人間恐怖症…<つかつく> 175.
潤が、NYに渡米する日と成ったのだった。
此の日の朝から、智(とも)は、潤とは、口を利こうともし無かったのだ。
だからだったのかも知れない。
潤は、そんな弟で在る 智(とも)の様子を観て、“如何しようか?”と、悩む程だったのだ。
其処で、潤は、妹で在る 冬桜(ゆらら)を呼び出すのだった。
そして、潤は、冬桜(ゆらら)に話しし始めるのだった。
「なぁ~、冬桜(ゆらら)…。
俺が、NYに渡米した後の智(とも)の事を、冬桜(ゆらら)に、託しても良いか?」と…。
なので、冬桜(ゆらら)は、考えた後…。
潤に、返答するのだった。
「うん、良いけど…ね。
でも、智(とも)の事だから…。
何時の間にか?
吹っ切るんじゃないの?」と…。
だが、此の時の潤は、思うのだった。
“そうだったら…。
どんなに、良いだろうな。
今回ばかりは、嫌な予感しかしないんだよな。”と…。
だからだったのかも知れない。
潤は、そんな風に言って来た冬桜(ゆらら)に、話しするのだった。
「実は…な。
俺は、父さんから、話しを聞いて、一年前に、智(とも)と、話ししたんだよな。
其の時は、智(とも)も、納得してくれたんだよな。
ところが…。
俺の渡米の日が、近付けば、近付く程…。
また、智(とも)は、俺を避け始めたんだ。
今迄も、俺は、色々と、智(とも)に、試みて視たんだけど…な。
結局…。
俺には、智(とも)の心を、解して遣る事が出来なかったんだよな。
“だから…。”って、訳じゃ無いんだけど…。
此れからの智(とも)の事が、心配…何だ。
だから…。
冬桜(ゆらら)が、智(とも)のフォローをして遣ってくれると、有り難いんだけど…
な。
冬桜(ゆらら)…。
頼めるか?
で、何か、智(とも)に有ったら…。
何時でも、俺に、連絡してくれよ。」と…。
そんな風に言って来た自身の兄で在る 潤に対して、意外と、冬桜(ゆらら)は、クールだったのだ。
其処は、冬桜(ゆらら)の中身…。
所謂、冬桜(ゆらら)の性格は、道明寺家のDNAを、諸に、受けた様子だったのだ。
という寄りも…。
楓の血筋なのだろう。
だからだったのかも知れない。
此の時の冬桜(ゆらら)の潤への返答は、クールな言葉だったのだ。
「うん。
分かった。」と、だけ…言って来たのだった。
だからだったのかも知れない。
更に、潤は、自身が、渡米した後の其の後の事が、気に成るのだった。
何故なら…。
潤の中身…。
所謂、潤の性格は、『牧野つくし』の影響を、諸に、受けた様子だったのだ。
潤の幼少期の頃には、現れて居なかった潤の性格は、成長すれば、する程に…。
『牧野つくし』の影響を、諸に、受けて居た事が、分かったのだった。
潤の性格は、正義感が強く…。
曲がった事は嫌い。
勿論、人付き合いが上手だったのだ。
所謂、ここ最近の潤は、『人たらし』振りも、発揮し始めて居たのだった。
そして、人の事ばかりで、自分自身の気持ちは後回し…。
そんな所まで、潤は、『牧野つくし』の影響を、諸に、受けて居たのだった。
なので、此の時の潤は、自身が、渡米する事で、後に残った智(とも)が、“如何成るのだろうか?”と、不安に成って居たのだった。
下手をすれば…。
“NY行きを、もう少し、後にし様か?”と、潤は、悩む程だったのだ。
だが、一度決めた事を、覆す事も、また、此の頃の潤は、嫌だったのだ。
一度決めた事は、覆す事無く…。
全うしたいと言う事が、潤のポリシーだったのだ。
だからだったのかも知れない。
潤は、NY行きを、覆す事無く…。
計画通りに、渡米する事にしたのだった。
そして、潤は、英徳学園 高等部を卒業して、等々、NYに渡米する当日を、迎えたという訳だったのだ。
そして、潤が、空港に、向かおうとして居た時の事だったのだ。
司も、仕事を早目に切り上げて…。
潤の見送りの為に、道明寺邸に戻って居たのだった。
そして、美桜と冬桜(ゆらら)と智(とも)と一緒に、潤の見送りの為に、エントランスホールに出て来たのだった。
そして、司は、潤に、励ましの言葉を伝えるのだった。
「潤…。
頑張って来いよ。
俺は、お前を、応援してる。
何か、有れば…。
何時でも、連絡して来い‼」と…。
其処で、何故か?
冬桜(ゆらら)は、笑うのだった。
なので、訳の分からない司は、冬桜(ゆらら)に、訊き始めるのだった。
「何だ?
冬桜(ゆらら)…。
何で、笑ってるんだ?」と…。
なので、冬桜(ゆらら)は、そんな司に、言って除けるのだった。
「えっ?
だってさ…。
パパとお兄ちゃまは、同じ事を言って居るんだもん。」と…。
だが、更に、冬桜(ゆらら)の言って居る意味が分からない司は、不思議そうなのだが…。
何と無く…、意味を理解した美桜は、冬桜(ゆらら)に、話しし始めるのだった。
「パパと潤は、『親子』何だから…。
仕方無いでしょ。」と…。
そして、今にも、泣きそうに成って居る美桜は、必死で、涙を堪え乍ら、言って居たのだった。
何故なら…。
美桜が、涙を流す事無く、潤を見送る事が、司との約束だったのだから…。
だが、智(とも)は、やはり、泣き始めたのだった。
「お兄ちゃん…。
行くの?」と、小声で、言い乍ら…。
小声では有ったのだが…。
やっと、喋ってくれた智(とも)に、潤は、頭を撫でて遣り乍ら、言って除けるのだった。
「ああ。
行って来るな、智(とも)…。
智(とも)が、NYに渡米して来る事を、俺は、NYで、ずーっと、待ってるから…な。
俺は、NYに渡米しても、一生、智(とも)の兄貴だから…な。」と…。
あの時に、智(とも)に、話しして遣った事と、同じ様な話しを、また、潤は、智(とも)に、話しして聞かせたのだった。
だからだったのかも知れない。
漸く、智(とも)は、泣き乍らも、にこっと、笑って魅せたのだった。
だが…。
此の時の美桜は、既に、大泣きだったのだ。
美桜にとっては、潤も、智(とも)も…、息子なのだ。
だからこそ…。
美桜にとっては、潤と智(とも)の何方も、大切で、宝物だったのだ。
だから、此の時…。
其の息子で在る 潤と智(とも)のそれぞれの成長を見た様な気がした美桜だったのだ。
だからだったのだろう。
此の時の美桜は、思って居たのだった。
“潤と智(とも)の二人は、何時の間に…。
こんなにも、成長して居たのだろうか?”と…。
そして、司は、潤に言って除けるのだった。
「潤…。
時間だ。
行って来い。」と…。
そして、潤が、リムジンに乗った後…。
司と美桜は、司の両親で在る 道明寺HDの会長の道明寺保 と 社長の道明寺楓の下に、それぞれ、連絡を入れるのだった。
「今、潤は、リムジンに乗り込んだ。
潤の事を頼んだ。」と…。
そして、美桜も、お願いするのだった。
「潤の事を、宜しく、お願いします。」と…。
そして、世田谷の道明寺邸には、其の後…。
潤の姿を観る事は、めっきり、減ったのだった。
そして、9年後…。
智(とも)が、英徳学園 高等部を卒業したと同時に…。
智(とも)も、兄で在る 潤の後を追う様に…、NYに、渡米するのだった。
そして、其の後の美桜と云えば…。
記憶を取り戻す事は、無かったのだった。
美桜自身…。
自身の中では、美桜=つくしだと言う事は、分かって居るのだ。
だが、其れでも、美桜は、つくしの記憶を取り戻す事は無かったのだった。
其れでも、司は、良かったのだ。
何故なら…。
司は、美桜(=つくし)と、幸せに成れたからだったのだ。
また、何時の日か?
美桜が、つくしの記憶を取り戻す時が、訪れるかも知れない。
一生、来ないかも知れない。
だが、司は、そんな事は、如何でも良かったのだ。
云わば…。
お互いが、幸せなら…。
そして、其の後の美桜は、病気を克服したかの様に、日々を過ごす事が出来て居たのだった。
fin