司の頭の中には、無かったのだった。
だからだったのかも知れない。
美桜に言われるまで、息子に関しての名前は、司の頭の中では、考えて居なかったのだ。
なので、美桜は、司に、クスクス笑い乍ら、更に、言って除けるのだった。
「まだ、娘か如何か分からないのに…。
女の子の名前しか考えて居なかったの?
もし、男の子だったら…。
如何するの?」と…。
なので、司は、美桜に、伝えるのだった。
「ああ。
そうだよな。
男の名前も、至急、考えて視るわ。」と…。
だが、実は、此の時の司の中では、既に、ホッとしてしまって居た事も有ったので、何だか?
脱力感しか無かったのだった。